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「ゼロヨンチャンプ・シリーズ」

Media&Title:
・ゼロヨンチャンプ
・ゼロヨンチャンプ2(PC-Engine SUPER CD-ROM2)
・ゼロヨンチャンプRR(Super Famicom)
・ゼロヨンチャンプRRZ(Super Famicom)
・ゼロヨンチャンプDoozy-J
Maker :メディアリング
発売日:1991年〜1997年
種 別:ゼロヨン・レースゲーム(?)


 シリーズ化されており、意外と知名度は高い割にいまひとつ話題に上らない
ことで有名なゼロヨンチャンプシリーズである。
しかし、個人的には、このゲームが売れないようならゲーム界に未来はない、
とまで思わせてくれるゲームだ。

 簡単に内容を説明すると、ゼロヨン、つまり改造車でスタートから400mまで
のタイムを競うレースで頂点を目指すことが目的となっており、レースの賞金
やアルバイトで工面した資金で新車を買い、レース用のパーツを購入し、チュ
ーンナップを施し、よりランクの高いレースでの優勝を目指す。
こう書くと、それほど珍しくもないレースゲームのようだが、このゼロヨンチ
ャンプというゲームの凄いところは、「実はゼロヨンなんてどうでもいい」と
いわんばかりのサブゲームの多さにある。

 その多くは主人公のアルバイトとして挿入されており、例えばビルの警備の
アルバイトがダンジョンRPGになっていたり、倉庫番もどきのミニゲームが
入っていたり・・・という形で消化されているが、回を重ねるごとに明らかに
サブゲームの方だけがボリュームアップしていき、RRZでは、元々は警備員のア
ルバイトという名目のあったダンジョンRPGがゲーム本編とは明らかに別な
世界観を持った本格的RPGになっており、クラスチェンジまで可能になって
いる。
さらに最新作となるDoozy-Jでは、雑多なミニゲームとダンジョンRPGに加え
サウンドノベルから、恋愛シミュレーションまでシステムに組み込まれている
のだ。

 このゲームの場合、ゲームそのものは目的としては「ゼロヨンチャンプ」と
いうことのみに集約されている為、それほどは感じられないが、そこにいきつ
くまでの過程の多彩さからいえば、これほど自由度の高いゲームも珍しい。
もし、ゼロヨンチャンプになる、ということ以外のマルチエンディングをつけ
たならば、それだけでシェンムーよりよほどフリーなゲームになってしまうだ
ろう。
まあ、確かに地味ではあるが。


 ゼロヨンゲームでありながら、本来のゼロヨンよりもサブゲームの方が充実し
ているというのは確かにヘンな話なのだが、このゲームの場合、ひとつひとつの
サブゲーム(無論、本編のゼロヨンも含めて)をちゃんと作りこんである為、何
をしていても楽しいのだ。

 実をいうとおいらは車好きどころか、普通免許も持っていない上に、車酔いを
する人間なので、まるで車に思い入れはない。
レースゲームは嫌いではないが、強いていえば、ハンドリングとブレーキングと
ギアチェンジが嫌いである。
その点、ゼロヨンチャンプというゲームはコースが常に直線なのでハンドリング
という操作が初めから存在しない。
カーブがない為、チキンレースを除いてはブレーキングも必要ないし、ギアチェ
ンジも多少の効率さえ犠牲にすればセミ・オートマチックのパーツをつけること
でかなり簡略化される。

 ここまで簡単だと車に興味がなくても十分楽しむことが出来る。
逆に好きな人には物足りないのかもしれないが、題材に左右されずゲームそのも
が楽しい、というのは非常に素晴らしいことである。

 その上、膨大なサブゲームもそのほとんどが題材に関わらず良質なものが多い
為、とにかくゲームをしていること、そのものが楽しいのだ。

 ゼロヨンという題材の為か一般的にはいまひとつメジャーになり切れないゲー
ムだが、特にシリーズの集大成ともいえる最新作は、恐らくは予算不足からくる
見た目のチープさに目をつぶれば、その辺のヒットゲームなど霞むくらいに面白
いゲームなのだ。



AXL 2002

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