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「ゼビウス」

Media :アーケード、PC-6001,X1,PC-88SR,MZ-2500,X68000,FAMILY COMPUER等
Maker :namco
種 別:強制縦スクロールシューティングゲーム
発売日:1983年(アーケード版)


 シューティングゲームの名作。
1983年にアーケード版としてナムコから発売されたゲームである。
当時、人生の10分の1くらいはゲーセンで過ごしていたおいらも当然、新登
場の頃にプレイしてみた。
このゲームでまず目につくのは背景の緑である。
当時のシューティングゲームといえば、舞台は宇宙空間と相場が決まっていた。
それだけに始めて見た緑の地上を舞台にしたこのゼビウスというゲームの背景
がやたら印象的だったのを覚えている。

 さらに、このゲームは空中を飛んでくる敵と地上にある建造物に対してそれ
ぞれ別の武器で対応する必要があった、対空ミサイルの名前はザッパー、対地
ミサイルはブラスターと、発射するミサイルにまでちゃんと名前がついている
ところにこのゲームのこだわりが感じられる。

 隠しキャラのソル、スペシャルフラッグの存在、また回転しながら飛んでき
てミサイルを受付けない「バキュラ」という板に256発ミサイルを当てると
破壊できる、というデマが流れたりするほど隠しフューチャーも満載で、当時
としては本当に謎めいたゲームだったが、おいら的には、そんなものを探すよ
りもやられないように敵から逃げ回るのが精一杯で、隠しキャラまでは手がま
わらなかった。

 さらに美しいBGM。
ゲームのBGMがミキシングされ、商業レコードとして発売されたのは、この
ゼビウスが最初である、ちなみにプロデューサーはこのゲームに惚れこみ、ゲ
ームセンター用テーブル筐体ごと購入したというYMOの細野晴臣氏。

 そして極めつけは浮遊要塞「アドーア・ギレネス」の存在である。
当時のシューティングゲームは単調な展開のものが殆どで、あそこまで大掛か
りなボスキャラを出したのもゼビウスが初めてではなかったのだろうか?

 ちなみにこの要塞の名前、ファミコン版でのプレイが最初だったユーザーは
「アンドア・ジェネシス」と記憶しているかもしれないが、アーケード版は「
アドーア・ギレネス」である。

 何故ファミコン版への移植の際に名称が変更になったのかは定かではないが、
ファミコン版ではハードの制約上、この要塞を浮遊させることができなかった、
つまり、アーケード版では要塞と戦っている間も画面はスクロールし続けてい
る、つまり要塞も自機も前に進みながら戦っているが、ファミコン版の場合、
要塞が出ている間はスクロールが停止する。

 この事からファミコン版は「浮遊していない要塞」なのではないか?とおい
らは勝手に思いこんでいる、「浮遊要塞・アドーア・ギレネス」とは別に、「
浮遊しない要塞・アンドア・ジェネシス」として登場させたのではないか?と
いうわけだ。


 ファミコン版は浮遊要塞が浮遊せず、印象的だったナスカの地上絵といった
ギミックも省略されてしまったが、当時移植された「ゼビウス」としてはズバ
抜けて出来の良いものだった。

 また、このゲームがファミコンに移植されたことによりファミコンユーザー
が急増し、後のファミコンブームへと繋がって行く。
今では当たり前になったゲーム攻略本だが、ファミコン版ゼビウス登場以前は
複数のゲームを1冊の本にまとめて攻略情報を載せている本はあったが、たっ
た1本のゲームの攻略情報だけで1冊の攻略本が刊行されたのは、おいらが覚
えている限りではファミコン版ゼビウスが最初である。

 当時の印象としては「たった1本のゲームのことしか書いていないのに一冊
もつのかな?」と正直不思議に思ったものである。
とはいえゼビウスの場合、前述した謎めいたフューチャーや全16エリア存在
するステージ情報など、当時のゲームとして群を抜いて奥の深いゲームだった
為、一冊の本でもまだ足りないほどの情報が溢れていた。
そんなわけで、おいらはゼビウスの攻略本には納得したものの「これはゼビウ
スだからできるワザで他のゲームじゃ無理だな。」と思っていたら、それ以降
ほとんど全てのゲームに攻略本が発売されるほどになってしまった。

 余談だが、おいらは滅多なことがない限りゲームの攻略本は買わない。
何故なら「お金がもったいない」という真実一路な思いがあるからだ。
正直攻略情報が欲しくなることもあるが、おいらがゲームの攻略本に対して根
本的に不信感を持つ最大の理由は「意味もなく異常に質の良い紙を使うところ」
にあるのだ。

 最近のゲームの攻略本は平気で1500円くらいするが、明らかに値段を吊
り上げる為に無理矢理良い紙を使い、金のかかる装丁をしているふしがある。
とはいえ、攻略情報は欲しいので買う方は文句が言えないという、一言でいう
と「遊園地の中にあるジュースの自販機」のような販売戦略を取るところが気
にいらないのである。

 一応付け加えておくと最初の特定ゲーム攻略本となったゼビウスの攻略本は
定価480円、出版社は確かケイブンシャで最初の方のページだけがカラーで
後は白黒だったが全然不自由しなかったのである。


 随分と話がそれてしまったが、このゼビウスは日本中のゲームファンを熱狂
させたゲームで、それだけに移植作品も数が多い、多くはパソコン版で、やは
りアクションゲームが不得手なパソコン版はクォリティ的に苦戦を強いられた。
おいらは実際にプレイしたことがないが、まず、PC-6001というNECの低価格ホ
ビーパソコンに移植されたゼビウスは、その名も「タイニーゼビウス」となっ
ている、これは「ゼビウス」という名前で発売するにはあまりにも無理があっ
た為ではないかと思う。

 次にPC-88SR版とX1だが、スクロールが不得意な88版はなんとなく予想が付く
が独自のスプライトを持っていたX1版はかなり善戦したらしく、MZ-2500版が発
売されるまではパソコン版の中では最もクォリティが高かったらしい。

 そして、移植作品の中で始めて「要塞」を浮遊させてみせたのがMZ-2500、通
称「スーパーMZ」といわれるシャープの8bitパソコン最強のマシンだ。
おいらは当時、PC88ユーザーだったが、このMZ版にはかなり激しく憧れたのを
覚えている、実際にはプレイしたことも動く画面を見たことすらもなかったが
恐らくクォリティはファミコン版以上のはずである。

 最後に同じくシャープの16bitパソコンX68000にも移植されている、こちらも
未プレイだが、恐らくアーケードと同じか、もしくはそれ以上のクォリティだ
ったはずである。

 スペースハリアーにも言えるが、ゼビウスのような人気タイトルの面白い所
は数多くのハードに移植され、それぞれのマシンで個性的な移植作が誕生する
ところである。
おいらは勝手にそういうゲームを「ベンチマーク・ゲーム」と呼んでいるが、
ゼビウスはそんなベンチマーク・ゲームの中でも最も熱かった時代のゲームで
ある。



AXL 2001

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