2006年イタリア総選挙

 3月14日 ベルルスコーニ VS プローディ テレビ討論(第1回目) =随時改稿

 (前のページからの続き)

 第2部
  第一部と同様に『メッサッジェーロ』の記者からプローディへの質問で再開。特に左派の
 統一見解が明確でない高速列車(TAV)などの公共事業について。プローディは地元との
 真剣な対話が必要であるとして、実は高速鉄道などは左派政権時代に計画したものだが、
 現政権下でむしろ各地で事業が遅れている。公共事業は完成しないと意味がないのに、
 右派は優先順位もつけずに、細かい工事を多数並行させ、少しの予算しか配分せずに、
 見かけだけ繕っているデマゴーグだと批判しました。ベルルスコーニは左派こそデマゴー
 グだと切り返し、左派政権よりも多くの事業を実施し、プローディが小さいといった工事に
 は大規模なものも多く、それで多くの雇用を確保している。ヴェネツィアの水害を防ぐ堤防
 の難工事「モーゼ」も25%までできたと成果を強調。左派陣営の2割は再建共産党や共産
 主義者党、緑など反グローバリズム(ノー・グローバル)に近く、イタリアの近代化にことごと
 く反対している勢力が入っているではないか、と挑発しました。プローディはベルルスコーニ
 は何でも過去のせいにするが、右派は上下両院で圧倒的多数を持ちながら5年も何をして
 いたのか
、(イタリア統一時代の英雄)ガリバルディまで遡って言い訳をするつもりか、と
 いささか脱線気味に返しました。これに対しベルルスコーニは、右派政権は過去のいかなる
 政権よりも大きな成果を挙げた、36の改革、10の重要な立法を行ったと成果を挙げました。
 ここで徴兵廃止も現政権の成果としましたが、これは後でプローディから突っ込まれること
 になります。

  次は『スタンパ』の記者から女性の登用について、特にEUが進める女性を一定の率まで
 必ず登用させるクオータ・ローザ(義務的な女性登用率)の導入についてベルルスコーニに
 質問しました。この質問は、左派政権に比べ女性閣僚が少ない(2人)ベルルスコーニには
 不利なものですが、やはりいい答え方ではありませんでした。ベルルスコーニは女性に家事
 や子供の世話を放棄させ政治の世界に招くのは難しい
と、一般的な弁明に終始し、自党の
 リストに多数の女性を入れていること、家庭内暴力対策など女性のための施策を多数実施
 していると主張しましたが、クオータの導入は明言しませんでした。これに対し、プローディ
 は現政権はクオータを導入しなかったが、自分はEU委員長としてこの政策を推進したし、
 直ちにイタリアにも導入すべきだと断言しました。さらにクオータを導入しなければ女性の
 権利拡大は確実なものにならないと述べました。ここでプローディは一つ前の質問に戻って
 ベルルスコーニが数え上げた改革の成果は信用できず、徴兵廃止は右派政権の成果では
 ないとしました。これに対し、ベルルスコーニは左派政権が放擲していた改革を自らが実施
 したと主張。女性のための労働時間の柔軟化なども行ったと成果を強調しました。いささか
 議論の応酬がワンパターンになってきたのを恐れたのか、プローディは視聴者もそろそろ
 寝る時間なので過去だけでなく将来について語りたいと、議論の方向転換を促しました。
 ベルルスコーニは徴兵廃止を自らの功績とし、徴兵の代替に社会的活動を検討したプロー
 ディを批判したわけですが、プローディは自らのアイディアの真意は若い人に海外に行って
 様々なコミュニティー活動に参加し市民としての責任感を持ってもらうことを期待したもので、
 あくまで若者自身の選択に基づくものを考えたのだと説明しました。

  次の質問は『メッサッジェーロ』の記者から教育改革について。教員や学生の反対も多い
 なか、右派政権は自らの考える教育の近代化を目指し多くの改革ないし改変を行ったのは
 事実です。これに対し、プローディは右派は様々な問題を左翼、共産主義者のせいだと騒ぎ
 立てるが、左派の目指すのは右派のように国家を分断するのではなく、統合する政策である
 と述べました。これに対し、ベルルスコーニはプローディのいうことは左派の実際の行動と
 合っていない、左派は議会での議事進行妨害や政治的理由によるストライキなどでカタスト
 ロフィーを煽っているではないか、左派は(左派教員・学生に味方する)「反・家庭」(アンチ・
 カーザ)ではないか、現政権は英語を第2言語として皆に習得させ、現代的な技術系高校を
 設置しているのだ、と成果を強調、ここでもう一度プローディを左派の「フロントマン」と決め
 つけました。プローディは技術的高校などの取り組みは左派も計画していたと反論しましたが
 やや具体的な提案に乏しく、この質問はややベルルスコーニのほうに分がありました。

  第2部の最後の質問は『スタンパ』の記者からベルルスコーニ個人にとって最大の問題、
 民放主要3局の事実上のオーナーであるベルルスコーニが首相として国営放送を含む
 メディアに影響力を有するという「利害の相反」問題について。ベルルスコーニはこの質問
 は当然予想していたはずで、まず自分が民放のオーナーであることは、野党時代に議会で
 利害の相反に関する法律を満場一致で可決し、それが禁止していない以上、解決済み
 はないか、メディアセット(民放3局持株会社)は左派も攻撃せず、番組内容もバランスが
 取れている、民放への国家の介入は国民投票で否決されたではないか、と用意してあった
 理由を列挙しました。さらに、ベルルスコーニは、左派が地方自治体と協同組合を支配下
 にした巨大な「利害の相反」を形成している
と決めつけ、これこそ民主主義国では許容でき
 ないと強弁しました。プローディは、これに対し、利害の相反は現代の民主主義国のすべて
 が直面している問題で軽視できないこと、協同組合は法律に基づいてできたイタリア経済
 の重要な構成要素であり、市民にサービスを提供するものであると、ベルルスコーニによ
 る政治的な解釈を否定しました。
 
    (この項目は次のページに続きます。)

(最終更新=2006.3.24)

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