中国茶

「中国健康茶脅威のパワー大検証」という
前回の中国料理のついでに取材した今回
どんなパワーがあるのでしょうか?

はじめに
今回は放送前に協力会社の資料が手に入っていました。日立造船バイオという会社が造船不況から作った杜仲茶の事業部があり、そこの北京事務所が全面協力したらしいです。医薬品の問屋は「あるある」の放送があるので、放送するお茶を仕入れて欲しいと日立造船から依頼があったそうです。それで資料が手に入ったのですが、相当なお金が動いたそうです。


さて、中国茶ですが、緑茶の抗酸化作用ように効果がはっきりしていれば別ですが、この番組のいいかげんさからしてどうも胡散臭さが漂います。中国の健康パワーと言ったって、中国は平均寿命が男女共に10歳以上日本人より短く、そこが4000年の歴史に裏付けられたと言われたって、食文化が違うことに屁理屈をこねているようにしか見えません。ではどんな屁理屈があるのか、番組を見ていきましょう。



「中国茶脅威のパワー」
前々回放送の「中国料理」でいらぬおせっかいをしたのに、また懲りずに「発掘」と称してお茶の紹介です。四川料理店では「木の皮をお茶にしていることを見つけた」と言っていましたが、これは発見したのではなく事前に日本で日立造船バイオに依頼をし、それを海外取材と称して調査(?)しているだけです。裏がわかるとこんなところにもツッコミを入れたくなります。まあ、テレビ的ということを考えれば闇雲に中国を徘徊したって無駄なのはわかりますが。


続けて「お茶の葉から作ったお茶は皇帝しか飲めなかった」とし、なので植物からお茶を作ったとしていました。「ということは一杯のお茶にも何か秘密があるに違いない」といういつもの展開になるのですが、「ありとあらゆるお茶について大々的に調査を行いました」などと本当に調査をしたかのように言っていました。はっきり言ってこれは嘘でしょう。その調査を裏付けるのがいつものいいかげんな街頭インタビュー。


若い女性
「このお茶できれいになれるの」


おじさん
「あのお茶のおかげで元気でいられるのです」



ナレーション
「やはりどこに行ってもお茶は健康に重要なようです」






おいおいちょっと待てよ〜


たった2人のインタビューで出てきたのがこの言葉。いつものことですから特別驚きはしないのですが、水分補給や休憩以外に考えてお茶を飲む人間がどれだけいることか。特に中国なんて習慣で飲んでいるだけで、健康になりたいが為に飲んではいないはずです。


さらに「様々な研究結果を集めたところ、これまであるあるが調べてきた様々なパワーに満ちていることが明らかになった」と、入念な調査をしたかのように放送していますが、十分調べていないことは明らか。まず日本での取材→それを調査したかのように見せかける演出の海外取材、というのが妥当な解釈。信用させたいが為にこの様な演出をするのはテレビ番組だから致し方ないのかもしれませんが、嘘はやめなさいよ。


導入の最後には「そしてついに現代日本人を救ってくれるお茶を発見!」とし、「3つの中国茶のパワーを大公開」だそうですが、お茶だけで解決できるとするかのような大げさないつもの展開。つまり、大きなお世話ということです。誰かお世話をしてください。


ここでスタジオに戻って堺正章の発言。


堺正章
「現代人にズバリ効果がある3つのお茶を発見しました」




またおせっかいかよ



「体脂肪を減らすお茶とは?」
ここで杜仲茶がにぎにぎしく登場です。四川省の成都にある漢方薬市場には杜仲の皮が売っているらしく、その皮は6000年前から繁殖しているのだそうです。それを「恐竜が絶滅した氷河期を乗り越えた」としていましたが、杜仲を強調するための意味のない比較です。植物と動物を同じ次元で比較してどうする。その漢方薬市場にはそれはそれは大量の生薬が集まっていて、その中で杜仲がどうこう言ったって何もはじまりません。


そんな杜仲がどんな使われ方をしているかを調べるのがたった1件の一般家庭。そこで予定通りに杜仲を煎じてお茶を作らせていましたが、それを見せておいてナレーション。「やはり杜仲茶は四川の人々にとって欠かせないものだったのです」だそうですが、もっとましな演出はできないものか。まあ、日本で言う玄米茶やほうじ茶、麦茶といったところでしょうか。


では杜仲茶にどんな効果があるのかということで四川省の診療所の先生がコメントしていました。「高血圧、肝臓の弱い人、体脂肪を減らす効果もあります」だそうですが、杜仲は手元の漢方薬ハンドブックによると肝機能の改善やそれに付随する腎臓の機能回復と記述してあります。これのみならず、体脂肪が減るなんていうのはどんな理屈をつけてもできるわけがありません。


