運命的な出会いをしたゲーム

 

 

   「ドルアーガの塔」との出会い

 
    「THE TOWER OF DRUAGA」
     このゲームは自分にとって、まさに運命的な出会いをしたゲームではない
     かと思います。
     ちょうどギャプラスやゼビウスが発売されてた頃なんですが、その時期、
     私はゲームか
らちょっと遠ざかっていました。学校で禁止されていたとか
     (守る気は更々無かったですけど)理由はいろいろあったんですけど、と
     にかくその時期はゲーセンに行ってなかったんです。

     そんな時、月曜日の深夜(だったと思います)にコンピュートナイトとい
     う番組を見ておりますと、ゼビウスを作ったというあの遠藤氏が出演して
     おりまして、いろいろとゼビウスの話
(※1)をしていました。
     そのうちにYMOの細野晴臣氏がスーパーゼビウスのレコード
(※2)
     を作ったという話題が出て、それに新作のザ・タワー・オブ・ドルアーガ
     の曲も入っているという話しを遠藤氏が説明し、その曲
(※3)が流れま
     した。
     「へぇ〜、こんなBGMなんだぁ。どんなゲームなんだろう・・・」と興
     味を持ちまして、翌日、ドルアーガの塔を見に久々にゲーセンに行ってみ
     たんですが、思えばこれが運の尽き。ものの見事にハマってしまい、即日
     ベーマガを購入
(※4)して帰りました。
     これが再びゲームにハマってしまうキッカケでしたから、人生どこに落と
     し穴があるかわからないですね。なにせ、次の日からまた毎日ゲーセンに
     行くようになってしまいましたから・・・(笑)。
     そういう意味で、このドルアーガの塔は私の運命を変えたゲーム(大げさ
     な・・・)だと思います。

       ※1 「動きが滑らかで感動的・・・」のような出演者のコメントに、
          「ゼビウスはZ80を3つ搭載しているんですよ」と自慢気に離す
          遠藤氏。それにたいして溜息まじりで納得する嵐山光三郎を初めと
          する出演者の顔は、今でも忘れられません。
          ちなみに、パチモンゼビウスにはZ80が4つ搭載されていました。


     
  ※2 「ガストノッチな気分でいこう」というのが売り文句でした。
          ガストノッチとは、ゼビ語で絶好調を意味する言葉。このほか、
          発進は「グワッシャ」、「リーベルタ ナプルーサ バキュラ」で
          バキュラ接近という意味になります。

       
※3 ネームエントリーの曲でした。

       
※4 その号のおまけのスーパーソフトマガジンに、ドルアーガの宝の出
          し方が掲載されていたからです。たったの5階まででしたが・・・。


   
筆記用具とノートは必須アイテム

     ドルアーガに燃えていた頃は、ゲーセンに行くときに必ず筆記用具とノー
     トを持参していました。
     ゲームを始めて2週間くらいの間は、ゲーセンで公開
(※5)されていた
     宝箱の出し方はせいぜい20階まで。それも店によってまちまち
(※6)
     なので、いろいろなゲーセンに遠征しては宝箱の出し方を書き写し、それ
     をまた地元の友人と話して情報交換をする・・・といったようなことをし
     て、少ないお小遣いで如何にして効率よく先の面へ進むかということに、
     日夜励んでおりました。
     このようにして書き溜められたノートは、自分にとってまさにお宝でした。
     幸いなことに、私の通っていたあちこちのゲーセンではゲーマー特有の閉
     塞感のようなものはなかったので、ゲーセンで初対面の人とノートの情報
     を見せ合うということも意外に頻繁に行われており、それで友人になった
     ことも多かったです。
     今考えてみて面白いと思ったのは、この各自が作成していたノートにその
     人の性格というか特性がよく出ていたということですね。
     各ステージのMAPを詳細に方眼紙に書き写したものが記載されており、
     まるで清書したかのように丁寧かつキレイに書いている人、イラスト類が
     非常に多く書き込まれており、宝箱の出し方よりもイラストがメインになっ
     てしまっている人、作りは乱雑だけどとにかくあらゆる情報を記載する人
     
(※7)・・・etc。もしも今当時のノートが手元にあり、各自でそれ
     を持ち寄って話すことができたならば、きっと物凄く楽しかったのではな
     いかと思います。
     このような思い出は、ドルアーガに燃えた経験のある方は皆さん持ってお
     られるのではないでしょうか?

