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「ファミリーBASIC専用データレコーダ」


Media :FAMILY COMPUTER(FAMILY BASIC)
Maker :任天堂(開発:松下電器)
種 別:データレコーダー
発売日:1984年

 ファミリーベーシックとは、ファミコン用の周辺機器で、キーボートと単三
電池でバックアップ可能のROMカートリッジがセットになったものである。
これをファミコンに繋ぐことにより、専用BASIC言語でのプログラミングが可能
になる。
このベーシックには、長所と短所がひとつづつある。
長所は、マリオやレディなどの任天堂の有名キャラクターのスプライトが初め
から内臓されており、簡単な命令文の組み合わせでそれらを扱うことができる
というもの。
逆に短所の方は、RAM領域が2Kバイトしかないという点である。
RAMとは、プログラムを置いておける場所の広さを表し、1Kバイトというのは、
半角文字で1024文字文に相当する。
2Kバイトということは4096文字以上の長さのプログラムは基本的に扱えないと
いうことで、当時とはいえ、これではこの容量で凝ったプログラムを書くのは
非常に難しい。

 そのファミリーベーシックのデータ保存用として発売されたのがファミリー
ベーシック専用データレコーダだ。
データレコーダとは、今でいえばフロッピーディスクやメモリースティックな
どに相当するもので、手軽にデータの読み書きが出来、しかも、メディアを手
軽に持ち運べる。
メディアそのものは、市販の音楽用カセットテープであり、実はデータレコー
ダそのものも一般のオーディオ機器で流用がきく

 つまり、ファミリーベーシック専用データレコーダなどという堅苦しい名前
はついているものの、これも基本的にはハンディタイプのモノラルカセットテ
ープレコーダーなのだ。

 どうして、カセットテープにデータが記録できるのだ?と思うかもしれない
がインターネットでも、ダイヤルアップ接続の場合、モデムでデジタルデータ
をアナログ信号(音)に変換して接続しているし、FAXなどもこれと同じで、
つまり、データを音に変換して記録してしまうという方法である。
フロッピーディスクドライブがまだ1台10万円くらいしていた頃は、ファミ
リーベーシックに限らず一般のパソコン用のデータ保存用としてもデータレコ
ーダは活躍していた。

 このデータレコーダの最大の難点はデータの通信速度が非常に遅いというこ
とと、データ転送の安定性が非常に低い、ということである。
例えば、インターネットにダイヤルアップ回線で接続する場合の転送スピード
は、5万6千BPSというスピードになるが、データレコーダの場合、一般的には1
200BPS、高性能のものでも2400BPS程度しかない。
単純計算で、5.6Kのモデムで1分でダウンロードできるサイズのプラグラムの場
合でも、1200BPSのデータレコーダでは50分近くかかる計算になる。

 この為、データレコーダという機器は、フロッピーディスクドライブの低価
格化に伴い、市場から消えていったが1986年くらいまでは多くのパソコン用ゲ
ームのメディアとしても利用されていたのだ。


 さて、話をファミリーベーシック専用データレコーダに戻そう。
このファミリーベシック専用データレコーダの場合、一般的な使い方をした場
合に限っては、転送速度の遅さに悩まされる心配はない。
何故なら、先頬書いたように、ファミリーベーシックのRAMが2Kバイトしか無い
為、転送の遅いデータレコーダでも1本のプログラム転送は1分以下で済むし、
それ以外の利用法として装丁されている、ロードランナー、ナッツ&ミルク、
エキサイトバイクなどのエディットステージのデータ保存・再生などもデータ
量が少なく、1本あたり数秒ですむからだ。

 任天堂はデータレコーダ発売に合わせて、先ほど挙げたいくつかのステージ・
エディット可能なゲームに関しては、エディットデータをデータレコーダを使
って保存できるようにした(または要請した)が、実はこの機能を利用する為
には、データレーダだけではなく、データレコーダへの接続インターフェース
を持つ、ファミリーベーシック本体(キーボード)も接続しておかなければな
らない。
ファミリーベーシックの定価が14800円、データレコーダが9800円もする上、デ
ータ保存が可能なゲームも先ほど挙げた数本のゲームの、それもエディットス
テージ保存に限られるので、殆どのユーザーにとっては関係のない機能に終わ
った。


 しかし、このデータレコーダはおいらはかなり利用した。
使い倒した、といっても過言ではないだろう。
別に、ロードランナーやエキサイトバイクのステージエディットに凝っていた、
というわけではなく単なる、オーディオとして使っていたのだ。
当時、自分専用のラジカセを持っていなかったので、常にデータレコーダを横
において好きなテープをかけておいた。

 さらに、MSX本体を購入した後は、MSX用データレコーダとしても転用可能な
ことが分かり、MSXをメインマシンにしていた時代はずっとパソコンの横に置
かれていた。
MSXは、ファミコンと同じくROMカートリッジでゲームを楽しむことが出来たが
おいらが一番やりたかったアドベンチャーゲームの類はメガロムが登場する迄
ずっとカセットテープメディアで供給されていたので、このデータレコーダに
は本当にお世話になったのだ。



AXL 2002

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