ストリートファイター2が発売されて以来このかた、数多の対戦格闘ゲームが発売
され、さまざまなゲームシステムが誕生してきましたが、それら数多くの対戦格闘
ゲームの中でも、1992年にSEGAから発売されたダークエッジほど独特かつ
特異なシステムを持つ格闘ゲームはないでしょう。
このゲームの操作系は8方向+5ボタン(弱・強のP・K+ジャンプ)という珍し
い形のもので、左右のレバー入力でキャラが相手の周囲を弧を描くように移動し、
上下のレバー入力で画面の手前・奥へとキャラが移動する疑似3D感覚を実現して
います。この特異な移動システムにあわせるように、各攻撃もレバー入れ・未入力
で変化(レバー入力無しで攻撃ボタンを押すことでしゃがみ攻撃)する形になって
おり、また、ロングレンジになりがちなゲーム性をフォローするように、全キャラ
標準(共通コマンド)で飛び道具も装備しています。
このように他の格闘ゲームとはいっぷう変わった独特のシステムを持つダークエッ
ジですが、このゲームの真に凄いところは、これらの斬新なアイデアが「ガードは
相手と逆方向にレバー入力」「必殺技コマンドは相手方向にあわせて入力」という
二つのフューチャーのために、全て良くない方向に働いてしまっているというとこ
ろです。
スト2に代表される普通の2D格闘に慣れている体では、この「ガードは相手と逆
方向にレバー入力」という行為をとっさに行うことは、まずできません。たいてい、
「俺の魂ではガードしていた」という納得のいかない状態になってダメージを受け
ます。更に、このガードシステムよりも強烈なのが必殺技コマンドで、例えばジー
ニィの必殺技であるダイアモンドカッターを例にとると、自分が相手を中心に画面
の左側にいた場合は+Kですが、このコマンドは自分が右側にいた場
合は+K、画面手前ならば+K、
画面奥ならば+Kというように、相手を中心とした自分の存在する8
方向の相対位置で入力を変えなければいけないのです(8方向の相対位置ですから、
自分が画面斜め左下にいるときのコマンドは+Kになります)。
これをとっさに理解して順応しろ、というほうが無理です。
正直、レバーをグルグル回しながらボタンを押すほうが、まだ必殺技の出る確立は
高いです。レバーの入力方向こそ逆ですが、気分はもうドルアーガの塔の29階。
まあ、初プレイで自在に必殺技を出すことなど、強化人間やゲームセンターあらし
でも無理でしょう。たぶん。
このような必殺技入力システムのため、比較的コマンドの簡単そうに見える飛び道
具になんとなく頼りたくなりますが、この全キャラ共通の飛び道具コマンドが、ス
ト2などでいうレバー後ろタメ、このゲームでは「レバーをガード方向にしばらく
タメて、相手方向にレバー入力したと同時に攻撃ボタン」なので、飛び道具を撃と
うとタメを行っている最中に、相手が動いてしまうと自動的にタメが解除されてし
まい、気がついたときにはいつのまにか自分が周っていたという現象がよくおきた
りします。・・・マジでおちょくってませんか、これ?
このようなゲームシステムですから、普通に移動したりガードしたりできるように
なるだけでも、常人には相当の修練が必要になります。そしてこの血の滲むような
修練の果てに行き着くのは、必殺技を出せるようになった頃には、もうこのゲーム
を置いてある店が無いという悲しすぎる結末。・・・もう泣きたくなります。
とまあ、ここまで文句ばかり書いてきましたが、このダークエッジの特異なゲーム
システムには他の対戦格闘ゲームには無い独特の味わいがあるのも、また事実です。
言うなれば「対戦格闘ゲーム界のドリアン」とも言えるこのダークエッジ。
勇気を出して、あなたも一度、食してみませんか?
