胡笳歌 送顔眞卿使赴河隴
唐 ・ 岑参

胡笳の歌 顔真卿が使いして河隴に赴くを送る
書き下し文
君聞かずや胡笳の声最も悲しきを
紫髯緑眼の胡人吹く
之を吹いて一曲猶未だ了(おわ)らざるに
愁殺す楼蘭征戌の児
涼秋八月蕭関の道
北風吹断す天山の草
崑崙山南月斜めならんと欲す
胡人月に向かって胡笳を吹く
胡笳の怨み将に君を送らんとす
秦山遥かに望む隴山の雲
辺城夜夜愁夢多からん
月に向かって胡笳誰か聞くを喜ばん
唐の岑参の作。唐朝の忠臣・顔真卿が監察御史として河西隴右に赴く際の送別の宴で詠まれたもの。胡笳の哀切極まりない響きを描写することにより、別れの哀しさがいや増し、何とも言えぬ哀しみが心に染み入ってくる。
唐代、辺境の地に送られることは死と隣り合わせの危険な任務であった。二度と生きて逢えぬかもしれない友を送る時の心中は、最早推し量ることもできないほどであっただろう。考えただけでも哀しくなってくる。