むくみ

新春第一回目は「下半身太りの恐怖」という
女性の視聴者に的を絞った内容です。
どんな恐怖が潜んでいるのでしょうか?

はじめに
むくみが医療上問題になるのは浮腫です。浮腫は細胞外液量、とくに間質液(組織液)量の増加した状態をいいます。細胞外液の主要な組成である水分やNaClが間質に蓄積・貯留し、この量が多いと体重増加や皮膚上から圧迫すると圧痕を残すことにより確認できる状態になります。浮腫は大きく、全身性浮腫と局所性浮腫に大別できます。


全身性浮腫の原因には、心性(うっ血性心不全)、肝性(肝硬変)、腎性(ネフローゼ症候群、急性腎炎、腎不全)、栄養性(低タンパク血症)、内分泌性(甲状腺機能低下症・月経前)、妊娠性(妊娠中毒症)、薬剤性(消炎薬)、原因不明(特発性)などがあます。局所性浮腫の原因にはリンパ管の閉塞、静脈血栓症、アレルギー性、血管神経性浮腫、遺伝性血管神経性浮腫、炎症性などがあり、身体の一部に限局します。浮腫の生成には局所因子と内分泌や腎を中心とした全身性因子が作用し、全身性浮腫では、これらの両因子が関係して浮腫が発生します。


以上の様な病的状態であればまず医療機関にかかっているはずですが、今回の放送は「むくみ」と題して全ての人が病気であるかのような内容です。では、この前提を踏まえて番組を見ていきましょう。



「むくみとは」
導入はむくみの説明です。当たり前のことをとにかくセンセーショナルに展開するといういつもの導入は、身体の水分量が60%だの水分は不可欠だの、水がなければ生きていけないだの精液は飲んでも大丈夫だのと言っていますが、そんな脅しをかけても誰も怖がりません。


ナレーション
「なくなれば命の危険が!!!」






うるさいよ


で、モデルの山口さんの足のむくみをふくらはぎのサイズで測り、朝9時より12時の方が1.6cm太くなったのでむくみが現れたとしていました。ここでどうしてむくむのかの説明があり「皮下の細胞間液が一時的に増えるのがむくみで、むくむ場所が変わるのは重力が関係し、朝は上半身がむくむが3時間で足に現れる」だそうで、よって山口さんは正常なむくみだそうです。ここは間違いないです。立ち仕事の多い人は夕方に足がむくむのを経験した人はたくさんいることでしょう。


ナレーション
「ところが現代人の身体を蝕むむくみが起きているという情報をキャッチした」






ところが現代人に無理やりむくみが起きているという情報にはキャッシュ




ここで止めておけばいいものを例によって例のごとくいいかげんな街頭調査。相当謝礼金が多いと予想される銀座ナチュラルタイム治療院の渡辺院長の登場です。


渡辺院長
「私が改善できるのは正常範囲のむくみですが、来院されるほとんどがむくんでいます」






それって脂肪だろ



さらに街頭チェックと題して渡辺先生は起床して1時間だという女性に「あっ!むくんでますね」と、むくんでいない状態を知らないのに午前中は顔がむくむという理屈にまかせて指摘していました。こんなことなら誰にでもできます。続いてお昼ごろに少々肥満体の女子高生の大根足を見て「むくんでる」などと言っていましたが、この女子高生、相当はらわたが煮えくり返ったことでしょう。「あっ、太ってる」と言われるのとほとんど変わりません。さらにナレーションは「全身ぱんぱん状態」と追い討ちをかける始末。


そんないいかげんな街頭調査を終え「30人ほどはマッサージでもむくみが取れないことが判明」と、これまた健常者でも脂肪が多いためにもんでもどうにもならない状態をむくみと断定しています。ここで先ほどの渡辺院長が発言していました。


