水菜VSホウレン草

野菜同士を対決させたところで何になる。

「ホウレン草VS水菜」
東京の市場で人気No1である水菜と、過去10年で取扱量減少率No1のヘタレ野菜であるホウレン草を比較しそれぞれの良いところをクローズアップしようということなのですが、今回はどうやら人気が滑落したホウレン草をヨイショしようという販促企画です。ちなみに人気第2位はブロッコリーで、あるあるがブームの立役者だとのたまってました。


さて、まずは抗酸化物質であるβカロテンとビタミンEの多寡で老化防止作用を、同じくビタミンAとCで美肌効果を、鉄分で疲労回復効果を比べてましたが、いずれの効果も単品では鼻くそ程度であり野菜の栄養素の含有量を比べたところでな〜んにも意味がない。



「水菜と美肌」
水菜は京都が産地なので生産者は美肌だろうということで、不細工なおばちゃんの肌年齢を測ったら平均で5歳若かったのだそうです。いつも言ってますが、肌年齢の数値など季節や湿度に気温、化粧品の塗りたくり具合、その時のコンディションでなんとでもなるのだ。


水菜を積極的に食べることを悪いことだたー言わんが、美しい肌とは規則正しい生活やバランスのよい食事、ストレス発散に適度な運動などがもたらすものであり、単品が肌にいいなんて理屈が通るのならば「水菜は人間が生きる為に必要である」とまで言えてしまうのだ。


その屁理屈の美肌効果の正体は「水菜ポリフェノール群」だとか。こういう似非健康情報で好んで使われる「ポリフェノール」なる言葉ですが、これはありとあらゆる植物に普通に含まれているものであり、特別水菜に多いものではありません。だから同じように「緑茶ポリフェノール」なんていうそのまんまの名前が付くのです。これは覚えておいて損はない。



「ホウレン草とガン予防」
1996年、ミシガン大学でホウレン草に乳がん・子宮ガンを抑制するとの研究発表があったのだそうで、発ガンの原因である活性酸素を攻撃するルテインが多いことが根拠だとか。なので、ルテインが多いホウレン草を食べればそれすなわちガン予防と、こうなるわけですが、そんな単純なものではない。


番組で詳しい研究内容を紹介しなかったのは、恐らく動物実験などの基礎研究の段階であり、人を使った大掛かりな試験をしてないからだろう。もしデータがあるとしても、「ガンを予防できそうだ」という仮説の元にホウレン草を毎日食べるグループと全く食べないグループを分けて実際に差が出た場合は、食べないグループがかわいそうである。


続いて日本ではどうかというと、全国消費量No1である山形の老人施設では白内障の罹患率が全国平均49%に対して11%だったということで、これはホウレン草の効果だと言いたいようですが、そういう施設の食事に毎日ホウレン草が出ているとは考えにくい。


さて、因果関係が希薄なまま安易に「ルテインで白内障予防」と結論付けたのですが、効果を確かめたと主張する恒例のあるある実験は、ホウレン草を2週間食わる食わせないの2グループによるパソコン入力を利用した視力低下実験。白内障と関係ないじゃん。


おまけにちょいと調べたら平成13年度の乳がん死亡率が山形県はなんと全国8位。ホウレン草の乳がん予防は風前の灯火で、都合の良い部分ばかりクローズアップして騒いでも意味のないことが数値で出てます。まあ、この番組の検証なんてこんなところだろう。(14年は43位ですがホウレン草との関係はさっぱり)


ということで、ホウレン草も水菜も好きに食えばいいところなのに、比較して効果がうんぬんとお祭りをしたところで視聴者はどう感じただろうか。2〜3日は売り上げは上がるかもしれんが、番組もええかげんならすぐに踊らされる視聴者も実にええかげん。すぐに忘れてしまうだろう。


わしはどちらも大好きな野菜ではあるのですが、最近は水菜のザクザクという歯ごたえと癖のない味が好きでよく食べます。ホウレン草はゴマと醤油で味付けしたおひたしが旨いっ。特にホウレン草は中国産の冷凍モノが、にくたらしいほどの隠し味が利いてて最高である。ブラックジョークがわからない人はこちらをどうぞ。