なんでもアミノ酸を超えた効果があるという。
いつまでこんなバカげた宣伝を続けるつもりなのか。
「カツオ節とは」
カツオは熱帯から温帯に広く分布しており年間3万キロも泳ぐし最高時速80kmで泳ぐので、その運動パワーを食って得ようという事で今回はカツオ節。そういう理屈でよくあるのが、ヒザが悪ければヒザを食う、肝臓が悪ければ肝臓を食う、といった具合に食って消化吸収した後でもそうだと言えるものもあれば、てんで的外れなモノもあるものです。
そういう理屈が全て当てはまるのならば、足が速くなりたければチーターを食う、力持ちになりたければゴリラを食う、絶倫になりたければオットセイを食う、仮面ライダーになりたければバッタを食う、コンパでうまくいけばその日のうちに食う、なんとなく雰囲気に流されて「うふっ、この人だったら食べられてもいいわ」と速攻で食われる、どうしても食いたかったがまんまと逃げられて「この、あばずれめ」と負け犬のごとくほざいてその夜白い涙を流す。
話がそれました。カツオ節には麺ツユやダシの素に使われるカビ付けしない荒節、料理に使われるカビ付けした枯節、本枯節があり、中でも花カツオというのは厚さ0.03mmと最も薄いのだそうです。一応言っておくが、花カツオがいくら薄いからといってスキンの替わりに巻くのは止めよう。
「カツオ節のバイオパワー」
カツオ節にはエネルギーの元であるATP(アデノシン三リン酸)が酵素で変化した旨みの成分、イノシン酸が普通の白身魚より3倍多く含まれているということですが、この手の単純な比較というのは比べる対象が低い場合や基準が曖昧な場合には何の意味もないし、イノシン酸自体は調味料に広く使われているので不足など起きない。
そして、イノシン酸は細胞の核の中のDNAを作る重要な成分なので、これが足りないと新しい細胞が作られにくくなり、特に20歳から肝臓での合成力が減るのだそうです。その結果、肌荒れや痩せにくい、カゼをひきやすい、果ては尻や乳が垂れ下がるという現象が起き、それすなわちイノシン酸が不足するから細胞の新陳代謝が狂っていくのだそうですが、狂っとるんはお前じゃボケ。
そんな都合のいい屁理屈から出てくるセリフはお決まりの「だからイノシン酸を多く含むカツオ節を食いましょう」ということであり、我田引水もはなはだしい。老化というのはあらゆる生物にプログラムされているのであり尚且つ人体は非常に巧妙に恒常性を維持しているのであるから、番組の言うような不足など起き得ない成分を取り上げて食えというのは誠にバカバカしい。人これを、大きなお世話と言う。
続いていつもの実験と言う名の6人のお遊戯では、カツオ節を食って肌の新陳代謝が活発になったとか、しまいにゃ花粉症が改善したという。これがカツオ節パワーだと言いたいのだろうが、ヨーグルトで花粉症が治るというデマに懲りた少々賢くなった視聴者ならば、「ふん、今度は騙されないぞ。ぽてちん」と思ったことでしょう。いつものように実験の信憑性は限りなくゼロ。
「ロシアの最新研究」
モスクワ国立大学ではカツオのペプチドに注目し、ロシアのナショナルチームの選手がサプリメントとして飲んでいるのだということで、その中身はアミノ酸の一種ヒスチジンとアラニンが結合したアンセリン・カルノシンなのだそうです。
そして1990年には東大で研究がスタートしたということで、1994年にはアメリカでペプチド専用の取り込み口が小腸に発見されたのだそうです。それはアミノ酸よりも吸収が早いために疲労回復効果や脳の神経伝達がスムースになるそうです。あなかしこーあなかしこ。
「ある子のコーナー」
今回は無視できんでしょう。カツオ節には海のミネラルが多いのか?という質問には、他の海藻や魚介類に比べ少ない、というところまでは良しとしても、それに続くダイエット効果については即ゴミ箱行き。すぐに右クリックで空にしましょう。
その理屈は文教女子短期大学、中島教授いわく、「ヒスチジンを多く摂取すると熱産生が高まって脂肪の消費量が多くなる」と言っていました。このインタビューのVTRを見る限り、最後の「多くなる」のところで不自然に声が切れており、恐らくその後には「可能性があります」とか「と思われます」という言葉が入っていたのでしょうが、どうやらカットされた模様。
で、その屁理屈の説明ではカツオ節を食うと脳の視床下部を刺激してリパーゼが中性脂肪を分解するとか満腹中枢を刺激するのだという空想科学の世界。いつも言っているように、エネルギーの消費を考えないダイエット理論などは絵に描いたモチだ。
「効果的摂取法」
最後は恒例の効果的摂取法について。まずはカツオ節生産量全国一の鹿児島は枕崎市、竃麹闔sカツオ会社に勤めるおばさん達にインタビューです。口々に病気はしないだとかカゼひかないだとか、たまげたことに休まず働いているだとか、あなたは労働基準局に訴えなさい。
っていうか、そりゃカツオ節を作る会社に勤めているのに悪口言えないわな。そのおばちゃん達の肌を調べたら実年齢よりも若かった人が多いという事なのですが、しわくちゃの顔を並べておいて、それがすなわちカツオ節で美肌だとは笑わせてくれるわい。根拠もへったくれもあったもんじゃない。
続いて旨いダシの作り方です。ここが一番のお役立ち情報か。で、どうすればいいかということですが、沸騰したお湯に1/10の差し水をして80℃に湯温を下げてからカツオ節を入れ、そのまま1分間置く、ということです。そうすれば苦味もなくうまいとか。うむ。
このように、イノシン酸がどうのカルノシンがこうのと屁にもならないうんちくをたれるんじゃく、旨いダシの作り方や料理での活用法に徹していれば役立つ番組だとちったー評価してやるところだけれど、やっぱこの番組では無理みたい。それでもカツオ節で痩せようなどと夢見るビア樽体型のおばはんは、股から生ビールでも出してなさい。