最近の放送は以前に比べずいぶんおとなしくなってきましたが、
どうやら夏祭りを開催しないと気がすまないようです。
さて、今回はDHA祭り。内容はいかに?
「DHAとは」
DHAはドコサヘキサエン酸という成分で、青魚に多く含まれるのだそうです。これは同じくイワシやサバなどの魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)と共に知っている人も多いはず。そのDHAは今年5月に行われたという「第5回国際脂肪酸脂質学会」でも8割はこれについての発表だったそうです。だからどうしたってんだ。
そしてDHAは1990年にマグロの目玉から発見されてから日本で急速に研究が進んだのだそうで、「頭が良くなる」というのが常識だということです。なんと非常識な。魚食っても勉強もしないで毎日テレビゲームをしてマンガなんか読んでたら魚眼レンズの小学生の誕生だ。そういえば最近は中学生でもコンタクトだし、牛乳ビンの底のようなメガネをかけた子をほとんど見なくなったな・・・
それはさておき、頭が良くなると言うのは常識どころかまともな研究などもなく、ただそう言われているというだけであって何も魚さえ食えば頭が良くなるというきちんとした科学的根拠があるわけでもない。まさか、「おさかな天国」の歌が根拠じゃあるまいな。
だいたい勉強もしないでどうやって頭が良くなるというのか。それに「頭が良い」というのが記憶力なのか計算能力なのか回転の速さなのか、その辺は個人差が大きすぎて調べようもないじゃんか。青魚が好きなワシの頭はさっぱり良くならないぞ。
そんな非常識から始まった今回は、例によってはっきりわかってない海外の情報を横取りしてお祭りにしてしまおうという恐るべき企画です。この導入では魚を食わない若者の「キレる」とか「若者に増えるウツ病」などと精神異常を引き合いに出して「あなたの脳が危ない!」という、実にくだらん脅しをしやがってバカヤロー。
しかしながら、確かに嫌いな青魚を無理やり食うというのは乱れた食生活において非常に大切な事ではありますし、今のバカ者、いや若者は肉ばっかり食いすぎじゃボケ。ですから魚で頭が良くなると言う以前に肉食で動脈硬化が確実に進行する事を考えてもマズイ魚をイヤイヤ食うのは大いに歓迎したいところ。そんなに嫌いか?
「DHAと脳細胞」
最初のコーナーは、何が何でも魚で頭が良くなることをでっちあげる屁理屈満載のコーナーです。まともな研究や文献がないとわかるや、根拠として出てきたのが岡山大学農学部での実験、「培養した神経細胞にピュアなDHAを加えたら細胞が突起を伸ばした」という、なんとたったのこれだけ。ガクッ
この実験はそういう効果があるかもしれないという極めて初歩的な事を示唆するものの、脳に直接DHAを注射するわけにもいかないのに、実に不確実な証明です。それをやめときゃいいのに例によって意味のない4人の実験で確かめていました。
内容は簡単な計算問題を連続して答えると言う「内田クレペリン検査」を4人に行うというもの。ここで注目すべきなのは、このサイトで再三指摘してきた「慣れ」の問題を番組では「2回目では慣れがあるため+10%の誤差がある」と正直に放送していたところ。これにはびっくらこいた。
なぜそのように放送したかと言うと結果が良かったからで、いつもなら慣れて効率が上がった事を無視して、「こんなに効果が出ました!」なんてやらかしてるところです。でもまあ、これを視聴者が勘違いして「魚を主体に食べる」ということならいいのですが、最後はとんでもない方向へ転がっています。これは後ほど。
で、結局のところ結論は頭の回転が速くなるということなのですが、屁理屈の説明は省略。ただスタジオでのボードを使った菊間アナのまとめのコーナーでは、前回指摘した「ドーン」や「カキーン」という大げさな効果音が今回は「ピコッ」という控えめな音に変わっていました。これは最後まで変わらなかったので、私はイスから転げ落ちようと待っていたのですが、タイミングを失ってしまいました。待っているワシもワシですが。
「DHAの更なる効果」
