ウチダザリガニ

撮影 : 北海道標津町(平成16年8月)

十脚目ザリガニ科 大きさ 20cmを超える  
  分布 原産地は北アメリカ  国内では北海道や本州の一部(福島県他)に分布  
外来種
 日本には1929年(昭和4年)に入ってきたらしい。北海道では摩周湖に放流したニジマスのエサとして移入された。しかしニジマスは定着せずに全滅してしまい、ウチダザリガニだけが生き残った。そのウチダザリガニを誰かが他の場所に放流したのが繁殖し、増えたといわれている。道東では生息範囲をどんどん広げ、本州のアメリカザリガニのように、普通に見られるようになるかもしれない。
 水温が低い淡水にすむ。道東では池や大きな川の下流にも生息し、ニホンザリガニに比べるとはるかにたくましい。ニホンザリガニとアメリカザリガニの」中間の体型で、両種よりずっと大きくなる。
ウォッチングのコツ・・・・サケが登ってくるような大きな川の支流を探すと良いだろう。たいてい水草や岩や穴の中に隠れているので、アメリカザリガニのように肉眼で発見することは難しい。アミでがしゃがしゃすくうしかないのだが、サケなどの水産資源を保護している場所では要注意。密漁と間違われると逮捕されるかも。

 ウチダザリガニといえば、ペットショップでけっこういい値段で売っているザリガニという印象だったが、北海道の東部ではめちゃくちゃ増えていて、とにかく驚かされた。僕が子どものころは名前も知らなかったくらいだから、近年、急速に増えているのだろう。

←2番目に大きい個体

 まだ色がはっきりとしない小さいうちはアメリカザリガニに似ているが、大きくなると色も体型もニホンザリガニに似てくる。内側のはさみの付け根が白いのでまちがえることはないだろう。
 他にひたいがとんがっていて、上から両目がよく見えることと、はさみの下の関節にあるとげの位置が他種とはちがうことなどが特徴である。

 ウチダザリガニの影響でよく聞くのは、ニホンザリガニとの競合についてである。生命力の強いウチダザリガニが、ニホンザリガニの生息地に侵入し、ニホンザリガニを駆逐(くちく)してしまうのではないかと心配されている。

 釧路湿原にある
恩根内ビジターセンター(鶴居村)で話を聞いた。
 釧路湿原ではウチダとニホンザリガニが隣り合った川に生息しているらしい。が、直接ウチダがニホンザリガニを駆逐する被害以外にも、ミズカビ病などの菌をウチダザリガニが保有していて、それがニホンザリガニに広がってしまうのではと心配しているそうだ。たしかに標津町などではウチダとニホンザリガニの生息地は重なっていなかったけど、他の生き物などを介して菌が上流に持ち込まれれば、そういう心配も現実になってしまうかもしれないと思った。

 上の写真は標津町で採集したなかで一番大きな個体。もっと大きいのがたくさんいるらしいが、本流や湖の深場にいるようで、なかなかお目にかからない。

←こんだけ採れました。
 
 大きくてかっこいい。
 子どもたちに人気なのもわかる。


 だけど、それまでいなかった生き物が短時間でこんなに増えてしまったということは異常だ。せめて生息域の拡大だけでも防げないものか。

←左:標津川の支流
↓右下:標津町サーモン科学館から見た標津川。
       
 どちらもウチダザリガニの生息地だ。


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現地施設

サーモン科学館 〒086-1631
北海道標津郡標津町北一条西6-1-1-1標津サーモンパーク内
電話 01538-2-1141
サケのテーマーパーク。サケはもちろん、北海道の魚貝類を観察しながら生態の学習ができる。8月から11月までは、サケの遡上を観察することもできる。詳しくはサーモン科学館HPへ
開館期間:5月〜10月(無休) 9:30〜17:00
入館料:大人610円、高校生400円、小中生200円

恩根内ビジターセンター 阿寒郡鶴居村温根内
電話  0154-65-2323

 釧路湿原の動植物の紹介。釧路湿原を歩く前に寄るとよい。
 全長3.1q、約1時間半の木道コースあり、野鳥の観察ポイント。
 詳しくは、鶴居村HPへ
 開館時間:10:00〜17:00 休館:火曜日 年末年始 入館無料
 阿寒バス温根内ビジターセンター前下車徒歩3分

 JR釧路駅より(又は釧路空港から)車で約35分。
裏磐梯ビジターセンター 〒969-2701 
福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字剣ヶ峯1093-697
電話 0241-32-2850
 裏磐梯国立公園の自然をわかりやすく展示・解説。自然観察会も企画。詳しくは、ビジターセンターHPへ
 開館時間:夏季9:00〜17:00  冬季9:00〜16:00
 休館:火曜日、年末年始(12/29〜1/3)
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