今回のテーマは老化予防。
番組を妄信すれば10年は寿命が縮まるのだが
つかみどころのない老化が酵素とどう関係するのか?
「老化予防の酵素」
導入の老化についての街頭調査では、「自覚している」、「気持ちは若いが身体がついていかない」、「まだまだ大丈夫と思っている」、という3タイプに分けられるのだそうで、意識の違いこそあれ身体は老化しているという当たり前の説明の後、それを防ぐのが活性酸素を退治するSODという酵素だということです。ふむ。
この老化の度合いをはかるのが、なんと腰に手を当てながら風呂上りにコーヒー牛乳をグビグビ飲む、いや目を閉じて片足で何秒立っていられるか、踏台昇降での心拍数をみるというもの。活性酸素は運動によって確かに増えるものの、筋肉や運動能力、心肺機能の低下がすなわち酵素の働きが悪く老化が加速されるのだという実に滑稽な短絡的思考。
ちなみに老化というのはつかみどころのないものであり非可逆的に進行します。つまり、老化の速度を生活習慣などの改善で遅くする事は出来ても元に戻す事はできんというこっちゃ。その老化は個人差が大きく、健康に関して言うならば血管や脳神経、骨、自律神経などを取り上げるべきであり、比較的老化の遅い(50歳ぐらいまではある程度保てる)筋力に注目して酵素と絡めて説明したって的外れもいいとこ。
続けて街頭で片足立ちの実験で50代だとされた女子高生の例を挙げ、体力低下が激しい現代人は「酵素の働きが確実に衰えているので老化が加速されている」という妙チクリンな前提ができあがるわけです。スタジオでもゲストを交えて片足立ちで遊んでいましたが、それだけで酵素の働きが悪いだとは腹で茶が沸くわい。参考までに酵素と肝臓の働きを補足しておきますと、それについてはご自身で調べてください。
「老化の原因」
ストレス、運動などで細胞を傷つける活性酸素が多く発生すると老化が加速されるということで、そのこと自体は間違いではないものの、番組では他にも原因があるとして登場したのが活性酸素を消去する酵素SODとカタラーゼ、GPX(グルタチオンペルオキシダーゼ)。
これらがどう働くかは、まずSODが活性酸素を過酸化水素に分解し続いてカタラーゼとGPXが過酸化水素を水と酸素にまで分解するということです。その3つの酵素が出来るのが肝臓であり機能が衰えていると酵素自体が出来にくいので老化が加速されるのだそうです、バカタレ。
肝機能が衰えるって言っても肝臓は非常に丈夫な臓器であって機能低下が起きるほどのダメージをウイルスなりアルコールなりで受ければ話は別ですが、色々な働きをする肝臓の調子が悪くて起きる身体の不調のひとつが酵素の働きの低下だとしても、女子高生が片足で立てないから肝機能低下だとはちゃんちゃらおかしい。
ここでまたにぎにぎしく肝機能アップの食材が登場し、ヤケクソのごとく過去の放送を蒸し返してました。もともと肝機能異常でなければ酵素の働きがうんぬんとは言えんし何も肝臓だけでその活性酸素を退治する3つの抗酸化酵素ができるわけでもない。あらゆる細胞の中にあるってなところ。
「酵素の材料」
番組の暴走は止まりません。現代人は胃の調子が悪い人が多く酵素の材料であるアミノ酸を消化吸収するための胃粘膜が荒れている、なので消化が衰え吸収も出来ないので材料が不足し更に胃粘膜の活性酸素を除去できないという悪循環に陥るのだそうで老化も加速されるのだということです、アホンダラ。みんなそうなら死んじまわぁ。
そしてまたしてもポーンと登場した過去放送の食材の数々ですが、その中でも片足立ちが全くダメだった森久美子がメカブをバカスカ食うと言っていたことに対して堺正章は狼狽して「あーあーあー」としか言えなかったみたいです。そりゃそうだろって。食べすぎでアミノ酸の不足など起きてない今の人たちにとって材料不足だというこじつけは通用しません。あ、ジャンクフードで生活している人は別ね。
