レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

ファイナルファンタジーとの再会〜前編〜


 ファイナルファンタジー。
ドラゴンクエストと並び、日本産RPGの代名詞となったこのシリーズを、お
いらは今まで一度もレビューせずに来た。

 勿論、プレイしたことがないわけではないのだが、ファイナルファンタジー
(以下FF)というゲームはおいらにとって昔から苦手なゲームのひとつだっ
たからだ。
はじめてプレイしたのは、ファミコン版の1で、ドラクエ以降雨後のタケノコ
のようにリリースされた多くの2DRPGが発売からしばらくすると軒並み中
古ショップで投げ売り状態になっているのに、このFFだけは発売から随分経
ってからも中古で4000円前後の値をつけており、多少の評判も耳にしてい
たので、これは面白そうだ、と購入したのだが、このFFに関しては序盤の記
憶しかない。

 パソコンRPGではないにしろ、初代FFにはある種プレイヤーを突き放し
たドラクエとはまた違った魅力があったようなのだが、残念ながらおいらはそ
のまま素直に突き放されてしまい、いつしか他のソフトに埋もれておいらの中
でのFFは記憶の底に埋もれていった。

 そのFFに再会したのは、2が発売された時のことだった。
ドラクエ同様、発売前から注目されていたFF2は大作RPGとして発売され、
1の記憶はどこへやら、おいらも発売日に購入してしまった。

 淡白な味付けだった1とは打って変わって、ストーリー重視、イベントが多
くなったことは当時としては非常に斬新で、当時のおいらもここまでドラマテ
ィックなRPGがあるのか・・・と感動したのだが、同時に「妙なやらされ感」
を感じた最初のFFでもあり、この頃から根本的にひねくれ者のおいらとFF
の映画的な方針とは既に水と油だったのだが、それ以上にこのFF2とはシス
テムの面で折り合いがつかなかった。

 FF2は通常の経験値蓄積によるレベルアップではなく、攻撃すれば攻撃能
力が、魔法攻撃をすればMPが、また敵の攻撃を受ければHPが個別に上昇す
る、という非常に特徴的なシステムを持っており、これはこれで面白い試みだ
ったのが、元々が物臭な性格の為、あれこれ手間をかけて選ばなければならな
い魔法よりも直接攻撃を重視するおいらの場合、成長の度合いに極端に偏りが
出てしまい、これまた途中で断念することとなる。

しかし、市場でのFF人気はこの2の発売によって既に不動のものとなり、R
PGファンもこの頃からなんとなくドラクエ派と呼ばれる人々とFF派と呼ば
れる人々に別れつつあった。
もっともRPG全体からみればにはこの両派のどちらにも属せず、パソコンR
PG派だとかTRPG原理主義者といった人々もいて、特にドラクエ(ファミ
コン)以前にRPGの洗礼を受けているヒトにはパソコンRPG派が多かった
のだが、おいらはいわばこの派閥の落ちこぼれで最初にRPGを体験したのは
パソコン版のハイドライドやリザード(マイクロキャビン)等だったのだが、
正直これらのゲームにはあまり良い思い出がなくRPG=難解至極というイメ
ージを持っていた為、本当の意味でRPGにはまったのはドラクエやゼルダの
伝説によって、だった。

 この当時、ドラクエとFFはやたらと比較の対象とされ、なんとなくお子様
向けのドラクエに対して、ストーリー重視の大人向けFFという印象が周囲に
広がっていったのだが、ストーリー重視、というよりもFFのお仕着せ的な展
開がどうも肌に合わず、大体にして「てやんでえ、バロー、チキショー」など
と言いつつ、遠くからFF派の人々を見ていた。


 そして、3、4.
ファミコン版FF最後の作品となった3。
スーパーファミコン版最初の作品となった4。
実はこの二本はFFの中では比較的癖のない作品に仕上がっておりおいらが最
も好きな作品でもある、両作品ともかなり終盤まで進めたのだが、ラストダン
ジョンで挫折したか、或いは噂に聞くラスボスの強さに恐れをなしたがこれま
たエンディングを見ていない。

 スーパーファミコン版2作目となるFF5。
どういうわけか、この作品にはあまりいい思い出がない。
序盤から中盤にかけてプレイしただけなのだが、シナリオ的に相当おいらとは
相性が悪かったらしく、またもや途中で投げ出してしまう結果となった。


