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「スーパーレッスルエンジェルス」

Media :Super Famicom (レッスルエンジェルス3:PC98)
Maker :KSS(レッスルエンジェルス3:グレイト
種 別:プロレス団体経営シミュレーションゲーム
発売日:1994年(レッスルエンジェルス3:19??年)


 先に書いておくと、おいらはプロレスが好きだ。
小学校1年頃にテレビでアントニオ猪木対タイガー戸口という微妙に地味な試
合を見て以来、この年まで大体においてプロレスを見続けてきた。
しかし、基本的に女子プロレスには興味がない。
嫌いなのではない、それ以前に全く興味がないのだ。

 レッスルエンジェルスというゲームは、1980年代の終わりくらいから主にPC
98用のパソコンゲームとしてリリースされ続けた作品だが、そんなわけでおい
らはこのシリーズに全く興味を持てずにいた。
元々レッスルエンジェルスというゲームは、ストーリーの性のある女子プロレ
スゲームで、大体においてヒロインが女子プロレス界で頂点を極める迄のスト
ーリーを試合をこなしながら追っていくものだが、試合はアクションではなく
カードバトルが採用されている。

 実はこの点も気にいらなかったのだ。
最近はカードゲームが花盛りらしいが、おいらはファミコンのドラゴンボール
のゲームにおいて初めて(?)カードバトルシステムが採用された時から買う
気もないのに一人で怒っていた。
カードゲームなどというものはそもそも、コンピュータが出来る以前の原始的
なゲームシステムであり、それをわざわざコンピュータを使ってやる、という
姿勢がまず気にいらなかったのだ。

 次に、細かいことを言うようだが、おいらが嫌いなのはカードバトル的なシ
ステムそのものではなく「画面にカードの絵を出す」という姿勢そのものが嫌
なのだ。
仮に全く同じシステムであっても、「カード」ではなく「コマンド」であれば
それほど違和感は感じないのだが、それ迄普通にゲームを進めておいて戦闘シ
ーンになったら、いきなりカードを並べてお互いに出し合うという演出がどう
しても好きになれなかった。

 例えば仮にドラクエにカードバトルシステムが採用された場合、街やフィー
ルドを歩いている間は、プレイヤーは冒険をする勇者達をイメージしていれば
いいのだが、いざ敵との戦闘に入った瞬間にカードバトルシステムが始まると
全てが白けてしまうのだ。
実際にゲームの中の世界でも、「戦闘はすべからくカードを使って行われてい
る」という設定があるのならそれはそれでいいかもしれないが、正月の家族対
抗ババ抜き合戦のようなことをさせられながら、シリアスな戦闘シーンをイメ
ージしなければならないので、戦闘に突入した瞬間に全てが白けてしまうのだ。

 いわんや、プロレスの試合をカードバトルで行うなど言語道断であり、男子
ではなく女子のプロレスゲームで、絵柄からしてかなりギャルゲーっぽいレッ
スルエンジェルスシリーズは、基本的には一生おいらと縁のないゲームになる
はずだった。


 ・・・が、おいらはある時、このゲームを買ってしまった。
オリジナルのパソコン版ではなく、スーパーファミコンに移植された第三作目、
「レッスルエンジェルス3」(スーパーファミコン版タイトルは「スーパーレ
ッスルエンジェルス」)を、偶然ショップで見かけて購入してしまったのだ。
別においらの方に何らかの心境の変化があったわけではない、店頭で見つけた
それの販売価格は、その時に一緒に購入した新作ゲームの消費税と対して変わ
らない程度の値段だったので、なんとなくもののついでに購入してしまったの
だ。

 そんな経緯で購入はしたものの、おいらはこのゲームには全く何の期待もか
けてはおらず、その時一緒に購入したゲームをクリアしてからやっとパッケー
ジを開いてみた。
レッスルエンジェルスシリーズのことは知っていたので、恐らくこれもヒロイ
ン・サクセスストーリーもののカードバトルプロレスゲームだと思っていたお
いらが、実は、「スーパー」の元になった「レッスルエンジェルス3」は、そ
れまでのシリーズと違い、「プロレス団体経営シミュレーションゲーム」だっ
たのだ。

