:食器
プレート / Plate

皿状の陶器で、古代ギリシア時代の名称はピナクスであったと考えられるが、これは皿だけでなく、陶板に対しても用いられた名称であった。恐らく現代と同様食べ物を盛るのに用いられたものであろう。  黒像式では既にその初期から存在し、赤像式でもその終末の時代まで製作され続けた。  装飾は簡素で、黒像式では口縁部の上面につぼみの連続文が描かれることが多いが、赤像式にはほとんど装飾が見られない。内面の円形の画面はしばしばその下の四分の一ぐらいの位置に水平の線が引かれ、狭い下の部分には簡素な像や装飾、広い上の部分に像が描かれている。
Cf. Harvard 1959.127 (Perseus Project).

大きさ:幅およそ20cm前後。

魚文皿 / Fish Plate

その名前が示すとおり、魚をはじめとする魚介類が描かれた皿で、中央に窪みがあり、口縁は下へほぼ直角に折れ曲がり、小さな台を持つ。その用途はその文様と中央の窪みから魚を食べるときに使った皿だといわれ、中央にはソースが入れられたと考えられている。しかし中にはこれはコッタボスと呼ばれる、ワインの残りかすを飛ばして遊ぶゲームの的として用いられたとする説もある。

この皿はアテネでも作られたが数は少なく、むしろ南イタリアが主要な産地であった。両者を見分けるポイントは、前者では魚が腹を外に向けるのに対し、後者は背を外に向けていることにある。その描写は写実的なものが多く、コイかのものを含む様々な魚、ナマズ、タコ、イカ、エイ、イルカなど多岐にわたる。なおプルタルコスはこれらとほぼ同じ時代のある壁画家が魚を好んで描いたと記しているが、両者に何らかの関係があるのかどうかはわからない。
Cf. Malibu 86.AE.700 (Perseus Project).

大きさ:幅およそ30cm前後。