レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

液晶ゲームの頃-前編-


 任天堂からゲーム&ウォッチが発売されたのは1980年のことだ。
とはいっても当時のおいらは小学校二年生で、厳密にどの辺から火がついた、
という記憶はなく、気がついたら、学校でも大ブームになっており、テレビか
らは連日のように「いつでもゲーム・ウォッチ、どこでもゲーム・ウォッチ」
というCMが流れていた、という程度の記憶しかない。

 ゲーム&ウォッチはその名の通り、液晶表示の小型ゲーム機に時計とアラー
ムの機能をつけたもので、当時はまだ子供にとって腕時計、しかもデジタル表
示のものは高価だった印象があるので、単にゲームだけではなく、自分専用の、
しかも外に持ち出すことが出来る時計という意味でも魅力的だったのかもしれ
ない。

 当時のゲーム&ウォッチの定価は5〜6000円程度で、後のファミコンソ
フトとほぼ同じ価格帯ではあるのだが、小学校低学年にとっては充分な高級品
であり、当時集めていたウルトラマンや怪獣のソフビ人形なら、ゲーム&ウォ
ッチ一台で20体は揃ってしまう。
そんなわけで、実はおいらはあまり任天堂製の液晶ゲームとは縁のない人生を
歩んできた。

 任天堂製のもので持っていた記憶があるのは、世界ではじめて十字キーが採
用されたことでも有名なマルチスクリーンのドンキーコングだけで、これとて
も約一年後のファミコン購入と共にお役御免になってしまった。


 そんなわけで、おいらは液晶ゲームとはあまり縁がなかったのだ、と書いて
しまうとここで終わりできてかなり楽だな、という気持ちがないといえば嘘に
なるが、それでは何の為に書いているのか分からないので、もう少し話を続け
よう。

 値段故にあまり任天堂製の液晶ゲームには手が出せなかったおいらだが、友
達の間でも大ブームになっている液晶ゲームが欲しくないはずがない。
またゲーム&ウォッチの登場が起こしたビジネスチャンスをを他のおもちゃメ
ーカーが見過ごすはずもなく、他なく色々なタイプの液晶ゲームが各社から発
売された。

 おいらがはじめて購入した液晶ゲームは当時超合金で有名だったポピーとい
う会社の「Dr.スランプ・アラレちゃん んちゃ!ばいちゃ!」という今ここ
で語るには心苦しさを覚えるほどマイナーな機種だった。
ゲームの内容は、アラレちゃんを操り、やってきた人に「んちゃ!」と挨拶を
する。
平たくいうとこれだけである。

 もう少し詳しく説明すると、液晶画面の右上・左上、右下、左下の四箇所に
家などの絵が描かれており、そこから液晶のセンベイさんなどが出てくる。
彼らがこちらがやってきたら、アラレちゃんをその場所まで動かしてボタンを
押して「んちゃ!」するのだ。

 西暦2003年の今日にあって「んちゃ!する」などという日本語もどうかと思
うが、そんなことを言っている内にまたもや無駄な長くなってしまうので、先
に進めるが、つまりはランダムに四方向から現れる人々に制限時間に挨拶をす
れば得点となり、逆に挨拶をすることが出来ないと、彼らに殴られて1ミスと
なってしまうのだ。

 このゲームに関しては本当にそれだけなので、どうして子供心に何らかの舎
弟を思わせるアラレちゃんの扱いのひどさにアニメとのギャップを感じたのを
覚えている。


 次に思い出深いのはバンダイの「バクダンマン」である。
今日日、発売をためらわれるタイトルであることは否めないが、そう考えると
ハドソンの「ボンバーマン」というタイトルはうまいところをついていたな、
とどうでもいいところで感心したくなってしまう。
内容の方はというとビルの屋上に爆弾魔がいてダイナマイトを地面に落としま
くるのでプレイヤーは「バケツを持ったヒト」をうまく操り、爆弾をバケツで
受けて町の平和を守る・・・・という、今にして思えば場当たり主義の権化の
ような明日なきゲームである。
シチュエーションや絵柄などは違うが、実は先程のんちゃ!ばいちゃ!とゲー
ム性という面ではかなり近く、ほとんど同じ、と言ってもさしつかえないもの
で、実際、この頃の液晶ゲームにはキャラクターを変えただけ、というものも
多かったが、バクダンマンに関しては現在でも当時の液晶ゲームの中で突出し
て面白いゲームだったと思っている。

 アラレちゃんと比較した場合、人がいるところまで移動して挨拶、という二
つのアクションが必要になり、これがゲームが進み敵(?)の動きが速くなっ
てくると焦る余り移動はちゃんとできたのに、挨拶を忘れて次の人のところに
移動してしまいミス、ということが頻繁に起こりかなりストレスの溜まるゲー
ムになってしまうのだが、移動するだけのワンアクションゲームであるバクダ
ンマンの場合、その分だけストレスなく遊ぶことが出来るし、何よりも敵キャ
ラの程よい加速にプレイヤーは思わず引き込まれ、気がついたら夢中になって
遊んでしまう中毒性があったのだ。

 バンダイはこれ以外にもかなり液晶ゲームに注力しており、任天堂の600
0円ラインに価格で対抗3980円(出来ることならサン・キュッ・パッと読
んでいただきたい)という低価格帯で数々の液晶ゲームを世に送り出した。

 実は液晶ゲームについて書く機会があったら是非とも一度書いてみたなかっ
たのだが、ファミコン以降にゲームメーカーとしてのバンダイに出会った人に
は想像もつかないかもしれないが、少なくとも液晶ゲームメーカーとしてのバ
ンダイはかなりいいメーカーだったのだ。

 あの子も根っからのワルではないのだ。
ただ、ファミコンの頃は安易なキャラクター商売で入ってくるアブク銭に目が
眩んでグレてしまっただけ、なのだ。
勿論、バンダイは液晶ゲームでも特に後期になるとキャラクターものを多く販
売するようにはなかったが、初期のバンダイオリジナルのゲームに関してはバ
クダンマンをはじめ面白いものが多く、安い価格も手伝っておいらも何本か思
い出深いゲームに出会うことができたのだが、今回は少々長くなったのでその
話はまたいずれ書きたいと思う。



AXL 2003

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