レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「スターラスター」

Media :FAMILY COMPUTER
Maker :namco
種 別:3Dシューティング&シミュレーション
発売日:1985年

 1985年にnamcoが唐突に放ったファミコン・オリジナル3Dシミュレーション
ゲーム。
シミュレーションゲームと表現すると語弊があるかもしれないが、同じように
シューティングとシミュレーション要素のまじったゲームである、バンゲリン
グ・ベイと比べても、スターラスターの方が格段にシミュレーション要素が強
い。

 簡単に内容を説明しておくと、主人公が宇宙戦闘機ガイアを操り、「バッツ
ーラ」と呼ばれる侵略者達から宇宙を守ることが目的。
画面構成は画面上部の3D画面と、画面下部のレーダー、そして、自機である
ガイアの残りエネルギー、破損状況などを示す部分に分かれており、またそれ
らがコクピットからのパイロット視点として配置されている為、非常にリアル
である。

 プレイヤーはまず、レーダーに表示されている”E”という表記(敵軍)の
位置にカーソルを合わせワープを行う。
ここで初めて、自機が敵軍の存在する宙域に移動することができたことになる。
逆にいうとゲーム開始時に留まっている限り、敵と遭遇することすらないのだ。
敵の存在する宙域で3Dシューティングにより全ての敵を破壊した時にはじめ
てレーダー部の”E”の表記が消える。
勿論、敵は一部隊だけではないので、すぐに次の”E”を目指してワープする
必要があるが、実は、ワープそのものにも大量のエネルギーを必要となる為、
その前に自軍の惑星や基地で補給を受ける必要もある。
考え無しにワープを繰り返していては絶対にクリアはできない。

 また、敵部隊の殲滅に手間取っていると、他の敵部隊が友軍惑星や基地など
に近づいていき、攻撃を始めてしまう。
こうなると、友軍惑星や基地が破壊されてしまうため、ある程度戦略を立てて
敵を選ぶことも必要となる。

 また、自機へのダメージも、単なる数値制だけではなく、場合によってはレ
ーダーが使用不可能になったりエンジン部が破損して航行スピードに影響がで
るなど非常に凝ったゲームになっている。


 さらに3D戦闘のシステムも単に撃ちまくって敵弾をよけていればいい、と
いう単純なものではなく、前後左右といった二次元的な位置関係だけではなく
上下の位置関係も考慮しなければならないので、レーダーで例え敵機が目の前
にいるように見えても実際には、敵との高度が大幅に違う為、戦闘画面では敵
が見えないといったことも多い。

 ここまで書けば分かる通り、このゲームは実はかなり対象年齢の高いソフト
であり、このゲームを購入した当時小学校6年生だったおいらには、購入初日
にいきなり持て余してしまった。

 宇宙戦闘機の3Dシューティングというイメージや、画面写真からもっと単
純爽快なシューティングゲームを期待していたおいらにとっては、何だか分か
らない内にエネルギーがなくなって終わってしまうこのゲームは、正直期待ハ
ズレに映ったのだ。

 それっきりこのゲームをプレイすることがなければ、今もおいらにとってこ
のゲームはクソゲーのままだったかもしれないが、さりとて、月にそう何本も
ゲームを買えるような身分でもなかったおいらは、多少のことでこのゲームを
プレイすることを放棄するわけにはなかった。

 それに、このゲームを購入する前にも、「スーパーアラビアン」等という非
常にアレなゲームを購入してしまったおいらとしては、このゲームを「クソゲ
ー」だということそのものを認めることは、自分自身のゲーム選択眼の無さを
露呈するものであり、あまりにも寂しかった。
そのような個人的事情も相まって、おいらは翌日からもかなりしつこくこのゲ
ームをプレイし続けた。


 最初は絶対に不可能に思われた、戦闘時の敵との高低差合わせも何度もマニ
ュアルを読み返し練習を繰り返すことで、いつしか意識しないで簡単に行える
ようになり、ゲームスタートからゲームオーバー迄の時間が少しづつ伸びてい
った。

 またこのゲームには、終了時に成績が表示され、成績によって軍の階級が英
語で表示される為、清く正しい当時の小学生のおいらは、他の多くの子供達と
同じく「少佐」もしくは「大佐」の階級を目指して一心不乱にプレイを繰り返
した。

 しかしながら、どれだけ頑張っても根本的なところで、決してゲームがうま
くないおいらに、このゲームを完全クリアすることはできなかったものの、最
初はつまらなそうに思えても、やればやる程味の出るゲームというものが存在
するのだ、ということをこのゲームとの出会いを通して初めて知ったおいらは
地味に大人への階段を一段昇ったのだった。



AXL 2002

HOME