そこでどういう作用が体脂肪を減らすのかの説明がありました。「杜仲茶にはリグナン化合物を中心に多くの成分が含まれ、これが効果を発揮している」と西北農林大学、蘇教授は発言していましたが、このコメントには体脂肪を減らすと言う言葉は一言もありません。都合の良い部分に挿入して、あたかもそうであるかのようなまぎらわしい発言です。


説明によるとリグナン化合物は「脂質の代謝に深くかかわる肝機能をアップさせ、これが体脂肪を減少させ、さらに小腸でコレステロールの吸収阻害もする」のだそうですが、正常な肝臓の人が特別大量に摂取したからといって、体脂肪が減るわけないだろ。


ここで「意外な事実が」ということでわかったのが原料の違い。中国では樹皮なのに日本では葉を使っているということです。都合のいいように解釈するために近畿大学の教授が詰まりながらコメントしていましたが、それによると「樹皮の作用は葉でも期待できる」だそうで、1/6のリグナン化合物が含まれるのだそうです。しかし、仮に効果があるとしても1/6になったのでは効果があるとは程遠いぞ。


近畿大学の実験ではラットを使って実験し、コレステロールが下がったとしていましたが、これを受けてナレーションは「人間でも効果が実証されはじめている」だそうです。ということは確かな実証がないわけで、ここではコレステロールの減少を体脂肪の減少に結びつけるためのこじつけに過ぎません。また抗酸化成分ゲニポシド酸という呼びにくい名前を持つ成分が樹皮より葉に多いとしていましたが、体脂肪とは関係ないだろ。


ここでいつもの実験。男女6人に2週間毎日1.5リットルの杜仲茶を飲ませ体脂肪を測っていましたが、それを測るのがなんと市販の体脂肪計。結果は−0.6〜−3.4%減ったそうですが、誤差範囲にしかなりませんし、体脂肪なんて正確には測れません。どうせ「体脂肪が減る=体重が減る」ということを放送したいのなら、体重でも量ったほうがよっぽど信用性が増します。いや、ちょっと待て、そうなると実験前はたらふく食わせて満腹時に体重を量り、実験後は空腹時に体重を量るというインチキをやりかねない。まあ、この番組の実験はその程度のアトラクションですから真剣に見てはいけませんよーだ。



「免疫力を守るお茶とは?」
ここでは中国の病院で処方されるお茶の紹介です。そのお茶とは羅布麻茶。これは中国薬典の記載されている唯一のお茶だそうで、荒れた大地に自生するキョウチクトウの仲間だそうです。こんちくしょう。羅布麻茶研究センターの王さんいわく「高血圧を抑えるなど、いくつも効果がある」のだそうです。これについてはよくわかりません。いや、わかったとしても私は飲む気はさらさらありません。


で、中国では30年間羅布麻茶の臨床試験を行っていたそうで、血圧降下作用は800例中降下率88.6%、血中脂質においては83例中75.9%に効果があったそうです。しかし、30年も研究していて症例数が笑っちゃうぐらい少ないのはどうしてでしょうか?しかも「かつては中国羅布麻茶中心という研究機関があった」と過去形で紹介されました。ということは現在では研究されていないと言うことではないですか。しかも、比較対照(飲むグループと飲まないグループで比較)をしたかどうかもわかりません。そんないいかげんな臨床データは何を物語るのか?


続けて、そんなうじうじはっきりしない羅布麻茶には白と紅があるのだそうで、紅の方に薬効があるのだそうです。それを探しに北京から車で5時間、河北省の安国という所の漢方市場で発見していました。そこで一般的に知られている効果は?ということでたった一人の女性にインタビュー。「高血圧に良いといっていますね」だそうですが、それを受けて「一般的に知られています」などと言っていました。そんなあほな〜。ちなみに私のモノは黒と赤です。だからどうしたと言われれば返す言葉はありませんが、そんなに言わなくてもいーじゃないですか。


そしてどうして血圧に効くのかの説明では「イソクエルシトリンとハイペロサイドの2つが重要で、腸でケルセチンに変化し血をサラサラにする」ので血圧が下がるとしていましたが、ケルセチンは何も羅布麻茶だけに特異的に含まれるものではなく、ルチン(血管補強薬)などの配糖体のアグリコンというものとして植物界に広く分布しています。ですから、減塩、野菜の摂取、運動、適度な飲酒、禁煙などが血圧には大切です。


さらに羅布麻茶には精神安定作用があるのだそうですが、これは「うつ状態を改善させる働きがある」などと仰々しく展開していますが、実際に効果が確立した「セントジョーンズワート」(おとぎり草)の足元にも及びません。ここでもドイツのラットの実験から証明しようとしていますが、ラットで効果がある=そのまま人間に効果がある、という論法は成立しません。「これはネズミによ〜く効くお薬です」と言われて飲む気がするでしょうか?