渡辺院長
「むくみは放っておくと恐いと思います」






いいかげんにせい



ここでスタジオに切り替わりましたが、堺正章らの頭上にはひときわ気持ち悪く、なおかつ何を表現しているのか全く理解不能の人形が居座っていました。


堺正章
「今年も様々な使える情報を、めいっぱい発掘していきたいと思っております」







今年も様々なくだらない情報で、めいっぱい脅していきたいと思っております




「むくみの正体」
ということで男2人女4人で1泊してまで実験していました。夜は何もなかったのでしょうか?おとなしく寝たんでしょうか?宴会はしなかったのでしょうか?男1人に女2人がついたんでしょうか?6人で入り乱れたんでしょうか?そんな疑問がふつふつとわき起きるのですが、ここでは体重kg×20mlの水を起きがけに飲ませオシッコの量や成分を計測するという、マニア垂涎の実験。彼らはコップに出したオシッコをまわし飲みしたかもしれません。結果は正常なむくみで問題ない人もいましたが、専業主婦とダイエット中の女性に異常なむくみが現れたとし、3つのタイプがあるのだそうです。


まずは「リンパ型むくみ」です。これは運動不足の為の筋力低下が原因だそうですが、ここはリンパに限らず細胞間液の貯留が原因ですから分類には少々無理があります。しかし、特に筋力の弱い女性はむくみやすくなりますので、ここは3つの分類の中ではマシな分類です。ですがここで「リンパ型の人は免疫力低下におちいる」と脅しをかけていました。


次は「循環機能低下型むくみ」の説明ですが、冷え性や低血圧の人は「腎臓の機能が低下するので尿量が減少し、水分を排泄できずにむくみが出る」としていました。ここでの説明は明らかに腎臓に起因する「はじめに」で書いた浮腫の状態です。ですから人間の身体は腎臓をはじめ様々なホルモンや自律神経でホメオスタシス(恒常性)が保たれていますので、そうそう簡単に尿量が減少したりむくんだりはしませんし、腎臓の血流量が減れば自動的に血流を増やそうと血圧も上昇し、低血圧なのでむくむというのは明らかな間違い。そうやって脅しておいて「解決法」などとしゃあしゃあと屁にもならないうんちくを垂れるのはこの番組の最大の問題点。


杏林大学、小橋教授
「腎臓や心臓の機能が少し悪くなった初兆なんです」





一体いくらもらってんだ?



最後は「ダイエット型むくみ」だそうですが、ただ単に太ったおばさんに屁理屈をこねまくってむくみが出ているという、どうしようもない内容。説明では「アルブミンは肝臓で合成されるタンパク質で、血管と細胞の水分調整を行う」とし、これがダイエットでタンパク質の摂取が減少すると「むくみが現れ水太りになる」としていました。さらに暴飲暴食で肝臓に負担をかけるとむくみが起きるそうですが、説明は正しいものの、それの使い方がいけません。こうなると低アルブミン血症、低タンパク血症の症状でむくんでいる以外に説明がつきません。


ちなみに低アルブミン血症の病因としては、タンパク漏出性、栄養不良、摂取不足、吸収障害、などが原因で、低タンパク血症の多くは低アルブミン血症によるものです。症状としては血液の浸透圧の低下により浮腫が起きてきます。このように見ていくと、いかにいいかげんな情報で健常者を病人へと強引にしてしまっているかがわかります。屁理屈ばっかりこねていないで、鼻くそでもほじってこねなさい。


ここでスタジオに切り替わりました。


堺正章
「特に女性の皆様、むくみを放っておくと、とんでもないことになってしまうのです」





お い



「むくみと肌の関係」
「水分のはずが脂肪へ、むくみが招く恐怖のサイクルを暴く」というナレーションで始まった後半ですが、ここでむくみからいつの間にか脂肪の話にすりかわってしまいました。水太りはむくみが全身に出た病的状態なのに、今度は肥満をむくみと言ってしまうこの番組はいったい何を考えているのでしょうか?もうこうなったら視聴率だけをねらった「キングオブトンデモ」と名づけるしかありません。