更なる効果を紹介するのに持ち出したのが、8人の実験による体験談オンリー。まずは視力が回復するかどうかということですが、これは効果なし。網膜にDHAがたくさん含まれていても、それがすなわちDHAの摂取によって良くならないという当たり前の結果。
目の悪い人は知ってると思いますが、視力は毛様体というレンズの厚みを調整する機能に関係します。番組では暗いところでよく見えるようになるなんて言ってましたが、ビタミンAの不足がない限り網膜に影響があるという確証なんてたぶんない。
続いては赤血球の変形能力をアップさせるとか、血管が広がるとかの説明がありましたが、これによって「冷え性、夏バテが解消する」と3人の被験者の「なんとなく楽になった気がする」という体験談だけで効果があるように見せています。もちろん無意味。
お次がコレステロール低下作用。被験者の4人に3人が下がったと言う事で、ひとりはどうしたんだ?まあこれは、結果を無視してもDHAを含む魚を主体に食べればどうやらコレステロールは低下するようですが、肉から魚に変えるだけでも効果あり。
最後が生理痛が改善したと言う体験談。理屈はプロスタグランジンの発生を抑えるとのこと。理屈は合っているものの、これを証明するのはアメリカの被験者42人の論文。そのうちの68%に効果があったということですが、被験者の人数が少ないうえに自覚症状なんて実にいいかげんなもんです。
「ある子のコーナー」
もはや考える能力を完全に失ったアンポンタンな視聴者からの質問は、「DHAを摂ればやせるのか?」というもの。もう好きにしなはれ。こういうマヌケな視聴者に支えられて早6年。ますます頭が悪くなる視聴者にDHAが効くと思うのかねチミは。
「効果的な摂取法」
まずは1日のDHA摂取の目標について、1500mgを目安にするということです。んなこたーどーでもいいこっちゃ。で、DHAは摂りすぎの心配はないと番組では断言してましたが、これはいかがなものか。
DHAを摂ろうと青魚を食い過ぎればEPAも同時に摂取する事にもなり、EPAの過剰には脳出血の可能性も残されてるのにそういう注意は全くナシ。これは暗にサプリを飲めということか。いずれにしても何かに偏った食事は避けるべきであり、嫌いな青魚もたまに食べればよろしい。
続いてのおせっかいは青魚以外でのDHAの簡単摂取法。DHAは酸化しやすいので魚のなかでもシャケやイクラを食えばいいそうで、コンビニのおにぎりや惣菜で手軽に摂れるという紹介がありました。言うに事欠いてコンビニで食えだとは一体何事か。
そして調理法によってDHAの流出に差が出るのだそうで、生で食うのが一番、次いで煮たり焼いたり、一番効率が悪いのが揚げることだそうです。そんなことを放送しながらお手軽摂取法として出てきたのが驚くなかれなんと缶詰。あ〜こりゃこりゃだな。
しかしなんということでしょうか。今回の放送は、ひとり暮らしで健康に不安があり、尚且つ料理をしないズボラな20代の女性がターゲットなのか。コンビニでシャケのおにぎりとサバの缶詰でも買って晩飯に食ってりゃ世話ないわな。
スタジオに戻っても缶詰缶詰の大合唱で、1位の大トロ、2位のサバについで3位がイワシの缶詰、4位がこれまたサバの缶詰なので手軽に食えるだことのぬけぬけと放送し、さらに缶詰選びのポイントまでご丁寧に教える始末。そんなもんDHAがどうとか言う以前の問題じゃバカタレが。
番組ではDHAをこれでもかってぐらい持ち上げてはいますが、気になるのは再三登場したサプリでの摂取法。基本的なバランスを考えていれば特別DHAをサプリで摂る必要もないですし、「健康日本21」でもDHA摂取目標などは設定されてません。
それに勘違いした視聴者がお手軽摂取法と称して缶詰やサプリに走り、かえってバランスを崩す事にもなりかねない。少しはそういう事を考えて放送したらどうかね、ノータリンどもよ。
さてスタジオでのお遊びも終わり、にぎにぎしくもいやしく番組終了です。DHAがどうこう言うより脂でギトギトしたまずい青魚をたまには無理やり食えばいいということです。番組見て肉食から魚を見直して食べるようになれば、それはそれでいいことなので、それに関しては特別文句があるわけじゃない。皆さん、魚食いましょうね。
おさかな天国
「魚魚魚〜魚をたべ〜ると〜♪頭がよく〜なる〜♪」
うるへーわい