(公開:平成17年4月)


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 サンショウウオ目(有尾目)サンショウウオ科(日本固有種) 大きさ 8〜13cm 
 分布  関東地方から福島県相馬地方にかけて 
 関東地方にすむサンショウウオ。標高300m以下の池のまわり、水田近くの林などにすんでいる。夜行性でミミズなどを食べる。止水性(しすいせい)サンショウウオといって、水が流れていない池や田んぼに卵を産む。
 冬は冬眠する。産卵場所のため池のわきの捨てられたタイヤの下で、3匹かたまって冬眠しているところを見つけたことがある。
 ウォッチングのコツ・・・・サンショウウオのウォッチングは意外と難しく、成体(おとなの個体)は林の湿った石や枯れ木をひっくり返したときに偶然見つける程度である。狙って探すならば早春。産卵地を探す。卵は3週間くらいは孵化(うか)しないので、成体よりははるかに見つけやすい。春の終わりに見に行けば小さなサンショウウオが見られるし、翌年のは早春に行けば成体が見られるかもしれない。ちなみに、撮影地は初夏にゲンジボタルが飛ぶ。いい山とセットの水辺がいい。

←生まれて数日の幼生

 写真ではわかりにくいが、首のつけ根にふさふさしたエラがついている。幼生はこのエラで水中呼吸できる。手足が生え、陸に上がるころ、このエラはなくなり、肺で呼吸するようになる。

←産卵直後

 田んぼのわきの用水路はトウキョウサンショウウオの産卵の直後だった。
用水路の中の大きな板を持ち上げると、たくさんの卵があった。すぐ側にまだ親たちが休んでいる。

 産卵のこの時期、産卵地周辺の石や倒木の下などで、休んでいる親を見つけることもある。
 写真は産卵のために林から出てきたトウキョウサンショウウオ。体色は地域差や個体差があるようだが、ここでは暗い褐色がほとんど。体型的には胴が長く、手足が短い。このサンショウウオは前後の足がつかない
 トウキョウサンショウウオは短足と覚えておこう。

 平らな林と流れのない水辺という環境は生息するにはやさしく、手足が発達しなくても平気だったのか。でも、そういう環境だからこそ人間も多く、結果的に受難の種になっていくのかもしれない。

 数を減らしている、という話はほんとによく聞くようになった。
 ここ栃木ではそんなふうには感じないが、確かに見つけにくい種であることは事実だ。
 単に夜行性で人目につきにくい、というだけの理由であって欲しいものだ。

←翌日、周辺をていねいに探索

 翌日は少し場所を変えて探してみる。昨日の場所から数百m離れた範囲で、2ヶ所の産卵場所を確認。写真も用水路で撮影。ハウス用のビニールの破片をめくってみると、たくさんの卵。ごちゃごちゃかたまって産むようだ。
 親サンショウウオはもういない。

←トウキョウサンショウウオの卵

 産卵してから一晩はたっているだろう。バナナみたいな形だ。卵の外側はツルツル。けっこう硬くてごわごわしており、まるで安っぽいビニールのようだ。
 中の丸い粒の一つ一つが卵だ。

←孵化直前の卵

 20日後、様子を見に行く。卵はまだ孵化していない。でも、袋のなかではオタマジャクシがしきりに動いていた。
 つゆ前で用水路の水は少ないが、かたい袋に守られているから大丈夫。雨が降って水位が上がれば、いっせいに孵化するはずだ。

 トウキョウサンショウウオは関東では比較的ポピュラーなサンショウウオである。しかし、生息地は限られ、かなり局所的に分布している印象が強い。
 近年、宅地の開発や田んぼの休耕などで数が減っているらしい。人から聞いた話ではペットショップで700円で売られていたなんてこともあるようで、生息地の情報は控える。

トウキョウサンショウウオ

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撮影 : 栃木県南部   (平成16年3月)