そしてまず「むくみの悪影響、それは肌」と題して実にいいかげんな実験をしています。むくみやすい3人と、むくみにくい3人の肌の状態をモニターに映して調べていましたが、そもそもむくみやすいとかむくみにくいとかを何を基準に選んでいるのかがわかりませんし、基準なんて都合の良いように作っているのでしょう。これはまず肌の状態を先にチェックし、結果が出てから荒れたグループを「むくみ体質」に、荒れていない3人を「むくみにくい体質」に分けたとしか思えません。


ここで「なぜむくむと肌が荒れるのか」をいつものように屁理屈。いわく、「真皮の下にはコラーゲンやエラスチンという弾力繊維があり、むくみの影響で伸びてしまうと、たるみ・シワといったダメージが!」だそうですが、「真皮の下」は皮下組織(脂肪)であって、コラーゲンが存在するのは真皮中です。まあ、何も知らないナレーターなのでしょうがないですが、原稿を作っている人間もやはり何も知らないようです。しかし風船に例えて「しぼんだ風船にシワが多いので皮膚にも縮んでシワが出来る」というのは誰が想像したんでしょうか?


「さらに!!!」と一般市民を脅かしておいて「むくむと目の下にクマが出来やすくなります」だそうですが、これまた意味不明。「血色色素ヘモジデリンが皮膚の薄い目の下に沈着し、透けて見える」ということですが、街中でパンツが透けて見えるのを見つけたときの喜びは相当なもので、しかしそれをじっと見る目線を他人に気付かれた時には、わしゃど〜すりゃええんじゃ


続けて「むくみを繰り返すと色素が定着し取れなくなってしまうことも」と脅かしていますが、先ほどのむくみとクマの関係は、はっきりいってわかりません。ですが、むくみを起こすような不摂生がクマにつながることはあるでしょうし、色素の沈着の説明は間違ってはいません。ここは番組のいいかげんさから推測すると、これまたこじつけである可能性は高いものです。


ナレーション
「むくみの恐怖はこれだけではありません」





まだ脅すんかい



「むくみと下半身太りの関係」
ここで実験です。皮膚表面の温度を色別に見ることが出来るという接触型サーモフィルムという機械を使い、同世代、同体形のむくみやすい4人とむくみにくい2人で太ももの比較をしていました。「サーモフィルムにまだら模様ができた人はむくみやすい人」だそうですが、そんなわけないだろ。ここはむくみを脂肪に無理やり結びつけるための実験ですから、先ほどの肌の実験と同様、まず調べてみて結果が悪いほうを後から「むくみやすい」と分類している疑いは、4人対2人というアンバランスな被験者数から見ても濃厚です。ここでお金を積まれてしかたなくコメントしたHT新宿クリニック、平嶋院長の登場です。



平嶋院長
「むくみは非常に取りづらい皮下の脂肪組織を形成しています」





ぎゃははは〜〜


医者らしからぬコメントに思わず笑ってしまいました。なんでしょうかこの説明は。むくみと脂肪をごっちゃにして説明などできるはずもありません。この後の「なぜむくみが脂肪を作るのか」もどうでもいい説明。



ナレーション
「脂肪細胞に水分、老廃物、脂肪分が入り込んで変質し悪玉化、セルライトと呼ばれる恐怖の脂肪に生まれ変わるのです」





ぎゃははは〜〜


そもそもセルライトというもの自体が存在しないのに、医者まで参加して何をやってるんでしょうか?さらに追い討ちをかけるように先ほどの平嶋院長が発言しています。


平嶋院長
「食事を節制して運動をしてもセルライトはとれません」





ぎゃははは〜〜


あんたほんとに医者か?