ここで本題の免疫活性について触れていました。羅布麻茶を飲むと「ドーパミンの分泌を促しNK細胞の活性化をし、免疫力がアップする」そうですが、そうそう簡単に免疫細胞の活性などできません。こんなお茶をがぶがぶ飲むのではなく、食事バランス(特に緑黄色野菜)、適度な運動、ストレス対策が最重要であることがこの番組はいつまでたっても理解できないようです。



「花粉症を抑えるお茶とは?」
ここでご存知の方もいるかもしれませんが、甜茶の登場です。読んで字のごとく甘いお茶です。その甜茶は南寧というところで多くの人に飲まれていると、これまた街頭で2人に聞いただけで断定し、それは現地ではのどの痛みだとかカゼの時に飲むのだそうです。そこでお茶専門店での取材では「カゼや鼻炎によい」とされていました。そこでナレーションは「えーー、花粉症にいいんじゃないのー」と言っていましたが、現地では花粉症対策では飲まれていません。


なぜかというと花粉症は日本独特の病態で、何十年か前に杉の植林が盛んに行われ、それが成長して花粉を撒き散らすようになったり、道路のアスファルト化によって近年問題になっているものです。ここを読んでいる方で花粉症の人も大勢いるのではないでしょうか?ちなみに私はアレルギーはいっさいありません。ですが、持病の狂乳病、視乳症はかなり重症だとこんなところに書いている場合ではありません。


では、なぜ甜茶が花粉症に効くのかの説明では、甜茶には甜茶ポリフェノールというそのまんまの名前を持つ成分が含まれており、これが「IgE抗体が取り付いた肥満細胞から、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの放出を抑える」という説明がありましたが、この説明は間違いありません。しかしながらこの様な説明をそのまま鵜呑みにはできません。何か効果がありそうというのは、屁理屈だけで断定できるものではありませんし、こうなったら屁を思いっきりぶっ放そうではないか!!!


ここでまたいいかげんな実験。ハウスダストアレルギーの3人に甜茶を2週間飲ませ、その結果ヒスタミンの分泌量減少が5人中2人に現れたので、「同じメカニズムで起きる花粉症にも効果的だと考えられます」だそうですが、そんな少人数で実験したって証明できるはずがありません。それにいつもなら全員効果があるのにこの実験はめずらしく3人が効かなかったという、この番組にしてはおかしな内容(なぜかは後で出てきます)。


ここはその効果について私はよくわかりませんが、日本で甜茶が花粉症に良いとする研究発表や論文、臨床試験データはあるのでしょうか?もしここを読んでいる方で「効いたよ」という経験をお持ちの方は、掲示板にでもお願いします。


ちなみにアレルギー性鼻炎はハウスダストなどの通年性、スギやブタクサなどのある時期だけに症状が現れる季節性のものがあり、何が原因かは皮膚テスト(皮内、プリック、スクラッチの3つの方法がある)を受け、いずれの方法で行う場合でも15〜20分後に膨疹と紅斑を計測し判定したものを参考にします。それがわかればまず抗原(原因)を避け、規則正しい生活、ストレスをためない、バランスの良い食事、身体を鍛える、ついでにチンコも鍛えるなどの対処法を実施したいものです。


ここではもう甜茶が効果があるとされましたので、その飲み方の紹介です。1日3回、花粉症が飛ぶ2週間前から飲むと、53.3%が中程度以上の改善で、発症後に飲むと、6.7%の有効率だそうです。はは〜ん、なるほど。先ほどの実験で5人中2人が効果があったというのは、この数字に合わせてきた事がここでバレました。よくもぬけぬけと露骨に数字を合わせるような細工ができるもので。しかし、このデータはどこから盗んできたのでしょうか?



ナレーション
「これらのお茶はドラッグストアなどで購入することができます」



前略




あるある大事典様






これはドラッグストアの販促番組ですか?(号泣)



今回の感想
ということで今回は、よくわかりませんでした。ただし、特定のお茶だけに番組の言うような効果なり成分があるのではなく、全ての食材は何らかの効果を持つものです。よって、お茶を飲むのに健康なんて考えず、普段の食生活、生活習慣から健康は生まれるものですから、特別がぶがぶ飲む必要はないでしょう。しかし甜茶はどうなんでしょうか?気になる存在です(泣)


さて来週は「感」
ものすごい論理の飛躍と屁理屈が予想されます。
お見逃しのないように。