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世界中の映画祭で評判を呼び、99年の第71回アカデミー賞外国映画賞にもノミネートされたイラン映画『運動靴と赤い金魚 』を観る。「ともだちのうちはどこ?」などイラン映画には子供を主役にした傑作が多く、本作も子供達の生き生きとした姿を映し出し、優しさの溢れた素晴しい感動作でした。
少年アリは買い物の途中で、直したばかりの妹ザーラのピンク色の靴を失くしてしまう。必死に探したが結局見つからない。家も貧しく新しい靴を買えないことは分かっていたので両親にも言えず、アリは今履いている自分の運動靴を、妹と交代で履くことにする。嫌々ながらアリの運動靴を履いて学校へ行くザーラは、学校が終わると急いで戻り、途中で待っているアリと靴を履き替える。そのままアリは急いで学校へ向かうが遅刻してしまい、先生に目をつけられてしまう。ある日小学校のマラソン大会が行われることになり、なんと3等の賞品が運動靴と分かり、アリはマラソン大会に出場することを決心する。そしてマラソン大会はやって来た。アリはザーラのために3等になろうと必死に走るのだったが・・・。
一足の靴を大切に履きあう兄と妹。小学生なのにもう子供じゃないんだからしっかり家の手伝いをしろと厳しくしかる父親。このイランという国の厳しい生活状態や、子供達に厳しい環境が垣間見える。そんな中でもアリとザーラは健気に、そしてたくましく自分達の世界を精一杯走り抜けていく。
アリとザーラを演じる子供達をはじめ、メインキャストのほとんどが素人と知り、やっぱりと思わず納得。どうやってこんな子供達の生き生きとした生の表情を撮ったのか驚きだった。ハリウッドの名子役といわれる子役とは明らかに違う、本物の子供らしさが全編に漂う。主人公のアリを演じた少年は、実際に監督が極貧地区の小学校を周って偶然見つけた少年だったとのこと。その時ちょうどノートを忘れて先生に叱られ、教室の隅ですすり泣いてたところで、一目でその哀愁が漂う少年をアリだと確信したそうです。映画でも彼はほとんど地だったんでしょうね(笑)
ラストのマラソン大会での、妹のために、妹のためにと必死に走るアリの姿に、もう涙がポロポロ流れてきて大変だった。妹を想う優しい兄の姿は、どこまでも純真で、大人たちにも頼れず自分で解決するしかない厳しさに立ち向かう姿はどこまでも健気でいじらしい。
ラストシーンのプールに浸けたぼろぼろの足に寄り添ってくる金魚の群れは、「よくがんばったね!」なんて、見ている人達と一体になって讃えてるみたいで、心地いい余韻があり、ラストで味わえる心温まる感も最高の作品だった。ぜひたくさんの人に観てほしい作品です。
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