★ 登場キャラ紹介
ダークエッジの背景世界は25世紀。この世界は人間の生活を含めた全てが超大型
コンピュータによって支配されているという世界です。さすがに、男は全てサング
ラス着用、女は全員が水野久美ではありませんが、まあ似たような世界だと思って
いいでしょう。
各プレイヤーキャラたちは、そのコンピューターの支配から抜け出そうとするアウ
トサイダー。彼らは各々の夢や望みのために戦い、やがて世界を支配する超大型コ
ンピューターと対峙することになるのです。
THUD −THE SAMURAIー |
雷斬剣 :+P
風殺脚 :+K
嵐舞陣 :+P
※コマンドは全て自分が画面左、相手が画面右のときのものです。
サッドは侍の精神と伝統を持つアメリカ人です。人間の精神を尊重しているので、
機械仕掛けの武器を毛嫌いしており、「雷斬剣」「風雲丸」という二振りの日本刀
を武器として使用しています。
本人は「能ある鷹は爪を隠す」の格言に従って居合い抜きを信条としているらしい
のですが、抜き身の日本刀を持ってグルグル回りながら大暴れするのを、普通は居
合い斬りとはいいません。サムライと言いつつ忍者のように日本刀を背負っている
点から見ても、何か日本文化を勘違いしているものと思われます。
見た目はともかく、性能的にはバランスのとれたスタンダードタイプなので、扱い
やすいキャラといえるでしょう。
BLOOD −THE BIOMONSTERー |
ブラッディ・スクリュー :+P
メガ パイルドライバー :投げ間合いで+強P
スーパー・パワーボム :投げ間合いで+強P
※コマンドは全て自分が画面左、相手が画面右のときのものです。
遺伝子工学で誕生した生命体であるブラッドは、戦いつづけることのみを本能とし
て行動するという、まさに生物兵器とも言うべきキャラです。
投げを得意とするというだけあって、2つの投げ必殺技は決まればかなりの高威力。
反面、射撃はスキが大きくてあまり使えません。
このゲームは投げハメでクリアするのが一番楽(というより、私はそれしかできま
せん)なので、二つの必殺投げを自在に出せるようになれば、楽に進めるキャラだ
と思います(私はできませんが・・・)。ただし、射撃が弱いのでラスボスは少し
辛いです。
YEAGER −THE SONIC BREAKERー |
ソニック・バースト :+PorK
ズームアタック :+P
※コマンドは全て自分が画面左、相手が画面右のときのものです。
元戦闘機パイロットが戦闘中に負傷し、自ら飛行サイボーグとなったのが、この
イェーガーです。体内にロケットエンジンを装備し、世界最強最速の男になるため
に日夜戦い続けているようなのですが、コイツ全然最速じゃありません。おそらく、
サイボーグ手術をした連中がロケットエンジンと偽ってビッグウイングを移植した
ものと思われます。とりあえず、ずーっとホバリングだけはできるようですし。
イェーガーは動きが早くないうえにリーチもないキャラなので、正直いって使えま
せん。対RAM−X戦が泣けるほど辛いので、クリアを目指すには相当の覚悟がい
るキャラです。
GOLIATH −with POWERSUITー |
クラッシュ・ミンチアーム:P連打
ダイナマイト・ソアー :+K
※コマンドは全て自分が画面左、相手が画面右のときのものです。
土木作業用強化服に軍から流れた部品を組み込んだパワースーツを装着し、労働仲
間の期待を一身に背負って闘う漢。それがこのガライアスです。
一つの格闘ゲームの登場キャラの中には、一人ぐらい「先生」の異名を付けたくな
るキャラがいるものですが、このゲームにおいては彼=ガライアスこそ「先生」と
いう呼び名を得るに相応しいキャラといえるでしょう。クラッシュ・ミンチアーム
で両手をブンブン振り回して画面奥からこちらに迫ってくる彼の姿は、人の心を打
つものがあります。少なくとも一度は夢に見てしまいそうです。
ガライアスはリーチとパワーはあるのですがスピードは非常に遅く、技の空振りの
スキも泣けるほどデカイものばかり。このため、ジャンプ攻撃からの投げハメが決
めにくく、クリアが非常に難しいキャラだと思います。
キャラ選択画面の彼の顔に魅入られてしまった人以外は、使用しないほうが無難で
しょう。
GENIE −THE FEMALE FIGHTERー |
ダイヤモンド・カッター :+K
ヘルダイブスラッシュ :+P
※コマンドは全て自分が画面左、相手が画面右のときのものです。
ジーニィはもともとは良家のお嬢様だったらしいのですが、戦闘のスリルが病みつ
きになってしまい闘いの世界へ身を投じたという、このゲーム唯一の女性キャラで
す。
露出度NO.1のボディには、女性らしい美しさを第一に考えたという身体を隠さ
ずに筋肉の敏捷性をUPさせるというバトルスーツを装着。体に傷をつけないよう
に、敵の攻撃をくわない闘い方を信条としています。
