「10分で驚異の効果、ウォーキング最前線」と題された今回
どんな最新情報があるというのか?
はじめに
ウォーキングは身体を健康に保つ上で最適な運動です。逆に激しい運動は健康に役立つとは言えません。激しいスポーツをする人は寿命が短いというデータがあるくらいです(これについては関係ないとする説もあります)。いずれにしても歩くことは身体に負担をかけずに機能を維持させるのにお勧めできる運動です。
一般にウォーキングの効果は心肺機能の維持増進、適性体重の維持、糖尿病や高血圧の予防と治療、善玉コレステロールの増加、血液循環の改善、筋肉や骨量、持久力の維持、などの効果があり、ウォーキングが健康に役立つ事は疑う余地はありません。という私は歩いてないんですが(笑)
では番組を見ていきましょう。今回は前回の納豆に続きまともな展開が予想されます。
「10分ウォーキング新理論」
以前に「体脂肪燃焼には2〜30分以上の有酸素運動を」という内容を98年12月に放送したらしいのですが(私は知りません)それが日本の「ウォーキング経験者350万人」を普及させたと豪語しています。なにも、その時にわかった事ではなく当然の事として知られている事です。これは番組のうぬぼれです。それをわざわざインタビューで確かめていましたが、答えはいわずもがな。「あるある」の効果は私が断言します。その期間は・・・
1週間!!!
やはりいちゃもんつけとかないと。続いてインタビューの結果を分析していました。何人かの発言でまとめていましたが、「時間が長い、疲れる」などの理由で断念した人がたくさんいたんだそうです。そうですね。言うのは簡単でも実行となると難しいし、継続はさらに難しい。このことを番組スタッフは何を勘違いしたのか「家宅捜索」と題して他人の家の押入れをあさっていました。スポーツシューズを見つけて「新品のスポーツシューズをしまいこんでいるのがほとんどでした」とナレーションが入りましたが、本当に新品でした。どうやら仕込みは成功したようです。
さてそんな前振りが続いた後、本題です。ACSM(アメリカスポーツ医学会)が新理論を発表したとのことです。その理論の取材でなぜかイギリスアルスター大学メアリー博士にスタッフが電話しています。このスタッフ、英語わかるんでしょうか?それはいいとして博士は「30分の継続したウォーキングと、10分×3回のウォーキングは体脂肪燃焼が変らない」というコメントです。さすがにこのコメントだけではイギリスまで行くのに部長決済が下りなかったようです。
もし本当なら「全世界に衝撃」と番組では大きなテロップが出てきましたが、バングラデシュの人が見たら猛烈に抗議するところです(見るわけないか)。それを証明する今回は「10分間ウォーキング徹底検証」です。
「10分間ウォーキングの血液への効果」
番組では「ドロドロ血」はコレステロールや中性脂肪で肩こり腰痛の原因に、「ベトベト血」は血糖値に関係し、疲れやすい、オシッコが近いと解説していました。表現の大げさなところを除けば、まあ正解。ただし「のどが異常に乾いて水分をたくさん摂り、オシッコが近い」のは糖尿病が強く疑われますので、医療機関で検査を受けましょう。
では10分間ウォーキングの効果を3人の被験者で実験です。ここでは血液の流れをモニター上にあらわせる「マイクロチャネル」という器械で調べています。おのおの実験前の血流を調べていますが、その時の体液の状態がどうであったかで結果は大きく異なります。水分量が少ないと血液は粘度を増し流れにくくなります。要は喉が乾いた状態なら流れが悪いわけです。ここではモデルの状態がどうであったかの統一をしていません。
そんなことは無視して毎日10分間歩いて1週間後、再び血液の流れを調べたら全員血流はアップしていました。実験前に水を飲んだのでしょうか?通常運動の効果が何らかの形で身体に現れるのは1ヶ月ぐらいとされています。ダイエットでは少なくとも3ヶ月はかかります。ですから1週間ではとても効果は望めないでしょう。
そんな被験者の1人が「肩の重みがとれたような気がする」と発言していましたがそのとおり気のせいです。そのあとの番組の解説は「足の筋肉のミルキングアクションが乳酸を除去する」としていましたが、そのとおり。以前どこかに書きましたがマラソン選手がすぐに座り込まないのはこのミルキングアクションにより乳酸を除去する為です。
さらに「女性にうれしい効果が」とナレーションが入りました。これを証明する新潟医科大学、安保先生のコメントです。「ウォーキングはリンパ球をふやし、女性ホルモンエストロゲンを増やす」んだそうです。これにより女性特有の症状も改善できるとしています。
ここまではなんだか食事バランスや食べ過ぎ以外は私が番組解説でいつも言っている事ばかりですね。マネすんな。
「ウォーキングの脳への効果」
ここで番組はいつものようにはちゃめちゃな方向にいってしまいました。脳への効果を確かめる実験は、20代の2人の女性に脳波計を付けそれを後ろの買い物カートの王様に乗ったモニターにつないで広島県保健福祉大学、辻下助教授が脳波を調べています。カートの王様に乗った助教授、それを押す2人のスタッフ。その先には頭からコードを後方に延ばした若い女性。街行く人は怪訝そうな顔をして見ていましたが、そりゃそうですよ。こんな姿二度と見れません。貴重な体験しましたね、たまたま居合わせた通行人さん。
実験ではベータ波が出ている街中や、騒音のあるところではイライラしている、アルファー波が出ている住宅街や公園、または興味があるものがあるところではリラックスしている、としています。私が実験したら街中を歩いた方が
