ひまつぶし番外編

サムスピの漢たち

「ますらおよ、我が下に集えぃ!!」
(サムライスピリッツ零・兇國日輪守我旺)

「サムライスピリッツ」(略称サムスピ)・・・それはスト2など、格ゲー全盛期に今は亡きSNK(※1)が放った、武器格闘ゲームの元祖とも言える、侍と侍(※2)が斬り合う真剣勝負の格ゲーで、その世界観や強斬りの破壊力(※3)と爽快感、そして絶妙のバランス(※4)で当時大人気を博しました。かく言う私もすっかりハマった人間の一人で、ゲーセンに行く度になけなしのお金をつぎ込み、友達の家に行っては(※5)剣戟に興じていたものです。その後、このシリーズは「真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変」(略称真サム)、「サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣」(略称斬サム)、「サムライスピリッツ 天草降臨」(略称天サム)と2Dで進化を遂げ、押すに押されぬ格ゲー界の雄に上り詰めました。その先はRPGにまで進出し(※6)、ついには3D化してしまい(※7)、PSで超絶ヘボゲーと化してしまうとともに(※8)、SNK倒産でまさしく兵どもが夢の跡になってしまいましたが、最近「サムライスピリッツ零」(略称零サム)として別会社で復活し、多くのファンの前に正統派2D格ゲーとして再び姿を現したのです。そしてその熱さに再び侍魂を燃やす、近頃の筆者なのでありました。

と、何だか分からない前講釈が長くなってしまいましたが、このゲームを支えたのはシステムもさることながた、やはりその魅力的なキャラたちでしょう。今回はその中からひまつぶし番外編ということで、斯くも魅力的なキャラがあろうやという「漢」(おとこ)たちを取り上げていきたいと思います。
漢@ 花諷院骸羅(かふういんがいら)
(登場:斬サム・天サム・零サム)

この漢、サムスピの主人公である覇王丸(※9)の師である名僧の孫という設定で、一聞徳の高い、錫杖で悪を挫く名僧のイメージであるが、その実態は・・・。





巨大な数珠で相手を殴り倒す半裸の生臭だった。

おじいちゃんもかたなしである。

ゲーム内ではこの巨体で敵に迫り、「つかむぞ〜 尻めくり」(※10)という僧としてどうかという名前の技でブン投げ、「往生!」とわめきながら倒れた敵を踏みつける、とんでもない野郎である。
負けると「御仏の慈悲だ」と言い、供養してくれるが、戦う前に「俺は即身成仏の道しか知らん」と言い、数珠で相手を絞め殺す(※11)その姿は、仏とはほど遠い悪鬼羅刹としか思えない。
行く先々で子供に怖がられるという設定なのも素直に頷ける。


最後に一言、

ちゃんと仏道の修行をしろ。
漢A、王虎(ワンフー)
(登場:サムスピ・真サム)

この漢、大陸で清の支配から漢民族を救うべく、己の片腕となる人材を捜しに日本に渡ってきたという設定である。
それからすると、颯爽とした三国志風英雄のイメージであるが、その実態は・・・。






半裸で包丁を振り回すハゲだ。

これでは片腕となってくれと言われても、なりたくない。
本当に雲飛(※12)と同じ清国人かと疑念を抱いてしまう。

ゲーム中では、ここで皆さんに聴かせられないのが非常に残念だが、妙にけだるい音楽のステージで、包丁(※13)を投げては大爆発を起こし(※14)、素手になっては敵を殴り倒し、包丁を拾う、一体何なんだという戦いっぷりでプレイヤーを驚愕させた。
セリフも「んどらぁ、おのれ!」と汚く、英雄的素質が全く感じられない。
そしてこの漢、次の真サムでは・・・。






武器が包丁から石柱に変わっている。

やはり石柱を投げて大爆発を巻き起こし、素手で敵を殴り倒し、石柱を拾うこいつに言う言葉は何もなかった。
石柱で殴り倒すダメージがやけにでかいので、最初真サムをクリアした時のキャラがこいつだったことは筆者の汚点である。
ちなみに、勝利の際にはこの石柱に、素手で自分の顔を刻み込むというどうしようもないパフォーマンスを見せてくれるが、代わりの石柱はどこから調達してくるのだろうか。
こいつのエンディング。



別に期待していない。
最後に一言、





結婚式に半裸で出席しないように。
漢B、タムタム
(登場:サムスピ・天サム・零サム)

この漢、マヤの戦士で精霊の力を自由に操り、悪を挫く誇り高い武人という設定である。
日本に強い悪の気配を感じ、遠路はるばる戦いに加わるという、正義の味方もいいところ的な設定だが、その実態は・・・






半裸の変態仮面だ。

この姿で「アオゥ、アオゥ」と、人語とは思えない奇声を発しながら画面内をところ狭しと駆け回り、人の頭骨を飛び道具として相手に投げつける(※15)姿は、同じ仮面精霊戦士のマッドマン(※16)を超越する恐怖を人々に与えた。
勿論気になるのは仮面の下である。
こういうキャラは素顔がかっこいいという設定なのが主流であるが、素顔が初めて明かされたサムスピのエンディングを見ると・・・






