レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「スーパーマリオブラザーズ2」


Media :FAMILY COMPUTER DISK SYSTEM,スーパーファミコン
Maker :任天堂
種 別:右スクロールアクションゲーム
発売日:1986年6月


 1986年に発売されたディスクシステムの売上に貢献したと思われる超人気ソ
フト、待望の第二弾。
ただし、発売は本体発売ソフトはゼルダの伝説と謎の村雨城で、スーパーマリ
オ2の発売は僅かながら遅れている。
内容の方は、前作スーパーマリオブラザーズの高難易度バージョンで、グラフ
ィックやシステムはほぼそのまま流用され、マップ構成と、マリオとルイージ
のキャラクター選択が可能になり、両者のアクションに個性がついたことに留
まっている。
もっとも、前作である「スーパーマリオブラザーズ」が発売されたのが前年の
9月であることや、発売前にそれほど注目されていたソフトではなかったことを
考えると、マリオ発売、大ヒットの後にディスクシステム普及の為に急遽制作
されたものである可能性は大きい。

 タイトルこそ「スーパーマリオブラザーズ2」となってはいるが、パッケー
ジには"FOR SUPER PLAYERS"とあり、純粋な続編というよりは、ハドソンがファ
ミコンで発売した「ロードランナー」と「チャンピオンシップ・ロードランナ
ー」の関係に近い。
どちらの場合も、システム自体にはあまり手を加えず高難易度版として焼き直
してあり、尚且つ、その難易度は異常なくらいに高い、という共通点がある。

 発売前から前作より難しいという前評判または宣伝はあったような気がした
が、おいらは「まさかこれほど」とは夢にも思っていたので、気軽に購入し、
そして挫折した。

 実にあっさりと挫折した。
おいらはゲームに対してもあまり根性がないので、難しいゲームを一生懸命攻
略してクリアした、というような記憶はない。
手に余ればすぐに他のゲームに浮気をしてしまうタイプなので、残念ながらこ
のゲームに関してはそれほどやり込んだ記憶はない。

 ちなみに、ディスクシステムでは後に「夢工場ドキドキパニック」というゲ
ームが発売され、アメリカではこちらが「スーパーマリオブラザーズ2」とし
て発売されている。


 ところでこれはマリオ2に限った話ではないのだが、おいらはこのスーパー
マリオというゲームをプレイする時、いつも思うことがある。
それは「クッパの憂鬱」についてである。
何事かと思うかもしれないが、よく考えて欲しい。
クッパというのは(偽者も含めて)各ワールドの最後のステージとなる4ステ
ージに、自分の城を構え、そのまた一番奥に待ち構えている。
戦いを行う場合、通常は相手の陣地に攻めていくよりも自分の陣地で敵を待ち
構えた方が遥かに有利である。
だから、クッパは自分の城にありとあらゆるトラップを仕掛けているわけだが
肝心要のマリオとクッパの対戦の舞台では謀らずもクッパが抱える心の問題が
露呈されているのだ。

 プレイ経験のある人なら分かると思うが、クッパは、煮えたぎる炎の海の上
に一本橋を掛け、しかもその橋を支えるワイヤーのすぐ脇にそれを断ち切る為
の斧を必ずおいておく、という不思議な習性がある。
まるで、これでオレを炎の海に突き落としてくれ、と言わんばかりである。

 これは一体どういうことなのだろうか?
彼は自分の欲望に正直に生き、結果として「悪役」と呼ばれている。
しかし、彼は自身が既存の常識の中では自身の存在が決して受け入れられない
ということもまた知っていたのである。
自分自身が滅び行く存在であることをも肯定し、わざわざあんなことをしてい
たのではないだろうか?

 そう考えると8-4に現れるクッパの姿においらはどこか悲壮なものを感じて
しまうのだ。
自ら悪に徹することで、ヒーローを輝かせ、マリオとは全く逆の方法論を用い
て英雄伝説の完成を願うピカレスクヒーローこそがクッパなのではないだろう
か。

 同じマリオの敵役でありながら、ドンキーコングほどメジャーになれなかっ
たクッパ、それもスーパーマリオシリーズというマリオ作品の中で最も有名な
作品で常にボスという地位を与えられているにも関わらず、ドンキーコングに
頭を押さえられ、あまつさえ「ワリオ」などという、なんだかちょっぴりアレ
なキャラクターにマリオのライバルの座を奪われつつあるクッパだが、敢えて
悪に徹する姿には男気のようなものを感じてしまうのである。



AXL 2001

HOME