脳ドックスペシャル


恒例の秋の90分スペシャルとして
全国民を脳の病気にしてしまおうという恐怖の企画です。
はたして解決法は見つかるのか?
テキスト長くてすんません。


「現代人の脳」
いつもの導入は、緊急調査と題して現代人の脳の危険を探ろうということですが、「おとといの夕食に何を食ったのか?」というマヌケな質問に答えられなかった人が多数いたのだそうで、それがすなわち現代人の脳に異常の危険性があるという、実につまらん脅しです。


記憶の中枢は海馬というところにあり、ここに電気信号が繰り返し流れる事で記憶というものは増強されるのであって、特に感動したとか美味い外食をしたとか、時に髪の毛の長い人を運良く喰っちゃったとか、そういう感情が伴わない記憶というものは忘れて当たり前。そういえば、あるあるって何曜日の放送だっけ?


そんな今回は脳梗塞、脳出血、脳萎縮の3大トラブルについて見ていこうという事です。今回はあるあるチェックと題してまず登場したのが、左手で電話のボタンを押し、右手でへのへのもへじを書く、というもの。その他にも多数登場しましたが、アトラクションとしてはなかなか面白い。



「脳梗塞とは」
まずは脳梗塞について。春の健康診断スペシャルで頭痛があるというバイトの被験者32歳の脳をMRIで調べたところ小さな脳梗塞が何個か見つかったのだそうで、1.5センチ以下で無自覚の「微小脳梗塞」だということです。しかし32歳とは早いな。


これは老化に伴うシミやシワなどと同じで誰にでも起こりうることであり、ことさら騒ぎ立てる程のことではないのですが、食生活の欧米化によって動物性の脂肪摂取や糖分摂取量の増加に伴い若い人でも起こりうる可能性はあります。ですが、番組的な脅しは無視して結構。頭痛があることがイコール脳梗塞でもないし。


そして脳梗塞には2つのタイプがあるとし、脳の血管自体が細くなったりして徐々に詰まる「脳血栓」、主に心臓などに出来た血栓が血流に流されて脳で詰まるのが「脳塞栓」だとしていました。ここはそのとおり。ちなみにこれらと脳出血、くも膜下出血をひとまとめにして「脳卒中」と呼びます。知ってました?


続いて、脳梗塞の要注意ポイントとしてまずは内頚動脈から枝分かれした先にある筋肉や動きを司る大脳基底核で、もうひとつは椎骨動脈につながる運動やバランスを担う小脳だということで、ここも問題なし。ちなみに動脈は通常近くの動脈と連絡網がありますが、それがない脳の動脈(終動脈という)が詰まるとそこから先は死んでしまいます。


さてここで、あるあるメディカルチェックとして出てきたのが目をつぶって手を広げ、人差し指を身体の前でくっつけるというもの。続いて利き手とは反対の手でビンタをするマネをして寸止めする方法でした。仲の悪い夫婦はまたとないチャンスですので、お互いを思い切りひっぱたいておいてください。



「脳出血とは」
脳出血の危険因子である高血圧ですが、血圧計で正常値でも脳へ向かう血流は上腕より多くて速いのだそうで、だから血圧が低くても注意しなさいという事なんですが、心臓より高い位置にあって酸素を沢山消費する脳に重力に逆らって血液を送るのだから、速くて多いのは当たり前だよ君たち。


ちなみに脳血流量は健常成人で50〜55mL/100g脳重量/分であり、心拍出量の約15%も必要です。さらに全身の酸素消費量のほぼ20%を消費しますので、全身の重量比では体重の2.2%にすぎない脳はきわめて酸素需要の高い臓器なのです。


続いて脳出血の危険ポイントとして登場したのが大脳基底核周辺だそうで、枝分かれした部位が危ないということです。動脈硬化が進んで弾力性がなくなり、そこに高い圧力がかかれば破裂するという説明も問題ない。今回はたぶん1人の脳外ドクターが監修したのでしょう。あちこちからの寄せ集めを無理につなげるおかしな展開がここまではありません。



「クモ膜下出血とは」
これが起こると10人中4人が死ぬという脅しから始まったこのコーナーですが、クモ膜下出血自体は脳卒中の10%程度であり、頻度的には低いものです。でもまあ、起これば恐いのは確かですが・・・。


ここで32歳にして無理な生活がたたってクモ膜下出血を起こしたと言う女性が登場してました。こういう例もこれから増えてくるのは今の若いもんの食生活からしたらありえるものの、だからと言って極端な例を出して脅しに脅すのは感心せんな。ここでエコナのCMが入りました。また宣伝やっとんかいな。


さてクモ膜下出血の主な原因は高血圧だということで、ストレスやタバコ、塩分の摂り過ぎも関係するということです。やかましいわい。で、血管が破裂すると脳細胞の死滅が起きるのですが、恐いのは普段の自覚症状がないことです。ここもそうです。


で、唯一の症状がバットで殴られたような後頭部の頭痛が続くことで、誠に嫌な人がそうなったらこれ幸いと後ろからバットで殴らないように。番組では放送しなかったのですが、嘔吐もでる場合があるので、そういう人がいたらすぐに救急車を呼びましょう。我慢できないほどのイヤな上司なら人目に付かないところに移動させ、そのまま放っておきなさい。