ジーニィは攻撃力は低いもののスピードがあり、素早い飛び蹴りから投げに移行す
る連携が強力なキャラです。また、敵の攻撃をくわない闘い方を信条とするキャラ
の性格はCOMのアルゴリズムにもあらわれており、少し射撃を繰り返すだけで、
すぐにニュータイプ顔負けのジグザグ弾避け移動をしてきます。
攻撃力が低いので対RAM−X戦が辛目ですが、比較的クリアのしやすいキャラだ
と思います。
M.E.K −MECHANICAL ENFORCED COMMANDー |
ビームキャノン :4つの攻撃ボタン全てをしばらく押して離す
フライ&ファイア :+P
サイドミサイル :+Kor+K
※コマンドは全て自分が画面左、相手が画面右のときのものです。
元はヨーロッパ出身の傭兵だったのですが、戦争で重症を負ってしまい戦闘用サイ
ボーグになったキャラです。自らを戦地に送り込んだ支配者の存在を知った彼は、
復讐のために闘いの世界へと身を投じます。このように主人公っぽい硬派なストー
リーを持つM.E.Kですが、悲しいかな、神は彼に主人公に相応しい優秀な性能
を与えてはくれませんでした。
M.E.Kの必殺技は全てが飛び道具であり、通常の飛び道具コマンドもPとKの
2種類を持っているのですが、そんなにいっぱい飛び道具があっても、少しも嬉し
くありません。しかも、中にはビームキャノンのように「動けない、ガードできな
い、当たらない」の三拍子がそろった罠のような飛び道具も含まれていたりするの
ですからたまりません。
そこへ持ってきて、このゲームのCOMは通常技には比較的反応が甘めなのに、飛
び道具に対してだけは黄金聖闘士なみの動きをしてくる特徴があるので、飛び道具
しか強力な技がなく、動きも遅めなM.E.Kでは辛い戦いになることは必至。
ラスボス戦は笑っちゃうほど楽なのですが、途中が辛いのであまりお勧めはできな
いキャラです。
ジーニィ使用 とりあえずクリアパターン |
VS ボーナスステージまでの6キャラ
全キャラ中最速のスピードを誇るジーニィで最も有効な戦法は、飛び蹴りからの投
げです。移動の速さを有効利用してジャンプ攻撃が届きそうな間合いに持ち込んだ
らジャンプ大Kで飛び込み、このジャンプ攻撃をCOMがガードしたら硬直後を投
げます。このゲームの投げは相手のいる方向へレバー入力+強Pなので、ジャンプ
中からレバーを相手の方向へ入れっぱなしにしておけば楽に投げられます。ジャン
プKを当てる間合いは、なるべく遠めのほうがいい感じです。もしジャンプ攻撃が
HITしたらバックジャンプ大Kで逃げ、再びジャンプ大Kで飛び込みます。これ
は私の経験上なのですが、ジャンプ攻撃が当たってしまうと直後の投げを決めるの
に若干シビアなタイミングを要求される気がするので、安全のために一時逃げるわ
けです。
前半の6キャラはこの戦法で一応勝ち抜くことができますが、同キャラ戦となるC
OMのジーニィだけは少し辛めです。ジーニィはこちらのジャンプKをダイアモン
ドカッターで綺麗に撃墜してくる場合があるので、投げハメに失敗したりして相手
に投げ返されたりすると、体力負けになる場合があるので注意が必要です。
ホント、あんなにいいタイミングで必殺技を出せれば、どんなに楽なことか・・・。
VS RAM−X
ボーナスステージの後に登場するこのゲーム最強の敵「RAM−X」。高い攻撃力
と強力な必殺技をひっさげた超難敵です。
対RAM−X戦ですが、ジャンプ攻撃で飛び込むとほぼ確実に昇竜アッパーで迎撃
されてしまうので、前半の6人のように投げハメに持っていくことはできません。
ここはなるべく距離をとってRAM−Xの周りを少しづつ移動し、RAM−Xがミ
サイルを撃った後に出してくる突進技を先読みしてジャンプKを当てるのが基本戦
法になります。ただし、RAM−Xの突進技はかなりスピードが速く、このジャン
プKを当てるタイミングは意外にシビア。相打ちではこちらのダメージのほうが上
なので、失敗できないというプレッシャーが重くのしかかってきます。ここで冷静
さを欠くと負け確定なので、落ち着いていきましょう。ダイアモンドカッターを狙っ
て出せるようになると、かなり楽になります。
VS RULER
ラスボスとなるRULERですが、偉そうな大口を叩くわりには全然強くありませ
ん。RULERは移動することができないので、ラウンド開始直後に一番手前中央
まで間合いを離し、RULERが弾を撃ってきたら右斜め下か左斜め下の避けやす
いほうに逃げ、この間にタメを作って大Pの射撃、直後に自分を狙ってくるRUL
ERの弾を画面中央へ避け、この間にタメを作って大Pの射撃、直後に右斜め下か
左斜め下に避けて射撃・・・を繰り返せば簡単に勝つことができます。
余裕が出てきたら、RULERの後ろに周ってミサイルを乱射させてみるのも面白
いです。ただし接近だけはしないこと。不条理なパンチで必ず吹っ飛ばされます。
見事RULERを倒せばエンディングになります。