       ※5 大きな模造紙がゲーセンの壁に貼ってあるというのがほとんどでし
          たね。なかには、店員さん自作の小冊子を配布してくれる店とかも
          ありました。

       
※6 
そしてほとんど宝箱の出し方を間違えていました。

       ※7 私のノートはこのタイプでした。


   
険しい道のり

     このようにして打ち込んだドルアーガですが、その攻略に関してはそれま
     でにプレイしたゲームとは比べ物にならないほどハードなものでした。
     その中でも特に記憶に残っているステージについて、少し記載してみたい
     と思います。

     
1階 :
     
      「1面は一番簡単である」という今までのゲームの常識を覆されました。
      なにしろギルの足の遅いことときたら、もうお話にならないレベルです
      からね。ギルの出現位置、カギの位置、トビラの位置、スライムの位置
      などが絶妙に組み合わされると、ほぼ確実に死ぬことになるというあた
      りが本当に辛かったです。
      いくらヨロイを着ていたって、スライムに接触すれば即死なのですから、
      「靴取るまでは、パンツに盾で行け!!」
      当時は本当にそう思いました
(※8)

     5階 :
     
      プレイして間もなくの頃、とにかく難しかったのがこの5階です。とに
      かく四方八方から出現するメイジの猛攻に、なんども成す術もなくやら
      れていきました。
      「これはなんとかしなければならん・・・」と思って遠征に出かけると、
      そこにはいとも簡単に5階をクリアするプレイヤーの山。
      そのときに初めて知った「迷宮の壁の隙間にいればメイジは出ない」、
      「壁の隙間で剣を3回振れば、全てのメイジを同時にだせる」の2つの
      技も驚愕でしたが、なによりも私を一番驚かせかたことは「メイジって
      殺せるんだね・・・」でした
(※9)
      そりゃ全滅しまくるわけです。その後のプレイであっさりクリアできた
      時には、さすがにちょっとヘコみました。

     10階 :
     
      今プレイしても難しいと思うのがこの10階です。
      この面の宝箱はレッドスライムの呪文を受けるなのですが、機嫌が悪い
      と全然呪文を出してくれません。運が悪いとタイムアップで連続して死
      ぬことになるので、当時から最高に嫌な面でした。
      以下はかつての私の攻略ノートからの抜粋ですが、文面から怒りが感じ
      とれるあたりがちょっと嫌かも(苦笑)。原文のままなので、アイテム
      の名前がいいかげんなのはご容赦を・・・。

       3面 
          宝箱 ポーション・オブ・ヒーリング
          効果 ギルの身代わりになる。真の効果は10面での保険 
                    − 中略 −
      10面 
          宝箱 手袋
          効果 26階で必要
          攻略 ツルハシを犠牲にしても呪文を受けろ。ダメだったら1
             面からやり直して、ツルハシ持って再度チャレンジ。
             それでもダメなら今日は止め。
 

     
12階 :
     
      ここは面そのものは難しくはないのですが、宝箱の出し方にあまりにも
      ガセネタが多くてハマった面です。
      正解は「ドルイドを最下段に出現させる」なのですが、正しい答えが書
      いてあったゲーセンは皆無でした。参考までに攻略ノートに記載されて
      いる限りのガセネタを書きますと、「ドルイドの呪文を受けずにドルイ
      ドを殺す」「カギを取ってからドルイドを殺す」「ドルイドを正しい順
      番で殺す
(※10)」「ドルイドに壁を10枚壊させる」「ドルイドを
      殺さずにカギを取る」「一定時間最下段で待つ
(※11)」・・・など
      です。
      後に行くほど時間が経過してから仕入れた情報なのですが、最初のほう
      の情報だとドルイドを殺してしまうので、たいていは「宝出ねぇ〜!」
      という状態に陥り、出るまでコンティニューを繰り返すという悪循環に
      ハマっていました。
      ここは悩みましたね、本当に・・・。

     19階 :
     
      14階で初めてウィザードに出会ったときの恐怖と衝撃をやや忘れかけ
      た頃、この面に到達して同時に3人現れたウィザードを見たときは、思
      わず「なにぃ〜!」と叫び声をあげていました。
      初めての挑戦時は、もうビクビクしっぱなし。しかも余計なことに、こ
      の面にはクオックスがいるのでBGMでも煽られてるような気もしまし
      た。緊迫感ありますから、あの曲は・・・。
      何度もプレイして上達してからはウィザード*3はそれほど問題にはな
      らなくなったのですが、今度は別の問題に悩まされることになりました。
      私が当時プレイしていたのは、駄菓子屋ゲーセン設置の「へたれレバー
      テーブル筐体」だったので、この面の宝箱の出し方である「扉を開ける」
      が難しかったのです。
      レバーの反応が悪いので、ちょっとタイミングが狂うとそのまま扉へギ
      ル直行。ほんの少し激しくレバーを切り替えしても、リバウンドでギル
      が逆を向いてしまいフェードイン。そして始まる真っ暗な画面。そのと
      きはもう放心状態でしたね。
      ナムコ純正筐体のレバーも「へたれレバー」同様に事故率が高かった感
      があるので、直営店ではあまりドルアーガをプレイしなかった記憶があ
      ります。

