レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

PC-8801mkU SR,TR,MR,FR


 NECのPC-8801シリーズは1980年代ホビーパソコンとして日本で最も普及した
コンピュータである。
初代PC-8801は、PC-8001シリーズの上位互換マシンとして1981年に登場し、
1989年末の最後のマシン、PC-8801MC迄、文字通り80年代を代表するシリーズで
ある。


 PC-88シリーズは初代の8801とそれにマイナーチェンジを施したPC-8801mkII
と続いたが、性能面で他社の8bitパソコンに遅れを取ってしまったことから三
代目のPC-8801mkIISRの時にCPUクロック周波数の増加、FM音源搭載などのパワ
ーアップを施している。
これ以降、このスペックがPC88シリーズの標準スペックとなり、SR以降のマシ
ンでないと遊べないゲームがどんどん増えていく。

 その中興の祖である、SRのマイナーチェンジ型後継機が3機種存在し、それ
ぞれ、PC-8801mk2MR,FR,TRと名づけられている。
まず、MRは、SRをベースとし、2HD(1Mバイトタイプ)フロッピーディスクを搭
載し、第二水準漢字ROMを実装させたパワーアップ版。
(SRは2DD(320Kバイトタイプ)
ちなみに、第二水準漢字ROMなどという言葉は今はもう全く耳にしなくなって
しまったので簡単に説明しておくと、当時一般的に搭載されていた第一水準漢
字ROMに加え、よりややこしい漢字を表記できるようにしたものである。
だが、実は「牛丼」の「丼」という字も第二水準扱いになっており、実のとこ
ろ結構いい加減だったような気がしてならない。

 これに対して、FRは、SRを元に、必要ない機能を極力省き、廉価製を追求し
たマシンとなっている。
具体的には、拡張スロットの数を減らし、内部を省略したもので、機能そのも
のとしてはほぼSRと同等になっている。

 MシリーズとFシリーズは、高機能版と低価格版という位置付けで後の88シリ
ーズにも継承されたが、TRだけはこの一機種のみ。
これは、SRに通信機能を標準で追加したものになっている。
いわゆるモデム内臓パソコン・・・といいたいところだが、これについている
のは、モデムではなく音響カプラというものである。
大体似たようなものなのだが、音響カプラというのは、通信する時だけ電話の
受話器にくっつけて使うもので、信頼性にちょっと不安が残る。
勿論、通信する先はインターネットではなく、パソコン通信BBSで、ちょうどこ
の頃、NECのPC-VANとNifty Serveという二大商用パソコン通信BBSがオープンし
ている。

 この3機種の後継機として発売された、FH,MHシリーズではCPUクロック周波
数を倍速に増やし、処理速度を上げたり、さらにその後のシリーズでは、ADPCM
を搭載し、肉声や音楽などを録音可能にしたりと機能面のバージョンアップも
繰り返されるのだが、実は、ほとんど全てのソフトが、SRを基準に制作された
為、後の高機能版を購入してもその恩恵にあずかれることは少なかった。
分かり易くいうと、PS2を持っているのに、世間ではPS-One向けのゲームしか
制作されないようなもので、かなり泣くに泣けないものがある。


 ちなみに、おいらは、FRのユーザーだった。
最初に購入した88シリーズのパソコンがFRで、それ以前に使用していたマシン
がMSXだった為、FRにはかなり思い入れがある。
どうして、FRに思い入れがあって、MSXに思い入れをもてないのか、というと
MSXとPC88シリーズでは、大体、ファミコンとスーパーファミコンくらいの性
能面での開きがあった為である。
しかも、88,FM-7,X1などはほぼ同じクオリティにあるのに大してMSXだけは目
に見えて特にグラフィック面が貧弱だった為、FRを購入した時の喜びはひとし
おだった。

 先ほども書いたようにMSX以外の主流8ビットパソコンの性能はほぼ横並びだ
った為、別にはじめから、88シリーズを買おうと思っていたわけではない。
特に単純に性能だけでいうなら、ゼビウスをほぼオリジナルのクォリティで動
かしてしまった、シャープのMZ-2500、通称スーパーMZあたりがメチャクチャ
欲しかったのだが、当時一番普及していた、つまり、一番ソフトが沢山あった
のが、PC-88シリーズだったというのがその理由。
いくら性能が良くても肝心のソフトが発売されなければ何にもならないのだ。

 次にテレビCMが武田鉄矢だったという非常に個人的かつどうでもいい理由が
挙げられる。
しかし、武田鉄矢はこのラインナップ限りでCMを降りてしまい、次回ラインナ
ップのMH,FHシリーズからは斎藤由貴になってしまったので、非常に悲しかった
というこれまた果てしなくどうでもいい後日談を残している。



AXL 2001

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