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「ジッピーレース」

Media :アーケード、SC-1000,Family Computer,Play Station,Sega Saturn等
Maker :Irem
種 別:レースゲーム
発売日:1983年(アーケード)


 ジッピーレースである。
平たくいうと「元気なレース」でもある。
このゲームがゲーセンに登場したのは1983年頃の話で個人的にはアーケードゲ
ームが「ちょうどよかった頃」のことだ。

 おいらがはじめてゲーセンに入り浸るようになったのはスペースインベーダ
ーが登場した頃、つまり1978年頃で、「アナタがそんなヒトだなんて思わなか
った!」などと言いつつゲーセンと決別したのは、スト2が流行り始めた1991
年頃で、足かけ13年間ほどゲーセンのお世話になったわけであるが、さすがに
黎明期の70年代ゲームはシンプル過ぎたし、さりとて85年以降のゲームはちょ
っとばかりこまっしゃくれてきて見た目も内容も生意気になってしまった。
シンプルさと見た目の楽しさをいい感じに両立させていたのはちょうど82年〜
84年頃のゲームだったような気がするのだ。

 そんな極私的古き良き時代の1本がジッピーレース。
画面はトップビューのレースゲームだが、どういうわけかライバルは全て自動
車であるのに対してプレイキャラだけはバイクに乗っているという点。
一体どういうわけで、こんな変わった仕様にしたのかはよく分からないが、こ
れは見た目にも非常に印象的で、一目見ただけで「あっ、ジッピーレースだ!」
と見分けることが出来る、という点で非常に効果的ではあった。

 余談だが、これでプレイキャラも自動車だった場合、SNKのジョイフルロード
と見分けがつかなくなってしまうような気もする。


 さてゲームの内容は、ロサンゼルスをスタート地点としてアメリカ大陸を横断
して(もしかしたら縦断の可能性も捨てきれないのだが、地理はかなり苦手なの
でご容赦願いたい)ニューヨークに辿り付くことが目的となる。

 ニューヨークに辿り付く迄には、ラスベガス、セントルイス、ヒューストン、
シカゴといったアメリカの大都市を経由する必要があり、燃料がなくなる前に次
のチェックポイント(都市)に到達する必要がある。

 この辺のシステムは後年KONAMIから発売された同じトップビューのレースゲー
ム、ロードファイター(こちらは飽くまでチェックポイントで実在の都市ではな
いが)と同様なのだが、ジッピーレースの大きな特徴の一つとして「順位」とい
う概念が存在することが挙げられる。

 ポールポジション以降の本格的フロンビュータイプのレースゲームでは当たり
前のフューチャーとなったが、それ以前の旧世代トップビュータイプのゲームで
順位という概念を取り入れているのは非常に珍しく、またチェックポイント到達
時に順位によって回復するFUEL(燃料)の量が変わったり、1位をマークす
れば前からライバルカーが現れることもなくなるなど、意外と凝った作りのゲー
ムでもある。


 そして、ジッピーレースのもう一つの大きな特徴が、チェックポイント到達時
間近のフロントビュー画面の存在である。
トップビュー画面でチェックポイントに到達すると画面がフロントビューに変わ
り目指す都市を正面に見ながらバイクが都市に入っていく、という半ば演出的な
ステージになるのだ。
一見、ボーナスステージのようにも見えるが、この時は、車を抜いても順位には
影響しないが(というよりここに登場する車はレースとは無関係らしくこちらに
向かって走ってくる)的車にぶつかるとちゃんとミスになる為、ミスという概念
がなく高得点のチャンスとなる普通のゲームのボーナスステージとは逆の珍しい
ステージであるとも言える。


 さて、このジッピーレースは当時ゲームセンターでなかなかの人気を博してい
たらしく後年家庭用ゲーム機にも移植される。
まずセガのSC-1000に移植され、2年にはアイレム参入第一作としてファミコンか
らも発売されてる。
ちなみにファミコン版ジッピーレースには発光ダイオードがついており、「光る
ファミコンカセット」として一瞬だけ有名になった、アイレムはこれに気をよく
したのかその後も自社のゲームに発光ダイオードをつけ続けたが、同じギャグば
かりを繰り返していつしか世間から忘れてられていく一発屋のお笑い芸人のよう
にいつの間にか発光ダイオードも取り外してしまい88年の不如帰の頃には任天堂
タイプのカセットに変更してしまった。



AXL 2003

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