ノコギリクワガタ

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平成17年6月26日 群馬県館林市

   この年、梅雨なのに雨が降らず、すでに猛暑。
   出先からの帰り道、販売機で、明かりに誘われたノコギリクワガタを見つけた。

←飛ぶ!

 上と同じ個体。
 カメラを向けられて、飛んで逃げる態勢に。
 でも、あわてて飛んでも数m先に不時着してひっくり返っていることが多い。飛ぶのが意外と下手なのか、あわてすぎなのか・・・・。


甲虫目クワガタ科  大きさ ♂30 〜 74mm ♀25.0 〜 36mm 分布 北海道〜九州 
属はノコギリクワガタ属Prosopocoilusとなり、学名はProsopocoilus inclinatus。最大で70mmを超える大型のクワガタムシ。平地の雑木林などでも生息しており、普通種。個体変異が大きく、体長によって大あごの形が変化する。大型の個体では大あごが弓なりに曲がり(大歯型)、大きな内歯が生え、小型の個体は短い大あごが真っ直ぐ伸びて、内歯も細かく数が多くなる(小歯型もしくは短歯型)。また、その中間の中歯型もいる。
発生は6〜9月。朽ち木などに産卵し、翌年の夏に成虫が見られるが、成虫の寿命は短く、ひと夏で死んでしまう。 
ウォッチングのコツ・・・九州以北ではごくごく普通種で、夜、クヌギなどの樹液に集まってきたり、街灯などの灯りに飛んでくる。昼間は木の根元にもぐったり、枝について隠れていたりすることもあるので、樹をけとばすと落ちてくることがある。まれに昼間も樹液にいるところを見かけるが、夏の樹液はスズメバチが多いので、あまり近づかないほうが良いだろう。
 少年時代、僕の住んでいたところではミヤマクワガタばかりが獲れて、ノコギリクワガタなんか年に1、2匹しか見ることができなかった。しかも小歯型ばかり・・・。
 だから、大きなあごのオスのノコギリクワガタなんて、めちゃくちゃあこがれの、お宝クワガタだったのである。

 関東に暮らすようになって、ノコギリクワガタは身近なクワガタとなった。
 しかし、そんなノコギリクワガタも最近は数を減らしているなんて話も聞く。雑木林の減少はまちがいなくすすんでいるが、気になるのは増えるカブトムシだ。里山のカブトムシがじわじわ増え、クワガタが数を減らしているという、なんとも物騒な話だ。
 エサ場を追い出されるノコギリクワガタ・・・・・。遠くに行かないで欲しいものだ。

平成18年7月 栃木県小山市

 自動販売機やコンビニの駐車場はいろんな虫が飛んでくる。身近だし、昆虫採集の入門編としては最適。けっこうめずらしい虫もいるから要注意。ちょっと山に入ったら街灯の下ものぞいてみよう。赤っぽくない灯りが良く、特に橋などは森から明かりが良く見えるため、虫も集まってくる。
 昼間でもガなどがたくさんいる自動販売機を見つけておくと、夜はまちがいなくいろんな虫が来る。もちろん、クワガタやカブトムシも飛んでくるぞ。

平成17年6月26日 茨城県古河市

  クワガタは同じ種類でも大あごの形がぜんぜん違っていたりする。
  ノコギリクワガタも、小さい個体と大きい個体ではまるで違う種類に見えるくらいに変異が大きい。大型の個体では大あごが弓なりに曲がり(大歯型)、大きな内歯が生え、小型の個体は短い大あごが真っ直ぐ伸びて、内歯も細かく数が多くなる(小歯型もしくは短歯型)。また、その中間の中歯型もいる。
 写真は中歯型だ。大あごの曲がりがゆるく、内歯は小さい。

平成18年8月13日 大阪府

 平成18年夏は関西方面へ遠征した。お盆の渋滞で、しかもクソ暑い中、車中泊ばかりで3泊だったので、めちゃくちゃハードで疲れ果てた遠征だった。そのとき、オオクワガタの有名産地に一瞬だけ立ち寄った。珍しいものはいなかったけど、ノコギリクワガタのオスメスのペアを撮影していたので紹介しよう。
  

 大きなあごと赤い背中が特徴。もっとも普通に会えるクワガタの一種だ。
 写真は夜、樹液によってきたところを撮影。昼間は木の根元などにもぐっているけど、夜は活発に動き回り、樹液の他、街灯などにも良く飛んでくる。
 周辺にクヌギの混ざる雑木林を見つけておこう。そのためにもまず、クヌギの樹を覚えること。ノコギリクワガタは平地でもいるから、思わぬ市街地でもチャンスがある。畑や田んぼ周辺、神社の社寺林などがねらい目。林縁の大きな樹は樹液が出ていたら車中からも確認できるし、スズメバチやチョウがよく飛んでいる樹を探すのも良い。カブトムシやコクワガタもいるはずだ。

夏は昆虫! 昆虫ならクワガタ! ・・・というのがここ数年の僕の夏。
というわけで今回はノコギリクワガタ。
普通種だからといってあなどれない。ノコギリクワガタはかっこいいのだ!




さて、小歯型のノコギリクワガタの写真を探してみたが、見つからなかった。貧弱なその姿に撮影意欲がわかずにいたためだ。でも、よく考えてみると、完全な小歯型なんて関東では年に1、2匹しか会えていないように思う。かえって貴重な出会いなのかもしれない。

 ところでこの個体は真っ昼間に撮影した。撮影した森はカブトムシ優勢で、ノコギリクワガタは肩身が狭い。大きな個体はそれでもカブトムシにケンカをしながら(ケンカは良くするけど、カブトムシにはかなわない)、なんとか樹液を吸う。ところが小さな個体は夜の樹液にありつけないこともあり、そんな密集地帯では危険を冒して昼間に食事をする個体が見られたりする。
 でも、たいていはこんな場所にはスズメバチがいるので、採集はひかえたほうがいい。

 クワガタもカブトも、シーズン後半はメスが目立つようになるので、オスを見たいならば梅雨に入ったころがねらい目だ。大きなオスもわりと普通に会えるし、発生直後できれいな個体が多い。
 オスが先に発生し、メスを待つ。メスはオスがいなくなるころ、せっせと卵を産む、ということのようだ。 

ちょっと黒っぽく見えるオス(大阪産)。赤系が基調のノコだが、黒いのもいたりする。

↑ノコギリクワガタのメス(大阪産) 丸みが強くてかわいい印象。

←茨城産のオス

時おり、昼間でも観察できることがある。スズメバチにビクビクしながらの撮影で、この数10cm上にはオオスズメバチがしきりに樹液を吸っていた。

←中歯型

中歯型の大あごがわかりやすい。
フラッシュを使っての撮影なので、ちょっと固まったようだ。夜はカブトムシに負けて食事にありつけなくなったら大変だ。今のうちにがんばれ!

↑ 自販機に張り付く群馬産オス

↑ 大歯型のオス(栃木産)

(平成19年6月26日公開)