「肌の老化」
「女性の皆様、大変お待たせをいたしました」という堺正章の言葉からはじまる時は大抵全部嘘八百で、いかにターゲットが女性であるかがよくわかる。最後のコーナーは加齢だけじゃない肌の老化について酵素でいちゃもんを付けてしまおうということです。人、これを大きなお世話という。
肌年齢が実年齢より上だった人の水分量や弾力、キメを見るために腕の細胞まで見えるという機械で見たところ健康な状態ならば細胞のひとつひとつがはっきりしているのに老化が進んだ人は細胞が大きい、あるいは小さいのだそうで(そんなことわかるのか?)、角質層の28日周期のターンオーバーを司るセリンプロテアーゼという酵素が関係するということです。
細胞が大きいと新陳代謝の低下状態で出来る魚の目やタコが典型例だそうですが、あのなー。角質層に過度に刺激が加わり厚くなったのが魚の目やタコであり新陳代謝が落ちているどころか生体が刺激に対して適応するためにその部分の新陳代謝を活発にした結果そうなったのです。なのでお門違いもはなはだしい。
逆に小さい場合はセリンプロテアーゼの暴走状態なのだそうで、未熟な角質層を次々にはがすので表皮のカサつきや肌荒れの症状が起こるということです。おまけに肌は外からは紫外線、内側からも活性酸素が発生しているのでSODがうまく働かなくなりそれがカサカサや肌荒れの原因になるそうです。なんだそりゃ?
ではどうすればセリンプロテアーゼを働かせる事ができるのかということですが、マッサージして花王のニベアを塗れということです。マッサージはいいとしても添加物てんこ盛りのニベアは感心せんな。そしてビタミンAを含むレバーや緑黄色野菜、ビタミンDを含む魚やキノコを食えということですが、酵素がどうしたこうしたと騒ぎ立てることがいかに無意味なことか。バランスよく食ってればよろしい。
このように、結果が先にあって後から酵素でわざと誤魔化すように無理やり説明するとこんなんなっちまうわけで、しかもビタミンAやDは脂溶性ビタミンと呼ばれ摂り過ぎれば身体に蓄積されるので、過剰症による体調不良や妊婦さんの摂取(ビタミンAのみ)での奇形の問題も考えなくてはなりません。
そんな大切なことには全く注釈を付けないところがこのボケナス番組の特徴でもあるのですが、想像や推測で都合よくインパクトたっぷりにモノを宣伝する事が健康被害をもたらす可能性が十分あるってことを考えないのは毎度の事ながら歯がゆいものだ。しかも1週間食わせて肌が改善したという実験がまたええかげん。人、これをインチキと言う。
「ある子のコーナー」
もはや小学生並の考える力しかない視聴者がぶつくさ質問するこのコーナーですが、今回は「秋田美人は酵素と関係あるのか?」というもの。番組いわくは湿度の高さや日照時間の短さ共に全国一なのでプロテアーゼが正常に働くと屁理屈つけていました。
ちなみに一昨年の6月放送のガッテン「紫外線対策の落とし穴」では釧路と沖縄を比較し、紫外線の影響が多いと思われた沖縄の女性の方が気をつけるので肌がきれいであり、釧路では意識が薄いので肌年齢が高いという逆の結果を出していました。番組によって視点がこんだけ違うということです。これを見ると屁理屈と現実が違うという事がわかるいい例ですな。けっけっけ。
ということで、あちこち引っ掻き回して酵素の働きについてかなり無理な説明で押し通してましたが、結局何が言いたいのかサッパリでした。食材もこれでもかって程たくさん登場しましたので、いつものごとく妄信した視聴者はスーパーに走っても何を買えばいいのかわかっているのでしょうか?
まさか徹夜でスーパーに並ぶほどのバカもいないとは思いますが、品切れが恐くて徹夜で並んでもいいかなと思ってしまった専業主婦の暇なおばちゃま達は、公園の砂場でウンコでもしてなさい。ちゃんと後片付けもしなさいよ。