レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

1942

Madia :アーケード、FAMILY COMPUTER、PC-88SR、PS、サターン等
Maker :カプコン
種 別:強制縦スクロールシューティングゲーム
発売日:1984年(アーケード)
    1985年12月(FC)


 カプコン最初期のシューティングゲーム。
初期のカプコンといえば、1942か魔界村というくらいの名作で、初期のカ
プコンと聞いて即座に「ひげ丸!」などと答えるような人は、きっと、家庭内
に重大な問題を抱えているに違いないのである。

 ゲームの内容を簡単に説明すると、時は太平洋戦争真っ只中の1942年。
プレイヤーはアメリカ空軍のP-38ライトニングを駆り大空に飛び立つ、倒すべ
き敵は東洋の悪魔、日本軍・・・・というちょっぴり自虐的な設定。

 ちなみに、このゲームがアーケードに登場した当時、何故自機がアメリカ軍
で敵な日本軍なのか、ということに素朴な疑問を持ったことを覚えている。
当時はまだ小学生だったので、戦闘機といえばゼロ戦、戦艦といえば大和とい
う程度の知識しかなく。そもそもどうして過去に日本とアメリカが戦争してい
たか?などということは夢想をだにしたことすらなかったので、不思議だった
が、確かにこのゲームで敵・味方の設定を逆にすると、ちょっぴりヤバイ事に
なる、本当にヤバイかどうかはともかくとして、いらぬクレームをつけられる
のは確かなので、そういう意味では懸命な設定だと思う。

 何もゲームごときでそんなやかましことを言うことはないではないか、とい
う気もするが、実際には、メガドライブ版の「アドヴァンスド大戦略」の開発
にあたっても、ナチス時代のドイツを主人公とするゲーム設定から、パッケー
ジイラストの鍵十字の使用に至るまでかなり揉めたらしい。

 他にも光栄の提督の決断での「慰安」コマンドが従軍慰安婦を連想させる、
ということで問題になったこともあり、意外とやかましいのが現実のようであ
る。

 逆に、そういう情勢の中でも、「知らねーよ、つか、お前ら、ウゼェ!」と
いうアナーキーかつ破滅的な姿勢を貫き、余りの馬鹿馬鹿しさに誰も相手にし
なかったゲームに、かの「暴れん坊天狗」がある。
客観的に見たら、「慰安コマンド」より遥かに問題の多いゲームなのだが・・
・・・。

 まあ、それはともかくとして、何故敵が日本軍なのか。
正直なところ、これはその方が面白いからではないか?というだけの気がする。
ミリタリーマニアでない限り、太平洋戦争時の兵器を言ってみろといわれて出
てくる名前は、やはり日本の兵器の方が多い。
逆に敵がアメリカ軍の兵器になると馴染みがなくてあまり面白くないから、と
いうのが本当のところではないだろうか。

 例えば、ガンダムをゲームにした場合、主人公がアムロとなりガンダムを駈
って、ジオン軍の多彩なモビルスーツと戦うから面白いわけであって、あれが
逆だと事態はにわかに深刻になる。
つまり、1機のガンダム、ガンキャノン、ガンタンクを除いた、敵が「全てG
M」というのはあまりにもつまらなそうだ。


 さて、それでは、自機となる、P-38ライトニングとはいかなる戦闘機なのか、
一応調べてみたところ、1937年製のアメリカ、ロッキード社の双発双胴の戦闘
機だということが分かった。
双発双胴というのは、プロペラが2つついており、胴体部分が2つある、とい
うような意味らしい、つまり、ゲームに出てくるP-38ライトニングの、あの独
特のフォルムのことである。
 それ意外にも色々と難しい話を読んできたのだが、何が何やら全然頭に入ら
なかった。

 実はこの手の知識は、おいらより親父の方が詳しいのである。
おいらの親父は、無類の戦争シミュレーションゲームオタクで、信長の野望・
全国版の難易度を最大の5に設定し、2人プレイで始め、片方の大名でもう片
方の大名の領地以外の全てを攻略してしまう。
ここでおもむろに、49ヶ国を所有している大名をCPUに委任させ、ここか
ら初めて1国でゲームを始めるという、実にどうにも薄気味の悪い男なのだ。

 この親父のフェバリエットゲームが提督の決断で、おいらはあのゲームは余
りのややこしさに2時間で投げ出してしまったが、画面上見えないはずの敵艦
隊の動きが「見える」らしく、「私にも敵が見える」などと、まるでシャア・
アズナブルのような言葉を呟きつつ、もう10何年も遊んでいる。


 今回、まるで1942の話にならないので、強引に話を戻そう。
とにかく、そのP-38ライトニングを駈って日本軍の戦闘機を撃墜していく、途
中赤い編隊を全て撃破することで現われる"POW"というパワーアップアイテムを
取ることで、攻撃がパワーアップする。
このゲームの特徴として、「宙返り」という機能があり、1ステージに決まっ
た回数だけ宙返りを使用することが出来る。
宙返ししている間だけは一切の当たり判定がなくなるので、ここぞという時に
使えば有効だが、これを使ったからといって敵にダメージは与えられないので
どうせなら、究極タイガーのような派手なボムの方がありがかたかった。

 1942以外で「宙返り」するゲームといえば、何といってもナムコの名作
コミカルシューティングゲーム、「スカイキッド」だろう。
こちらは、何度でも宙返り出来るので、その気になればほとんど死なずにゲー
ムを進められるという出血大サービスぶりである。


 実はこの1942、続編となる、1943等と違ってゲームそのものにメリ
ハリが無いのだ。
ただひたすら撃ちまくり、パワーアップをし、たまに出てくる大型爆撃機など
の中ボスを倒していく。
あまりやりこんでいないせいもあり、こう書くと本当に終わってしまうので、
最後に移植作について。


 まずは定番のファミコン版。
こちらは発売が1985年12月。
以前にも別のレビューで触れた、ファミコンへのサードパーティ参入ラッシュ
が起こった時期だ、同年同月発売のファミコンゲームには、ナムコのスターラ
スターやハドソンのボンバーマン、スクウェアのテクザーなどの名作、dbソフ
トのヴォルガード2や、ぺんぎんくんウォーズなどの佳作。
そして、カラテカ、スペランカー、ダウボーイ、頭脳戦艦ガル、エグゼドエグ
ゼスなど、未だに語り継がれる奇作、怪作などがある。

カラテカとスペランカーと頭脳戦艦ガルが同じ月に発売されていたということ
は、おいらも初めて知った事実だが、ノストラダムスに予言して欲しいくらい
恐ろしい月である。


 このファミコン版だが、どうにもストレスが溜まる。
敵の動きも自機の動きもどうにも遅く、爽快感に欠けるのだ。
元々がそれほど派手なゲームでないことも手伝って、あまりやりこんだ記憶も
ない。

 他の移植作品としては、PC88SR版。
こちらは、アスキーが移植したもので、当時、どういうわけかアスキーは、カ
プコンのゲームをPC88に移植しまくっていた。
他にも戦場の狼や、魔界村などがるが、パソコンに当時のアーケードゲームを
移植すること自体無理があり、敢えてファミコンを裂けて88で買うユーザーが
どれくらいいたのか気になるところである。


 最近になって、他のゲームとパックにされてPSやサターンなどで発売されて
おり、こちらは未プレイだが、完全移植だと思われる。
カプコン初期の名作なのは間違い無いが、続編である1943と比較すると、
どうしても食い足りない印象が残る本作だが、いかがだろうか?



AXL 2001

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