 考えてみれば、FF第一作から第五作目まで全てをプレイしていながら、お
いらには1本としてクリアした作品がないのだ。
その為もあって、FFというシリーズ自体においらは愛着を持てなかったし、
個別の作品に関しても多かれ少なかれそれぞれ不満点を抱えていた。
にも関わらず毎回毎回購入してしまうのは、今にして思えば単にそれが大作R
PGであったから、ということなのだが、6が出る頃にはさすがのおいらも多
少は学習していたらしく、「今度のFFはもういいや・・・」と悟り発売日か
らしばらくは購入も見送り平和に過ごしていたのだが、たまたFFファンの友
人と電話で話していた時のこと・・・。

「今度のFF6は、数抑えて作ってるんだよ?
 多分、今店頭にある分だけで、あれがなくなったらもう買えないんじゃない
 かなぁ?」

 というようなことを言われた。
この友人の発言が単なる勘違いだったのか、デマに踊らされていたのか、実は
スクウェアの回し者だったのかは今となっても知る由もないが、一旦は見送っ
たおいらもレア物の誘惑には効しがたく結局またもや購入してしまうことにな
る。

 ちなみにこの友人は、後にFF4、5、6がPSに移植された時にも、
そのことについて話したことがあるのだが、「っていうか、スーファミと一緒な
んでしょ?」と冷めた意見のおいらに対して、「でもね!新作ムービーが入っ
ているんだよ!感動しちゃったよ!あれだけでも新品買う価値はあるって!」
とまるっきりかみ合わない会話をしたことを覚えている。


 FF6は今にして思えば雰囲気のある作品で、決して悪い出来ではなかった
と思うが、演出過多に偏ってしまい、いかにも「ハイ、ここで感動して下さい」
的なお仕着せのシナリオ展開に生来がひねくれ者であるおいらは遂にブチ切れ
た。

 その挙句、FF6購入を勧めた友人に「毎回買って、必ず文句を言うくらい
なら買わなければいい」と少々喧嘩腰で忠告され、売り言葉に買い言葉という
やつで、「あー、もう二度とスクウェアのゲームは買わねー!」というような
ことをシャウトしてしまった、21歳初夏の昼下がり・・・というものを経
験してしまったのだ。


 その後、FFシリーズはPSに参入し、7、8、9をリリース。
PS2で、10、11、10ー2と現在まで順調にシリーズを重ねていったが
6以降、おいらがプレイした作品は1本もない。
このまま行けば恐らくは、スクウェア作品とおいらの人生は決して交じり合う
ことはなかったかもしれない。
正直、何かRPGがやりたいけれどもこれといって欲しいタイトルが無い時に
は、中古ショップで「FF・・・買っちゃおうかな?」と思わないこともなか
ったのだが、約10年前に友人を前に断言してしまった手前、「青葉春介、ド
根性・・・」というようなことを考えつつ、強引に自分を説得し、ナゼかスー
パーヒーロー作戦などを購入し、さらに複雑な気持ちになったりもしていたの
だが、つい最近、久しぶりに妹に会ったところ「これ、もうやんないからあげ
るよ」と言われて、何やらあやしげな紙袋を受け取ってしまった。

 中身は、思えば物心ついた頃から一度は誰かに貰いたいと思っていた夢の中
古ゲーム詰め合わせ10本セットというようなものだったのだが、そのライン
ナップにおいらは言葉を失った。

 全てPS用のゲームだったのだが、その殆どがスクウェア作品によって占め
られており、FFに至っては7から9までが揃っており、なんだかよく分から
ないがFFタクティクスというものまで入っているのだ。

「これでキミもFF博士!」的な取り合わせである。

 内心、「10本まとめて中古屋に売ったら結構いい小遣いになるんではない
か?」というようなことを考えないでもなかったが、いずれにせよ、その時に
プレイしていた「スーパーヒーロー作戦〜ダイダルの野望〜」というソフトに
は多少愛想が付きつつあり、いつ「ワタクシ、実家に帰らせて頂きますワ」の
一言を言おうかと思っていた矢先だったので、有難く頂戴することとした。


 約10年の断絶期間を経ての唐突な再会。
この中においらが初めてクリアすることになるFFは含まれているのか、一通
りプレイした後、後編を書いてみたいと思っている。



AXL 2003

HOME