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「スーパー・ゼビウス〜ガンプの謎〜」


Media :FAMILY COMPUTER
Maker :namco
種 別:縦スクロール・シューティング
発売日:1986年


 1982年にアーケード用シューティングゲームととして登場した名作ゼビウス
を発売から4年を経て、ファミコンという初代ゼビウスのアーケード基盤よりス
ペック的には劣るハード上で続編として開発された、というよく考えるとちょ
っぴり複雑なゲーム。

 そもそも最初のファミコンブームを作ったのは、ゼビウスだとおいらは思っ
ている。
確かにファミコンはハードの優位性や良質なゲームの供給により、ゼビウス発
売以前から当時存在した家庭用ゲーム機の中では頭ひとつ飛びぬけた存在では
あったが、本当の意味で家庭用ゲーム市場を事実上独占するきっかけを作った
のはゼビウスのリリースであり、さらに、ファミコン人気をゲームファンだけ
に留まらない、社会現象にまで押し上げたのはスーパーマリオブラザーズの功
績によるものだとおいらは考えているのだ。


 それほど迄にユーザーから支持されたゼビウスというゲームの続編が出ない
わけがない。
ゲームに限らず映画でも小説でもいいのだが、ある一つの作品があり、その続
編というものを作るきっかけとなるのは、本来、最初の作品で話が完結してい
なかったり、または作者がまだ語り尽くせない何かがあった場合であるべきな
のだが、殊、映画やゲームには収益が見込めるという意味で続編が作られるケ
ースが多い。
いや、もっとあけすけに言えば、それ以外の理由で続編が作られることはない
とすら言える。

 続編において、うまく前作を超えることができるか、そこまでいかなくても
前作並のクォリティを保てれば良いのだが、元々、「続編を作らなければいけ
ない」という必要に迫られての作業になる為、初代を作った時の自由度は失わ
れる。その上で初代に相当するクォリティを叩きださなければならない為、続
編の制作というのは初代以上に苦しいものなのかもしれない。


 今回紹介する「スーパーゼビウス〜ガンプの謎〜」の場合はどうなったか?
というと、初代ゼビウスのキャラクターやグラフィック、雰囲気などを流用し、
進化要素としてパワーアップ、グラフィック面での強化が加えられた。
ここまでにしておけば良かったのだが、さらにトドメとして、「ゼビウスにド
ルアーガの塔のような謎解き要素」を加えてしまったのだ。
ドルアーガの塔は言うまでもなく、ゼビウスと並ぶnamcoの看板ゲームであり、
作者もゼビウスと同じ遠藤雅伸氏なので一見問題は無さそうなのだが、実は、
今作「ガンプの謎」の開発に遠藤氏は関わっていない。
既にnamcoから独立し、ゲームスタジオという会社を設立してしまっていたのだ。
となると、このガンプの謎は、ある意味で自社の作品をパクって作るようなも
ので、消費者側からすると正直不安な作品に映る。

 ガンプの謎には、ドルアーガの塔のような謎解き要素が加えられた、と書い
たが具体的にどういうことなのかというと、このゲームは一見ごく普通の縦ス
クロールのシューティングゲームに見えるが、実は、エリア(ステージ)毎に
決められたある行動を取らないと、同じエリアを延々ループし続け、全く先に
進むことができないのだ。

 この要素がいかにシューティングゲームと合わないものだったかということ
はこんなシステムを採用したゲームは後にも先にも「ガンプの謎」以外、まず
思いつかないという点からも明らかである。

 そして、毎度書いていることだが、この「謎解き」というのがクセ者なのだ。
ドルアーガの塔にしても、ハイドライドにしてもチャレンジャーにしても、あ
の頃のゲーム業界でやたらと流行っていた「謎解き要素」というのは、実は「
謎解き」などという高級なものではない。

 謎解きというのは本来、「問題です、こういう事件があって、容疑者は何人
いてそれぞれこんな特徴があります、また、現場にはこういう手がかりがあり
ました、さて犯人は誰でしょう?」というのが謎解きというものなのだ。
しかるに、この頃流行っていた謎解きというのは、「問題です、さて答えは何
でしょう?」というくらいに人をバカにしたものなのだ。

 おいらはこの手の意味不明な住所不定、自称謎解きが大嫌いなので、先ほど
挙げたゲーム達とは軒並み相性が悪い。
言うまでもなく、「ガンプの謎」とも相性が悪い。

 そんなわけで、実はこのゲームにはあまり良い思い出がない。
確かこのゲームを購入したのは、発売当時ではなく、発売からしばらくして中
古ショップで見かけたのがきっかけだと思ったが、4900円の定価に対して3500
円強とまだまだ高かったのを記憶している。
それまでは紙のパッケージしか存在しなかったファミコンソフトで、ハードケ
ースの中に収まっており、金色に輝くカートリッジとやたら高級感が溢れてい
たが、ゲームの方は、というと、おいらの場合、2エリア以降に行ったことは
ついに無く、大体購入して半日くらいで頭に来て放り出してしまった。

 おいらはこのゲームとの出会いにより、本来、データのみで勝負しているゲ
ームがやけに外見に気をつかいはじめたら、そのソフトはヤバイという貴重な
教訓を得ることが出来た。



AXL 2002

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