クモ膜下出血のチェックポイントとして、タバコにコーヒー、急に無理な運動をする、調味料をバカスカ使う、便秘でトイレが長い、酒を飲む、熱い風呂が好き、などの危険項目が出てきましたが、激しいセックスも時には危険です。


いわゆる腹上死というのがありますが、場合によって血圧は200mmHg以上に簡単に跳ね上がります。特に若い子とのチョメチョメでは興奮度が違いますので、腹上死の他にも腹下死、腹横死、腹後死、腹車死、腹野外死、まれに駅弁死などもあり注意が必要です、そこのおっさん。おっさんはワシか?


さてここで脳梗塞や脳出血を予防する食材が実ににぎにぎしく登場しました。それは驚くなかれなんと生ニンニク。なんでもニンニクに含まれるMATSという成分が血栓を出来にくくさせるとかっていうんで、採取した血液に直接MATSを混ぜて体外で血栓が出来にくいという映像を流してドンチャン騒ぎをしていました。こんなもん即却下。


3〜4個を週に2〜3回食う、その際細かく刻む、もしくはすりおろせばいいのだそうですが、生ニンニクにはアリシンという強い刺激成分が入っていてこれが胃粘膜を荒らします。それにMATSが消化吸収されて血液中に入り、そのとおり働くかも疑問。まあ、せいぜい胃を荒らして終わりというところか。



「脳の萎縮」
極端なダイエットによる脳萎縮が若い世代に起こりつつあるという全く無意味な脅しから始まったこのコーナーですが、病的な摂食障害による栄養不良では起こる可能性はあるものの拒食症にでもならないかぎり脳の萎縮はわざわざ番組で取り上げるほどでもありません。


何が言いたいかというと、視聴者の年齢層を考えるとアルツハイマーについて脅しをかけても興味をひいてもらえない。だから「若い世代が危ない」と無理にでも脅しをかけないとでも思ったのか。


そして、そのような拒食症の状態を説明しておいて解決法が情報伝達に大切なドーパミンを増やすタケノコを食えだとは、バカバカしいにも程がある。神経性の食欲不振の人に「さあさあ、脳が縮むからお食べ」などと言いながらタケノコ出したらますます拒食は確実だ。


続いての「ある子のコーナー」では、意識障害やしびれ、激しい頭痛の症状がある人がいたら、まずは119番(あたりまえ)をかけて、安静にさせる、衣服を緩めるなどの対処を放送していました。これは参考にしてもいいでしょう。余談ですが、脳出血の可能性があるイヤな姑には「止血の為です」と言いながら首を絞めてもいいものです。


しかし90分は長いな〜。ということで、意味不明の萎縮の予防法。脳卒中の3大原因はご存知、高血圧、糖尿病、高脂血症なのですが、なぜか肥満については出てきませんでした。これに肥満を加えると死の四重奏、さらにタバコをくわえて一服すると五重奏になるわけで、サイト運営を加えると六重奏になるわけです。え?


つまりはこれと逆にすれば予防になるわけですが、番組の言う脂肪・塩分・糖分を控えてストレス解消に禁煙、運動をすればいいというのは何度もココで書いてきたことです。そんなことわかっとるわい、と言いたいグータラ諸君は、1日中木にぶらさがっていなさい。


では予防にどんな食材がいいかということですが、血栓を溶かすのが納豆のナットウキナーゼというなんのひねりもない名前を持つ成分だという事です。これは倉敷芸術科学大学の別名「納豆博士」の須見教授のデータを見たことがありますが、まあ効果はあるのかな。そんなことは差し引いても納豆は毎日食べたい食品に間違いありません。


後はご存知青魚のEPAやDHA、クエン酸、アントシアニン、ムメフラール、イソチオシアネート、ヒスチジンがどうとかつべこべ言ってましたが、要するに動物性脂肪や過剰な糖分を控えて野菜や海藻、キノコなどを意識して食べる、大豆製品を積極的に食らう、運動して憎っくき嫁さんへの仕返しを考える、そういうことでよろしい。


脳萎縮の予防の最後が車の運転をしたり絵を描いたりすることだそうですが、ダイエットで脳の萎縮が起きるとしながらも、いつのまにか脳血管性痴呆やアルツハイマーの予防とごっちゃになってすりかわってしまいました。それに運転しろだなんて運動不足を助長するようなものだな。せっかく中盤まではよかったのに最後でどっちらけ。


とまあ、こんな感じで最後の締りがなく終了です。アホな対処法と脳萎縮以外はおおむね参考にしてもいい内容なのに、散々脅しておいて最後の最後でゲストやあるある会員の脳ドック検査の結果に異常がなかったというのが泣けてくる。


さて次回は「たるみ」。またええかげんな食材が登場しそうです。たるみきった身体で怠惰な生活を送ってる肉ダルマの諸君は、ボーリング場で転がってなさい。ということで、今回はオチなしで。