日本で生まれたアカウミガメは、太平洋を横断し、北米までいたる壮大なたびをする。人がやれば、新聞の一面をかざるような快挙だ。
これほどの回遊をするアカウミガメだが、じつはその海での生活は神秘につつまれているのだという。
現在、アカウミガメに発信機をつけて、その回遊ルートをたどる研究がすすめられているそうだ。
アカウミガメが次世代を残していくためには、ふるさとである日本の白浜を守らなければならない。そのために、日本各地で地道な取り組みが行われている。浜の保護、清掃活動や産卵時期の見守りなど、大変な労力が必要だ。
夏、日本の浜にはアカウミガメが帰ってくる!それを忘れないようにしたい。
ウミガメよ、いつでも帰っておいで。孫、ひ孫の顔を見せておくれ!
アカウミガメ
カメ目ウミガメ科 大きさ 69cm〜103cm 分布 茨城県以南の太平洋、日本海。世界的には太平洋、大西洋、インド洋、地中海など分布 絶滅危惧種(IUCN) 絶滅危惧U種(環境庁) T類(CITES) |
沿岸域に単独で生活。若い固体は回遊をしているらしい。赤茶色の甲羅。海底の軟体動物、甲殻類を食べる。1シーズンに1回〜5回、一度に100個〜120個の卵を産む。日本は、北太平洋で唯一のアカウミガメの産卵地。毎年5月を過ぎると、千葉から南の外洋に面した砂浜に雌が上陸をはじめる。雌は、砂浜に掘った穴に、ピンポン玉大の卵を産む。涙を流し産卵することで有名。涙は目を保護し余分な塩分を排出する働きがある。卵は、50〜70日で孵化し、生まれた子ガメは、いっせいに海をめざす。その後の生育はなぞに包まれている。 |
ウォッチングのコツ・・・・太平洋側の航路では、意外と回遊するカメが船の上から見られる。船旅のときは海面に注意しよう。産卵や子ガメが孵化する時期には各地で観察会が開かれるので参加してみよう。勝手に観察することはできない。 |
← 美しいハート型の甲羅
アカウミガメの特徴はハート型の甲羅(こうら)
ここ徳島県は、日本有数のアカウミガメの産卵地である。
日和佐町には、世界的にもめずらしい、ウミガメ専門の博物館「カレッタ」がある。
アカウミガメの産卵について
アカウミガメの産卵は、5月〜8月の夜。
ピークは6月〜7月。アカウミガメは産卵するために砂浜に上陸し、穴を掘って、100個前後の卵を産む。
産卵中、ウミガメの目からなみだが流れるというのは有名な話。体内の塩分が排出されるためだが、見るものに深い感動を与えるシーンだ。
カレッタでは、指導員の指導の下、産卵の観察会に参加することができる。また、8月〜9月にはウミガメの子の放流会を開いている。
このような観察会は各地で行われているが、くれぐれも、勝手に見に行ったりしないように、マナーを守って観察しよう。
日本に回遊するウミガメは5種類、アカウミガメとアオウミガメ、タイマイ、オサガメ、ヒメウミガメだ。ウミガメは世界でも7種1亜種しかいない。かつての乱獲で生息数を減らし、ほとんどの種類は国際的に捕獲が禁じられている。
日本は、アカウミガメの北太平洋における唯一の産卵地。もっとも北に産卵するアカウミガメにとって日本はふるさとなのだ。
どれほどの日本人がこの事実を知っているだろうか。
ウミガメ博物館カレッタ | 〒779-2304 徳島県海部郡美波町大浜海岸 TEL(0884)-77-1110 |
開館時間:9:00〜17:00 定休日:毎月曜日・年末年始 入館料:大人600円、中高生500円、小学生300円 交通:JR日和佐駅から徒歩20分、タクシーあり ※ 美波町HP参照 |
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日本ウミガメ協議会 | ウミガメの保護・研究活動を行う専門団体。 各地の産卵地の現状などがわかるので参照しよう。 日本ウミガメ協議会HPへ |
紀伊半島沖の海は豊かだ。半島の海岸線はウミガメにとって貴重な産卵地となっており、みなべ町の千里海岸、串本、また三重県の志摩半島にもたくさんの産卵地がある。
イルカやクジラのウォッチングもさかんで、那智勝浦にきてすぐに、マッコウクジラ、ハナゴンドウを期待して船にのった。隊長は「沖に出ればアカウミガメが浮いているかも・・・」と海面を凝視している。アカウミガメに会いたくてしかたないらしい。
かなりの沖に出ても、マッコウクジラはちっとも現れなかったが、ハナゴンドウがのんびりと泳ぎながら迎えてくれた。この日は1種のみだったが、イルカ・クジラ類の種類が多いのもこの海の特徴だ。
文・写真 : ぽんぽこ
平成17年5月2日 和歌山県 那智勝浦
ふいに、ゴミ箱から頭が抜けた! アカウミガメは身をひるがえして、海の中へともぐっていった。あっという間だった。
これが、野生のアカウミガメとのはじめての出会い。
あのウミガメは、子孫を増やすために、たくさんの障害をのりこえて、ふるさと日本にかえってきたのだろう。
混乱したまま、海へ帰るカメを見送った私は、隊長を呼んであげることをすっかり忘れていた。隊長は・・・・・?まだ、人ごみの向こうで怖い顔して私を見ている。私からの合図を待っていたのだ。
え・・・? 隊長まさか、ウミガメだったと気づいていない????
隊長はクジラにあえなかったよりも、100倍哀しそうな顔をした・・・ごめんなさい・・・。
海の中へ 消えていくアカウミガメ
徳島県日和佐町 ウミガメ博物館カレッタにて撮影(隊長)
現地施設