濃い。

この顔と何だかやけに細いウェストのせいで、プレイヤーキャラとして使っている人を見たことがないくらいまで追い詰められて、真サムでは妹(※17)にプレイヤーキャラの地位を明渡したこの漢だが、真サムのエンディングでは、何と、


サルに変身して妹の旅に付き添う

←こいつ

という、人間業ではない荒業を成し遂げていた事実が発覚するのである。
では、エンディングで驚く妹の姿を見ていただこう。



このエピソードは、どうやって変身したのか、どうして顔が変わったのか、という最大の突っ込みどころを残したまま歴史の波に消えたのであるが、零サムのオープニングでシャルロット(※18)ステージにあるワイン樽の中に、285cmの長身を無理矢理詰め込んで船で運ばれて日本にやってくるタムタムの姿が目撃されているので、着ぐるみを着ていた説が近時有力説である。

後の斬サムではこうした不可思議さからか、マヤの戦士が完全に姿を消し、サムスピ界は平穏を取り戻したかに見えた。
しかし、その次の天サムをプレイした我々が目にしたものは、奇声を発しながら飛び回り、口からキングボンビーを吐き(※19)、突然吼えながら人を捕まえ、人を喰う(※20)奴の姿であった。
そう、不人気キャラと思われた奴が、何故か

復活を遂げてしまった

のである。

そしてこの時のエンディングで我々はまた衝撃の事実を目にした。



何と、彼のつけている仮面は生気を吸う設定だったのである。
今まで聞いたことのない唐突な設定から、濃い顔から生気を吸われて普通の顔になったのが真サムだという噂が囁かれたのがこの頃であった。

時は流れ、流石に3Dでこいつを再現するのは難しかったのか、生気を吸い取られ過ぎてしまったのか、この後のシリーズではこいつの姿を見ることは完全になくなった。
しかし2Dに原点回帰した零サムが出るという話を聞いた時に我々が思い浮かべた悪夢は現実のものとなってしまったのである。
そう。

こいつ、また復活した。

もう何も言う言葉がない。
再び奇声を発しながら飛び回るこの漢、ついには

地中からトーテムポールを突如生えさせる(※21)

という技を身につけて、多くの正統派の侍たちを涙させた。
そして零サムの豪華版である零SPでは、怒ると同時に仮面が変化し、

口から小さなタムタムを大量に吐き出す(※22)



という、伝説の技で、恐怖に戦く人々を奈落の底へ突き落とすのである。

そしてこの零サムのエンディングがまた衝撃であった。
何と、零サムで戦っているタムタムは、

仮面をつけた別人

だったのである。
その人は天サムのエンディングでタムタムに駆け寄ってたじいさんで、

←この人

傷ついて身動きがとれなくなっていた本物のタムタムはこのじいさんに救われ、二人はワイン樽に再び身を隠し、日本を去ったのであった。
へぇ〜、仮面をつけたら誰でもタムタムになれるんだぁ、という突っ込みどころはさることながら、
最後に一言、

何でもありはいいかげんにせい!
・・・タムタムに紙数を割き過ぎてしまった。
最後に

漢C、ナインハルト・ズィーガー
(登場:真サム)

この漢、設定がプロシア(プロイセン)紅獅子聖騎士団長で、王から魔を駆逐するために派遣された戦士というものである。
この設定と、既にサムスピから登場しているシャルロット(※18参照)がまともな騎士であることから、鎧に身を固めた、伝説のオウガバトルのランスロット(※23)のような正統派の騎士がいよいよ参戦か、と、我々は心を熱くした。
しかし、我々が目にしたものは






またしても半裸のハゲだった。

この漢、騎士のくせに剣をもっていない。
そう、その自慢の拳で人を殴り殺すのである。
そして高らかに叫ぶ鳴き声。


「ヴァー!!」

この当時珍しかった連続技を持っていたこの漢。
それを決めると


ティーガー・コップ

ファルケ・ナーゲル

エレファント・グリード

「ヴァー!!」

大ダメージとともにゲーセンに響き渡るこの鳴き声。

「ヴァー!!」

この勇姿を見たとき、こいつ騎士じゃねぇという私の心の中の小さなわだかまりなど一挙に解消した。
これこそ漢、漢である。
剣をブン回す屈強の侍たちの間で、己の肉体を武器に敵を殴り倒し、高らかに叫ぶその姿。


「ヴァー!!」

もはや神がかりとしか思えないキャラメイクである。
尤も、こんな漢気溢れるキャラにもかわいい一面がある。




・・・人形化(※24)してもこの漢気。
す、凄い。


そしてこいつのエンディング。



「ヴァー!!」



「ヴァー!!」

・・・一回で消えたのが頷けてしまうのは何故なのか。
しかし、ズィーガー、貴方を使ってゲーセンに鳴き声を響かせまくったあの日々を忘れません。
友達の家で狂ったようにその声を響かせていた日々を忘れません。


最後に一言、

「ヴァー!!」
「精進が足りんわ、出直せぃ!」
(柳生十兵衛)