ここでなぜセルライトが取れにくいかの説明をCGを使ってぬけぬけと放送していました。「セルライトは余計なものが含まれている分使われにくいので、使うためには純粋な脂肪に戻す必要があります」だそうですが、これまた意味不明。



ナレーション
「むくみは肌をたるませ、取れにくい脂肪を作り出す恐怖の温床と心得よ」





この番組は視聴者をたぶらかし、どうでもいい情報で視聴率をかせぎ出す恐怖の集団と心得よ



「タイプ別対処法」
ここで最初に出てきた3つのタイプ別解消法を紹介していました。まずは「リンパ型」ですが、ももをもみほぐす→ついでに乳ももむ→ももの付け根を重点的にもむ→ももの付け根の中心もついでにもむ→足を組み脛骨の外側を5秒間押す→押しながら足首を前後に動かす→ついでに腰も激しく前後に動かす→ふくらはぎも同様ヒザのうらのリンパをもむ→ついでにもう1回乳をもむ→ハイヒールを舐める、だそうです。足がむくむ人にはいいかもしれません。


次が「循環機能低下型」の説明です。海原メンタルクリニックの院長が登場し、「健康や腎臓を考えると1日10g以下が望ましい、美容のためには1日7g以下の方がむくみにくい」と解説していましたが、ここでは良いこと言っています。これなどはむくみがどうこう言う前に、基本的な食生活の習慣にしたいものです。さらに野菜に含まれる食物繊維やカリウム、マグネシウムの摂取の説明がありましたが、なんだいい番組じゃん。むくみは無視してもこういうことは考えましょう。


続いて「ダイエット型」ですが、これはむくみというより病気の状態です。説明では「アルブミンの材料アミノ酸(またかよ)を含む豆、魚、肉類を多く摂ることが必要」だそうですが、多く摂るのではなくあくまでもバランスを重視するべきでしょう。


最後がセルライトを取る方法ですが、「代謝を上げ、筋肉を使う、暖める、40度前後のお湯に30分間半身浴」だそうです。セルライトなんて元からないのに、絶対に取れないと言いながら取る方法を紹介するのは理解に苦しみますし、その解消法が「代謝を上げる」というのですから不思議です。ここは無視して運動したりぬるめのお湯にゆっくりつかるのがいいでしょう。女性がワシと一緒に入ってくれたらそりゃもー喜びますと言っている場合ではありません。


ここからはセルライト撃退エクササイズ。脚の場合は、「立った姿勢でももの筋肉に力を入れる→ついでに後ろから入れてもらう→ももの外側を2秒間押さえる→15秒で耐えられなくなる→足の付け根まで押さえる→足の付け根に出す」のだそうです。下腹は「ひざを立てて仰向けになる→深々と受け入れる→下腹を押さえて足を上に上げ左右に揺らす」だそうですが、腹筋は鍛えられそうです。お尻の対処法は「テニスボール2個をおしりの下にしいて座り、お尻の筋肉に力を入れたり抜いたりを繰り返す」だそうですが、これは男性が喜ぶ機能が一番鍛えられますよーだ。


ここでスタジオに切り替わりエンディングを迎えるわけですが、最後に林家こぶ平が叫んでいました。


林家こぶ平
「どうやら俺はデブじゃないらしいぞー、むくんでるだけらしいぞー」





あんたはりっぱなデブです



今回の感想
脅しに脅しまくって屁理屈をこねるという、この番組の典型ともいえる今回の放送でした。むくみ→脂肪という内容のすり替えも平気でこなし、お金に負けた医者が信じられない発言をするなど、この番組は人々の健康など、とてもじゃないが考えていません。視聴率にとりつかれた番組スタッフは、今年もこのようなデタラメな放送を続けるのでしょうか?



さて来週は中国茶
放送の概略はすでに情報が入っています。
甜茶、杜仲茶、ヤンロン茶を放送するようですが、
どこの会社が協力したかなどはわかっていますので
番組の裏側を暴きますよー