ナガレヒキガエル
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平成17年5月5日 奈良県吉野郡

←これまた水中

  体は大きく、7cm〜17cm。特徴は鼓膜が見た目に確認できないこと。

 かつてはヒキガエルと同種とされていたようである。

 いったい鼓膜はどこに行ったのだろう・・・・?
 そういえば、カエルに耳があることも、遠い昔に忘れていた。
 この時期の両生類ウォッチングは、やっぱり卵から発見する。見慣れた細長い卵をよく見ると、木に巻きついている。ナガレヒキガエルの卵? なんかそんな気がするぞ。あとはもう、なりふりかまわず、水の中や周辺を探しまくる。そして数ヶ所目、水面に顔を出しているカエル発見。うぐいすみたいな緑色っぽい褐色。 やったね! ナゲレヒキガエルだ。

 げへへ、まずは渾身の水中写真だ!
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 無尾目ヒキガエル科 (日本固有種)  大きさ 7cm〜17cm  
 分布 本州の中部地方西部 近畿地方の山間部  
 山の渓流周辺の森林や草原で生活。渓流のよどみなどで繁殖活動を行うことからこの名前がついた。
 鼓膜が不明瞭で見た目にはほとんどわからないのが特徴。体色は個体差があるが、繁殖期には鮮やかなオレンジ色の婚姻色が出る。繁殖期は4月〜5月、渓流のよどみにひも状の卵を木切れなどに巻きつけるように産み付ける。生まれたおたまじゃくしは、渓流で流されないよう岩に吸い付くことができる。
ウォッチングのコツ・・・ 4月〜5月の繁殖期が観察のチャンスだ。産卵場所を見つければ、親カエルが潜んでいる可能性大。渓流や滝つぼなどで産卵するらしいが、僕が見つけたところはほんとに小さい沢。1個体しか会っていないから、あまり当てにできる情報ではない。・・・すみません。
 ところでナガレヒキガエルって知名度はどのくらいなのだろう。十分主役をはれる生き物なんだけど、名前はあまり知られていないように感じる。スポットライトを浴びるには何かが足りない(たとえば鼓膜とか)のだろう。 

 ナガレヒキガエルを探し、狭い山道を彷徨う。というか何度も道に迷ったり、行き止まりで引き返したり、右往左往していた。ほどよい渓流を見るたびに車を止め、水の中を探したり、周辺の森で石や枯れ木をひっくり返す。高野山を昼前に出発し、大台ケ原に向かう途中の山の中だ。ナビまかせの長旅は、自分がどこにいるのかわからなくなるし、今日の日付を忘れてしまう。狭い山道を車がびゅんびゅん通る。GWのまっ最中だった。6割くらいが大阪ナンバーだ。
 ナガレヒキガエルは中部地方西部、近畿地方の山間部に棲む。両生類はタイミングが合わないとなかなか出会えない。そのうえ分布が限られているから、なかなか発見しづらいそうだ。
 ・・・・そんなもんだ、とあきらめかけていたら・・・・・・・みつけちゃった。


←ナガレヒキガエルの顔

 ナガレヒキガエルは鼓膜(こまく)が見えない。種を判定するときの大きな識別ポイントだ。

 ニホンヒキガエルとは生息地が重なるところもあるようなので、混同しないよう覚えておいた方がよい。

←ニホンヒキガエルの顔

 ニホンヒキガエルは鼓膜がくっきり見える。
 ちなみに東日本中心に生息するアズマヒキガエルは、ニホンヒキガエルに比べて鼓膜がやや大きい。ということになっているけど、外見はほとんどニホンヒキガエルと同じだ。

↑卵の全体写真。
 やっぱり右側の枝に巻きついている。ナガレにまちがいない。

↑枝に巻きつく卵
 右の小枝に卵がまきつくように産みつけられている。渓流で産卵するナガレヒキガエルの独特の工夫だ。

↑卵のアップ
 細長い卵のうの形状。こうしてみると他のヒキガエルとの違いはわからない。

     ↑オタマジャクシ
 オタマは岩に吸い付いている。流されないように口が吸盤なのだ。

←地上におでまし

 おでましといっても、網ですくって撮影会だ。でも、体を伏せて動かない。産卵でお疲れなのだろうが、このスタイル、どこかで見たことある。シュレーゲルアオガエルが捕まってすねた時のスタイルだ。

 どうやらご機嫌ななめのナガレくんなのである。
 

 日暮れ前、やっと撮影会が終了し、役者はふたたび水の中。
 ななめだったご機嫌はもとに戻っただろうか? カメラは思いっきりななめになってしまったけど・・・・・・・。

↓ ナガレヒキガエルの卵   見た目は普通のヒキガエルの卵と同じだけど・・・