←朽木の下の幼虫
 朽木をどかしたらこんなかんじ。幼虫は腐った木や腐葉土(ふようど)を食べる。何匹かもって帰って飼育に挑戦してみよう。大切に飼育すれば、5月か6月ころに成虫になる。

カブトムシ

甲虫目コガネムシ科 大きさ オス30mm〜80mm メス約50mm
 分布 日本(北海道は人為的に持ち込まれた)、中国中南部、朝鮮半島、台湾、フィリピン 
オスは大きな角を持ち、メスには角がない。夜行性で、昼間は樹の根元などにもぐって隠れている。クヌギやコナラの樹液を好む。産卵はシイタケ栽培に使ったクヌギや堆肥(たいひ)に行われることが多い。6月から8月にかけて現れるが、5月のなかばすぎから採れはじめる。
ウォッチングのコツ・・・・夜行性なので、採集は夜が良い。樹液や、自動販売機、外灯などに飛んでくる。昼間はクヌギの根元などで土にもぐっている。市街地のすぐそばでも生息しているので、コツがつかめれば観察はけっこう簡単なはずだ。まずは図鑑などでクヌギの樹をおぼえよう。冬から春にかけての幼虫採集も楽しい。

 最後は北海道のカブトムシ。僕が子どものころは北海道にカブトはまったくいなかった。20年ほど前から局所的に取れる場所が現れ、10年くらい前には思ってもいないようなところでも見られるようになった。今はどこにでもいる普通の虫だ。

 飼育は簡単。ペットショップでクワガタ用マットや昆虫マット(木くずや腐葉土)を買い、大きめのプラケースにひくだけ。幼虫はマットを食べて育つ。マットを湿らせ、数が多すぎないよう、2〜3匹の幼虫を入れる。あとはマットが乾かないよう時々霧拭きで水をかけたり、フンが目立ってきたら新しいマットに替える。初挑戦で失敗しやすいのは水の量だ。かけすぎてもいけないし、乾きすぎても失敗する。  ちなみに秋、成虫が死んでしまっても、マットはすぐ捨てない。卵を産んでいるかもしれないからだ。

撮影 : 北海道愛別町(平成14年8月)

 東北高速道のサービスエリアで見つけた大きなカブト。夜、電灯に飛んできたものが、桜の樹の根元に隠れていた。虫のよく飛んでくる電灯は昼間でもガやカゲロウがいっぱいいるので、周囲の木の根元や電灯の下を探してみよう。もちろん、夜、探しに来るのが一番だ。
 夜、電灯で虫を探す場合、できるだけ蒸し暑くて、風の少ない日が良い。月が出ていないほうが集まりやすい。時間はPM8:00〜pm10:00くらいがよい。遅い時間はあまり来ない。
 

撮影 : 栃木県真岡市 (平成16年2月)

 公園の雑木林の中で見つけたカブトムシの幼虫。湿ったところの落ち葉や枯れた木をどかしてみよう。大きな幼虫がたくさん出てくることがある。枯れ木の中には、たまにスズメバチやムカデが冬眠しているので、軍手(ぐんて)が必要。幼虫のフンを覚えていると、フンを先に見つけることが多い。
 雑木林は自分の家の庭ではないし、できるだけ木は崩さないように気をつけること。木が崩れてしまうと、カブトムシは来年、そこで産卵できなくなる。

←大きなオスとスズメガ
 

 真ん中の白い部分がクヌギの樹液だ。独特のにおいがするので、そのにおいをおぼえよう。虫たちがたくさん集まる樹は樹液のにおいが強いので、森や林の中でもすぐわかる。

 ちなみにガはベニスズメという種類。空中で静止しながら樹液を吸っている。カブトムシ以外の昆虫観察も楽しい。

←大きなメスのカブトムシ

 夕方、まだ明るいうちから活動を始めるメス。このメスは羽が傷だらけだった。ミヤマクワガタとかもいる山なので、けんかでもしたのだろう。

 シーズンの初めはオスが多く、シーズン終わりの8月中旬からはメスが多い・・・ような気がする。

 カブトムシの集まるクヌギ林は、木の周囲を人が歩いて道ができていたり、根元を掘り返したあとがいくつも見つかる。そんな林をまず探そう。昼間、カナブンやスズメバチがいる樹なら、夜はカブトムシが来る。        ※夜の林は危ないので、子どもはかならずおとなと出かけよう。

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撮影 : 栃木県佐野市・梅林公園(平成16年7月)

 日本の昆虫の王様といってよいだろう。数も多くてつかまえやすく、飼育も簡単だ。成虫は1ヶ月ほどの寿命だが、メスがいればたいてい卵を産む。近年、どんどん生息域を広げている印象がある。見た目ばかりではなく、たくましい昆虫だと思う。

 いろんな昆虫や生き物が数を減らしている中、カブトムシは逆にその生息域を広げようとしている。数年前、栃木県でヒラタクワガタを採っていたとき、地元の人が「20年ほど前はクワガタばかりだったのに、今はカブトムシのほうが多くて・・・」とぼやいていた。クワガタが減ったからカブトが増えたのか、カブトが増えたからクワガタが減ったのか・・・・・。

←朽木(くちき)の中の幼虫

        ↓こんなにとれました!

 都市部や平野部では神社の森、公園、梨や栗の畑の周辺がチャンスだ。ちょっとした雑木林でもたくさんカブトムシがいたりするから、「こんなとこにはいない」と決めつけないこと。杉とかにはこないから、やっぱりクヌギをしっかりおぼえよう。

撮影 : 山梨県韮崎市(平成16年6月)

撮影 : 宮城県菅生 (平成15年8月28日)

←小さなオスのカブトムシ

 小さいオスはツノの大きさがぜんぜんちがう。このカブトムシは、夜、クヌギの樹液に来ていたのだが、つかまえる瞬間まで
ツノが見えず、メスだと思っていた。幼虫の時期の発育状況で大きさに差ができるらしい。

撮影 : 埼玉県久喜市(平成16年6月)

←樹液に集まるカブトムシ

 樹液にはいろんな昆虫が集まる。写真ではカナブンやハエが見える。
 8月になるとしだいに
スズメバチが増えるので、少し離れたところからよく観察してから近づこう。もしスズメバチがいても、けしてあわてない。大きい声を出したりどたばた動き回らなければまず襲ってこない。そっと離れれば良い。

 昼間はなかなか見つけられないけど、樹液がたくさん出ているクヌギを探して、根元や周辺の枯葉の下を掘ってみよう。隠れているカブトムシが見つかるかもしれない。
 雨やくもりの日は、写真のように昼間でも樹液を吸っていることがたまにある。昼間に探すのなら、樹の根元付近で、笹(ささ)などで隠れているところがいい。ただし、スズメバチには気をつけること。


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