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SUPER大戦略


Media :PC88SR,PC98,MSX2,MEGA DRIVE等
Maker :System Soft
種 別:戦術級シミュレーションゲーム
発売日:1988年


 夏が来れば思い出す・・・ゲームというものがある。
おいらの場合は、昨年購入した「ぼくの夏休み2」あたりが今一番やりたい夏
ゲーなのだが、肝心のPS2が夏を目の前に壊れてしまった。
保証期間もあと一ヶ月くらいしか残っていないので、このレビューを書き上げ
たらさっさとコンビニまでPS2を持っていって発送しなくてはいけないのだが、
その前に、遥か昔の個人的な「夏ゲー」について書いておきたいと思う。

 大戦略シリーズは、現在でも続編がリリースされ続ける国産SLGの一大ブラ
ンドだ。
最初に発売されたハードは、PC98シリーズ。
ただし、第一作である「現代大戦略」が発売された1985年当時はまだPC98高級
機で、主にビジネス用として使用されていた高級パソコンだった。
当然、PC88ユーザーだったおいらには手が出ず、「なんだか物凄く面白いらし
い」という雑誌などの記事を見て指をくわえているしかなかったのだが、その
大戦略が88用として移植されたのが、1987年のこと。
大戦略というゲームのテーマ自体、いかにも大人向けであった為、正直88で遊
べるようになるとは思っていなかった為、当時のおいらは「大戦略様が88にい
らっしゃった!」などと言いながら妙に感動していたのだが、よく考えてみる
とおいら自身、特に戦争に興味があるわけでもシミュレーションゲームが好き
というタイプでもなく、要な「絶対にできないと思っていたゲームが出来るよ
うになった」という状況に酔っていたに過ぎないのだが、それでも、せっかく
いらっしゃった大戦略様に粗相があってはナラヌ、と88版大戦略の為に当時は
1万円以上もしたシリアルマウス(大戦略88の操作に必要だったような気がす
る)迄購入し、発売日を心待ちにしていた。


 PC88の世界にいらっしゃった大戦略様は「大戦略88」というタイトルだった。
シンプルといえばシンプルだが、このネーミングから伺えるのは「大戦略だ、
そして88だ」ということだけであり、特に「88」の部分に、「88なんや
で?」「分かってまっしゃろな?」的な言い訳めいたものを感じてしまった。
案の定、このソフトは98版の大戦略をダウングレード移植したもので、兵器な
どのユニットの数が非常に少なく、やれることはやったけど、あとは我慢しな、
的な内容のソフトで、いらして下さったのは有難かったものの、これに関して
は正直いってあまり面白かった・・・という記憶はなく、「ああ、世の中には
こんなゲームもあるのだなあ・・」程度の感慨を抱いたに過ぎなかった。

 実は後にこれとよく似たいわば簡易版の大戦略がファミコンで発売されたの
だが、パソコン版での大戦略を知って発売前に「俺は買うぜ!」と得意げに語
る友人のファミコン少年に敢えて何も言わず悪魔の微笑みで見守っていたこと
を今でも懐かしく思い出すことが出来る。


 その後、98では「大戦略II」が発売され、おいらが大戦略88の存在すら忘れ
た1988年になって大戦略シリーズは再びPC88の元へ戻ってきた。
タイトルは「SUPER 大戦略」
おいらは内心、前回の"88"で懲りてはいたのだが、今回はなかなかにやる気の
ありそうなネーミングではないか、と思った。
下位機種の移植にも関わらず敢えて"SUPER"の文字を冠している。
前回のように「大戦略・・・88・・・。」などと投げやりな溜息と共に言い捨
てた時とは意気込みが違うんではないか。
奴も都会で苦労して一回り大きくなって来たに違いない・・・と例によって妄
想癖全開で好意的な解釈を行い、高校一年の夏休み前に購入した。


 そして、結論からいうとほぼ夏休み中これで遊んでいた。
確かに98版に比べると兵器数なども少なかった(らしい)が、敢えて簡略化し
たことにより、よりゲーム性がはっきりしており、非常に良く出来た作品に仕
上がっていたのだ。
大戦略88の時は、早々に投げ出してしまったのでよく分からなかった兵器の相
性というようなものもこの作品で勉強し、A-10爆撃機だの、攻撃ヘリアパッチ
だのといったおいらの数少ない現代兵器知識は全てこのソフトの存在によって
知ることが出来た、といっても過言ではない。

 また、マップコントラクションをはじめ多数収録されたマップ、開始時の条
件設定など自由度も高く、おいらの高校一年の夏休みは午前中にゲームを開始
して夕方までかけて1マップをクリアするという、果てしなく怠惰にして非生
産的なものになり、二学期の成績も清く正しく下降することとなるのだが、正
直将棋的な趣のある戦術級SLGに未だに苦手意識を持つおいらが唯一骨の髄
まで遊び尽くしたのがこの"SUPER 大戦略"だった。


 そしてこの"SUPER 大戦略"は市場での反応も良かったらしく、本家であるP
C98版に"SUPER 大戦略98"として逆移植されたり、後にはメガドライブにも移
植されることとなるが、このメガドライブ版の出来も非常によく、地味だった
戦闘画面が家庭用機らしく華やかになっただけではなく、鉄道や艦船などの88
版には無かった要素まで追加されていながら、マップコントラクションもちゃ
んと付いていたという、初期メガドライブのゲームとしては突出して優秀な作
品となったり、DC版まで続くことになるセガの「キャンペーン版大戦略」シリ
ーズの礎ともなった。


 ただ、本家大戦略の方は、大戦略3以降よりリアルで複雑な方向に行ってし
まい残念ながら単純なおいらにはついていけなくなってしまった。



AXL 2003

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