アルファー波が大量に出まくった
のは言うまでもありません。なぜかって?聞くだけ野暮って言うもんです。しかし、ここでの実験は、なにも実験などしなくてもはじめからわかっている事ですね。実験の予算があるのはわかりますが。
「10分間ウォーキングは脂肪が燃えるのか?」
ここでもおもしろ実験です。「10分VS30分」と題して以前私が解説した「クイズ目からウロコ」の「間違いだらけのカロリー神話」に登場した「オキシログ2世」の登場です。これは酸素の消費量を消費カロリーに計算するという画期的な(?)器械です。これを使って10人ぐらいの団地のおばさんで実験です。全員大きなマスクをして、背中にはボンベと器械を背負っていましたが、もうほとんど
スターウォーズ団地編です。
どうせならビームサーベル持って歩いて欲しかった。おばさん達、ダースベーダーそのもので、メイクはいらないぐらい迫力ある顔でした。
さてスターウォーズ実験でわかった事は30分も10分×3倍も計算値ではほとんど変らなかった事です。東京学芸大学、宮崎先生によると
「理論的には消費カロリーは同じだが、10分の場合はその都度糖質を使うので30分に比べ7割しか脂肪の燃焼はできない」というものです。実はこれ、
最初からツッコミを入れるつもりでした
やられてしまいました。そのとおりです(泣)
しかしメアリー博士の新理論
「30分の継続したウォーキングと、10分×3回のウォーキングは体脂肪燃焼が変らない」
と言う発言はどう処理するのでしょうか?まるっきり無視されました。むろんメアリー博士は今も間違った説を証明するために無駄な実験を繰り返していることでしょう。
補足です。運動すればまず血液中のブドウ糖から使いますがこれはすぐに枯渇します。次に肝臓のグリコーゲンを膵臓からのグルカゴンによってブドウ糖に変えるのですが、これは30分ぐらいでなくなります。それから脂肪の消費が始まるのですが、10分間ウォーキングではその前に終わってしまいますので脂肪には影響がありません。インターバルを挟めばまた最初から血液中のブドウ糖を消費することになります。
そうならないための10分ウォーキングのコツは「アフターエフェクト」だそうです。運動した後すぐに座り込まないで、10分間立っていればいいのだそうです。10分歩いた後に街中で突然立ち止まり、10分間微動だにしない人がたくさんいるかもしれません。今日から一週間は街で棒立ちの人間がたくさんいることでしょう。ちなみにネオン輝く裏通りにたたずんでいるミニスカートの女性を特別に立ちんぼと呼びます。いえ、私は良く知りませんです。
「ある子のコーナー」
ここではウォーキングをすると寝つきが良くなるという事を解説していました。それによると「就寝1時間前に10分間歩くと副交感神経が働き眠気が働きます」だそうです。放送日翌日からたくさんの人間が全国数百万人単位であてもなく夜中にうろうろすることでしょう。恐いですよこれ。そこらじゅうに
深夜の散歩をする人間がうじゃうじゃいるわけですから。
お互い顔を合わせ、暗黙のうちに目で会話です。
「あなたも?」・・・「ええわたしも」
言葉なんていりません。たくさんの人が他人であるにも関わらず、なぜか連帯感が生まれます。連帯感が生まれた彼らは老若男女入り乱れて街を大行進です。何千人という人間が沈黙の中で歩き続けます・・・・誰かが号令をかけました。「10分経ったぞー」。全員がその場でピタリと立ち止まり、10分間微動だにしません。こうなったらほとんど
あやしい団体です。皆さん逮捕されないよう注意しましょう。
「脂肪燃焼を助ける補助食品」
ここで、唐辛子のカプサイシン、カフェイン、アミノ酸が出てきました。カプサイシンは、クイズ目からウロコ「カロリー神話」でも取りあげられていますが、効果はありません。しかし、各番組は本当に同じ情報を共有し流し続けます。
本当に効果があると思っているのでしょうか?
アミノ酸も私が散々言ってきましたが、不足してないものをたくさん摂取したからといって、過剰に働くことはありません。カフェインのダイエット効果は?ですが、これはリポビタンDなどのドリンクに配合されているのもです。カフェインは中枢神経を興奮させる働きがあり、眠気防止や疲労感を取り除くことを目的として配合されています。ちなみにオリンピック選手が飲んだらドーピングで失格です。
いずれにしても何かを飲むだけでダイエットできるものは、食欲を抑制する薬物以外に私は知りません。っていうより、今のところ存在しません。食事制限、運動を組合わせてはじめて減量できるのです。
この後スタジオで辛いカプサイシンを飲む方法を実践していましたが、なんら意味のないアトラクションです。
ヒロミいわく・・・
「かれーよ、これ」
そんなアトラクションはどうでもいいとして今回は
健康のため・・・
毎日30分は歩きましょう
・・・言うのは簡単だけどな
今回の感想
前回に続き今回もまともな内容でした。毎回こういう内容なら何も言いますまい。ただタイトルの「10分間ウォーキング」が30分に匹敵するかどうかは、やはり無理です。健康維持には10分でもいいのですが時間に余裕がある人は30分歩いたほうが良いですね。ただ気になるのが、メアリー博士。10分ウォーキングは脂肪燃焼にあまり効果がないことを早く気付かせてあげないと・・・・
大丈夫かメアリー
さて次回は・・・「秋の健康スペシャル」
はたして健康になれるのでしょうか?