     
21階 :
     
      ゲーム開始時の「ブルーウィスプ詰み配置」に対応できず、運が悪いと
      必ず死んでいたのがこのステージです。
      ウィザードゴーストがいるあたりも嫌らしく、「この壁を壊せばいいこ
      とはわかっていた。でも呪文が飛んできたんだよ」と寂しい言い訳を自
      分にしながらのコンティニューは、寒いものがありました。
      ここを越えたあたりから、一気に上達したような感じがします。

     
38階 :
     
      一時期、中盤最大の難所だったのがこの面です。
      「ウィザードの呪文を剣を出したまま受ける」・・・この宝箱を出すた
      めの行為がどうしても上手くできず、タイムアップによるウィスプの接
      触か、無理してウィザードの呪文に当たるかで、ほとんどの場合が死ん
      でいました。
      ようは発想の転換なんですが、画面端で待って一斉にウィザードを出現
      させ、自分の正面に出なかったときに剣を出すという方法に気がつくの
      に相当苦労しました。単に頭悪いだけかもしれませんが・・・
(※12)

     
44階 :
     
      ここまで来れるようになる頃には、ドルアーガのコツも相当飲み込めて
      いる段階だったのですが、この階のように完全に運が左右する面では、
      どうしようもありませんでした。
      そうです。なぜだかわかりませんが、私の場合はどうしてもドルイドと
      メイジの出現位置が良くなくて、レッドナイトに煽られて呪文で死んだ
      り、タイムアップで死亡ということが多々ありました。
      ここでハマっているときはもう、本当に鬼門というような状態でして、
      残機があっても全滅させられてました。あんまり全滅するので、しばら
      くはコンティニュー時に36階からやり直してバランスを取るようにし
      ていたくらいです。38階でウィスプ+ウィザード*3のリスクを犯す
      ことになりますが、それでもまだ生存率が高かったという状態でしたか
      ら、本当にダメだったんでしょうね。おかげで、バランスが使いまわせ
      ることを知るという怪我の功名にもなりましたし・・・。
      ここが最後にハマったフロアーでした。

       ※8 後にワンダーボーイ・モンスターランドを見たときに、それがどのくら
          い無謀な行為であるかが身にしみてわかりました。

       9 私は後にイシターでも同じ過ちを繰り返しました。
          人は成長するものだろ・・・。

      ※10 攻略ノートによると、その店の注意書きには「正しい順番は殺して見な
          いとわからない」と書いてあったようです。なんじゃそりゃ?

      
※11 結局のところ、当時は「ドルイドを殺さずに最下段で待つ」が正解だと
          いうことになりました。それも間違いだったんですけどね・・・。


      ※12 この方法を自力で発見したときは「俺って天才か?」とか思いましたが、
          よく考えて見ればもっと早く気づくべき程度の技なので、「そんなこと
          はない」と速攻で自己否定して完結しました。

 

   そして到達した60階

     ドルアーガの塔の話をする上で忘れられないのが、発売当初から全60ス
     テージと全ステージ数を明確にしていたことです。
     今でこそ、雑誌紹介などで「全2周10ステージ」などと総ラウンド数が
     明記されているものが多くなっていますが、当時はこのような紹介をした
     のはドルアーガだけだったと思います。
     この60という数字が、当時の私には非常に重く圧し掛かる数字でした。
     尺度は全然違いますが、かのゼビウスでさえ全16エリア・・・。その4
     倍近いステージを、宝箱を探しながらクリアする。まるで遥か高く聳え立
     つ絶壁をよじ登るような途方も無い行為のような錯覚を受けました。
     クリアなんてできないんじゃないかという思いの中、それでも1歩先の面
     へ行くごとにゴールが近づいているような感じを受ける喜び。これがこの
     ゲームをして自分を中毒状態にした最大の要因ではないかと思います。
     最後の60階をクリアしたとき、自分の中で大きな戦いが終わったような
     感じを受けました。
     最初は途方も無いと思った60階制覇・・・。それが今、ついに自分の力
     で終わりを迎えることができた。そのときの気持ちは、たぶんゲーム画面
     中のギルと同化していたのではないかと思います。
     このゲームが自分に残してくれたもの、それはたぶん自分の記憶の中に残
     り続ける最高の時間だったのかもしれません。
     

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