貧 血

毎回貧血でぶっ倒れるような放送が続いてますが
今回も血の気を失ってひっくり返るのか?


「貧血の実態」
「現代人の不足している栄養素を5年にわたり追及してきた」という欺瞞に満ちたナレーションから始まった今回は、不足の真打登場ということでいつものように偏食を推奨しながら特定の食品の販促をするという非国民の放送です。


その真打とは今回のテーマである貧血。あるひとりの被験者の女性の食事からの摂取が1日5.9mg、1日所要量が12mgなので半分だという比較を経てそれを象徴するのが街中で座り込む若い女性だという、いきなりのボンクラな解説に気を失ってしまいました。


「なぜ座っているのですか?」というマヌケな質問に「疲れたから」とけげんな顔で答える若い女性。それを受けて「これはまさしく酸欠状態」なのだそうです。なんだその前提は。もし酸欠状態であるならば、心拍数や呼吸回数が増えて「はぁはぁ」言ってるはずだ。


そして30人の街頭調査の結果19人に酸欠の疑いがあり19人の内7人が貧血、残りの12人中半分がギリギリ基準値なのだそうです。貧血は若い女性で多いのかもしれないものの、座っている女性が貧血で酸欠状態だという因果関係がサッパリ。


なんとなく疲れやすいという場合には貧血も要因のひとつとして考えても間違いではないですが、すぐ座る=酸欠=貧血とはどうしたものか。なので、女性は貧血を意識した食事を心がける、ということでよろしい。


ちなみに鉄欠乏性貧血の他の原因では、胃切除(胃酸で吸収しやすい形に変わる)、消化器からの出血、痔、妊娠、成長期、そして生理などですが、ダイエットや偏食でも起こりえます。だからといって鉄分だけに注目するのではなく、あくまでも気をつけるということでOKです。でないと、やれビタミンだのミネラルだのとわーわー騒いでその都度特定の食材をドカ食いしても意味がないし、かえってバランスが偏るだけです。



「鉄分の働き」
「酸欠だとどうして座るのか?」というハチャメチャな前提から平地と高地で計算能力、記憶力、集中力、運動能力を比較して酸素の薄い高地の方が劣るという当たり前の実験を見せた後、酸欠なら脳が一番ダメージを受けるっちゅーのはけしからんことだ。酸欠じゃないっちゅーに。


で、鉄分は小腸で吸収→骨髄でタンパク質と結合→ヘモグロビン合成→赤血球誕生、という流れは間違いない。そうして出来た赤血球が酸素と結びついて全身に運ばれ細胞に届けられるということです。うむ。


そして人体には3gの鉄分がありその内訳は身体に2g、肝臓に1g、毎日の損失が1mg、1回の生理で20mg失うということですが、資料では身体に3g、血清中に3〜4mg、肝臓に1gとなっており合計4〜5g。また、食事で摂取した鉄がそのまま肝臓で貯蔵されるとする番組の説明に対し、資料では古くなった赤血球が肝臓で鉄とタンパク質に分かれてそれが肝臓に貯蔵される、とありますです。


ちなみに古くなった鉄分は肝臓で貯蔵される以外は腸粘膜や皮膚からアカとして排泄され、その量は1日1mg。そして食事からの摂取で1mgの吸収ですのでバランスが取れているということになります。女性はもちろん失う量が多いので気をつけるべきですが、皮膚からアカとして排泄されるなら「ならば身体を洗わない方がいいのか?」なんて質問をあるあるに送り付けるおまえらは遠い北の国にでも行きなさい。



「アメリカの新事実」
アメリカでは女性の鉄所要量が15mgから18mgに改定されたのだそうで、なぜかというと12年間調べたマサチューセッツ工科大学でわかったことは、1回の生理で失う鉄分は20mgをはるかに超えるのだということです。だけど日本人はアメリカ人じゃないぞ(当たり前


貧血が原因の倦怠感やめまい、頭痛などだけでなく貧血ならば酸素を全身に運ぼうとポンプが働きすぎ心肥大や心不全になるということですが、心疾患にはそんなことより大切な事が山ほどあるだろ。ちなみにそれは何かを補足しておきますと、それはテキストのどこかに書いてありますので、自分で探してください。


更に子供の鉄分不足が学力や体力低下を引き起こすのだそうですが、一面だけを見てそんなことが断定できるのか。偏食が激しい子供の食事ならば疲れやすいなどの症状があるものの、赤味の肉にむしゃぶりつく今の子供に不足が起きるのかは疑問。


そして今度は男性の過剰な摂取が心臓病を引き起こすとかってんでギャーギャー騒いでいましたが、蓋を開ければそのデータはなんと肥満者に多いという事です。なんだよ。単なる食いすぎで太った男性ならば鉄分の過剰というより巨大な身体が心臓に負担をかけ、尚且つ血液もコレステロールや中性脂肪でドロドロで血圧も高いだろうし、そういう事。


さて、スタジオでは鉄分の多い食材を並べ替えるという年長組のお遊戯をしていました。そして結果は3位がひじきの煮物、2位が豚レバー、そしてたまげたことに1位はなんとアサリの水煮缶。この番組はお手軽摂取法と称して加工食品や缶詰をやたらと推奨するのですが、今回も裏で水産加工メーカーが金でも出しているのだろうか。



「効果的摂取法」
毎回毎回あれ食えこれ食えこれも食え、食え食え食え食え食いなさいと言われる視聴者はどう思っているのか。放送するたびに新しい食材を踊り食いさせられ、以前の放送をすっかり忘れてしまうのでしょう。


さて、最後は摂取法です。動物性食品に多いヘム鉄(吸収率20〜40%)と植物性食品に多い非ヘム鉄(5%)では吸収率に差があり、ヘム鉄の方が吸収しやすいし有機酸と一緒に摂取すれば吸収率もあがるのだそうです。うむ。


ただし味やニオイの問題で動物性をなかなか毎日食べる事は難しい、なのでこれまたお手軽摂取法の登場です。カリフォルニアでは毎日プルーンを食っているのだそうで、1食分非ヘム鉄1.1mgしか含有量がなくてもビタミンCなどの有機酸が吸収率を2〜3倍にする、なので食えという事です。


では計算してみましょう。含有量1.1mgならば吸収率5%で0.055mg、吸収はその3倍だとして0.165mg。おい、どこがすぐれているんだ?この部分はべらぼうな価格でセット販売するミキプルーンも絡んでいるのか。


確かにビタミンCやタンパク質を一緒に摂取すると鉄の吸収率はあがりますし、それについては特別文句もない。ただし、ことさらプルーンを食わなくてはならない理由もないしだな、そんなもん取り上げたらミキの販売に利用されるだけだろ。


ということで、番組終了です。いつもの脅しと宣伝がセットになった悪徳商法まがいの放送でした。ただでさえトチ狂った視聴者がたくさんいるのに、日頃食わないプルーンや水煮缶を求めて今週もさまよい歩くのか心配です。





ゲストの金村さん
「さっそく水煮缶を買いに行きます」




ほらね