 意外とありそうでなかったのがプロレス団体経営SLGというジャンルで、
実は、おいらは中学生の頃、WWF(現WWE)を元ネタにしたプロレス団体
経営SLGを作ったら面白いのではないか?と思い、当時持っていたPC88FRの
N-88日本語BASICを使ってプログラムしてみたのだが、どう考えても、ユーザー
メモリだけでは足りず、さりとてフロッピーディスクに変数を受け渡しするコ
マンドを知らなかった為に投げ出した、というどうでもいい過去を引きずるオ
トコでもあった為、今まであれだけこのシリーズに興味がないなどと言ってい
た癖に期待に胸を躍らせて一通りプレイしてみたところ、これが意外と・・・
いや、実によく出来ているのだ。

 簡単に内容を説明すると、プレイヤーは女子プロレス団体経営者となり、初
期資金を元にして女子プロレス団体を旗揚げさせる。
団体を旗揚げする為には、当然選手が必要な為、最初の仕事は、既存選手のス
カウトや新人の募集となる。
選手はそれ実力が設定されており、当然のことながら強い選手ほど契約には金
がかかるが、それだけ客を呼ぶ力を持っている。
自分の財布と相談しながら最低限必要な人数のレスラーを揃えたらいよいよ旗
揚げだ。

 団体を旗揚げしたら一ヶ月ごとに興行(どの地域のどの体育館、ホール、ド
ームなどで試合を行うか)を決めていく。
勿論、大きな会場ほど使用料金が高いので、団体人気が伴わない内に武道館や
ドームクラスの大きな会場を借りてしまうと、大きな赤字を出してしまう。
かといって、最低クラスの体育館やパチンコ駐車場などでは、超満員となる代
わりに「売り残し」が出てしまう為に、その都度最も適切なクラスの会場を選
択する必要がある。

 また、団体の人気は総合的な評価の他に各都道府県別にも決まっており、同
じ団体でもより人気の高い地域での興行の方がより多くの客入りを見込めるの
だ。

 ただし、一度興行を開催した地域では大体三ヶ月くらいは冷却期間を置かな
いと、2度目以降の客入りは極端に悪くなる為、ある程度全国を平等に巡業し
ていく必要がある。

 さらに個々の選手をトレーニングで育成したり、任意のレスラーを海外修行
に出したり、何と覆面までかぶせられる。
他にも自分の団体に選手をライバル団体に殴りこみをかけさせたり、海外団体
の選手の1シーズン限りの契約で呼ぶことも出来るし、呼んだレスラーがその
団体のタイトルホルダーだった場合には、海外団体のベルトを奪取することす
らできる。

 さらに、興行もただ単に打てば良いというものではなく、メインの試合に実
力選手同士の対決を持ってきたり、所持ベルトさえあれば自由にタイトルマッ
チも設定できる為、プロレス好きにはかなりたまわないゲームなのだ。


 もちろん、おいらはこのゲームにハマリまくり、原作であるPC-98版の3まで
購入してしまったのだが、残念ながらプロレス団体経営SLGというのは、レ
ッスルエンジェルスシリーズの中でも本作だけで、それ以外のゲームを見回し
ても、「人生プロレス」という色々な意味でカオス状態の二十世紀最大の奇ゲ
ーを除いてはまず存在しないという点だけが悔やまれる。

 ちなみにパソコン版の3とスーファミ版のスーパーでは、スーファミ版がバ
ッテリーバックアップ式カートリッジである為、古くなるとセーブが使えなく
なる、ということ以外はほとんど一緒だったような気がするので、プロレス好
きな人は廉価でスーファミ版をみつけたら是非購入することを強くお薦めする。


AXL 2002

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