レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

スタートレーダー

Media :PC88,PC98
Maker :日本ファルコム
種 別:STG+AVG
発売日:1989年


 おいらはなんだかんだいって、アクションゲームやシューティングゲームよ
り、RPGやアドベンチャーゲームのようなストーリー性のあるゲームの方が
高尚だ、と思い込んでいるのかもしれない。
それは恐らく、アクション、シューティングといったいわゆるゲーセン型ゲー
ムしか知らなかった自分がパソコンショップでRPGやアドベンチャー、それ
にシミュレーションといったパソコン型ゲームをはじめて目にした時のカルチ
ャーショックがいまだに強く刻まれているせいだろう。

 また、元々アクション系のゲームがお世辞にも得意とは言えず、殆どの場合
エンディングを見ることなく序盤で投げ出してしまうから、といったこともあ
るかもしれないが、とにかくおいらはある時期からどうせお金を払って買うな
ら、アクションやシューティングよりRPGやアドベンチャーに限る、と思っ
て生きてきたことだけは確かだ。


 そんな頃、おいらはこのゲームに出会った。
スタートレーダーは日本ファルコムが比較的元気だった頃に発売された野心作
で、それまで水と油だと思われていたシューティングゲームとアドベンチャー
やRPGを大胆にも合体させてしまった新ジャンルのゲームである。
主人公は宇宙を又にかけた運び屋で依頼主から荷物を受け取り指定された惑星
まで運ぶことで金を稼ぐ。
稼いだ金は宇宙船の装備を揃える為に使い、より強力な武器を装備することで
さらに危険な宙域での仕事が出来るようになり、より高額な報酬を受け取るこ
とができるようになる。

 ・・・というのが希望的観測を交えたこのゲームの基本システムなのだが、
ナゼ説明に希望的観測が混じっているかの説明は後でさせて貰うこととして、
このゲームシステムを知った時においらは思わず「その手があったか!」と我
知らずポンと膝を叩いて感動してしまったことだけはよく覚えている。

 そうなのだ、こういう方法なら、シューティングゲームと他のジャンルのゲ
ームを融合しても不自然ではないし、むしろ危険な宙域での戦闘はコマンド戦
闘より臨場感が出る。
何と素晴らしいシステムであろうか、これこそ次世代のゲームというものであ
る!とやたら感心してこのゲームを購入してしまった。


 早速、家に帰ってパッケージを開け、一時間ほどプレイしてみたおいらは予
想もしていなかったような現実に打ちのめされるということになる。
おいらがこのゲームに期待したのは、ステージ1から順番にプレイを強要され
る普通のシミュレーションゲームと違ってRPG要素があれば下手でも時間さ
えかければ何とかなる筈である、という点だった。
実はこれが先程の希望的観測で、このゲームの場合、ストーリー的にそういっ
た無制限の経験値(この場合は金)稼ぎはできないようになっており、しかも、
アドベンチャーと融合されている為、展開そのものがストーリーの縛りを受け
る。

 稼いだ金で何を買うか、くらいの自由度は残されているものの、結局のとこ
ろは、ステージ間にビジュアルシーンの挿入されるシューティンゲームとそう
大差はなかったのだ。

 その上、問題のシューティングシーンの難易度がイヤになるくらいに高い。
最大の欠点は家庭用ゲーム機ではなく当時のパソコンをプラットフォームに選
んでしまったことからくるハード的制約で、スクロールやキャラクターの移動
がガクガクになってしまっていることだが、その点を差し引いたとしてもナゼ
かこのゲームでは一つのステージが異様なくらいに長いのだ。

 さらに敵の攻撃も妙にいやらしく、結局、シューティングスキルのないおい
らは開始一時間と立たずに行き詰まってしまった。
評判もあまり良くなかったのか、一時的にせよ斬新なシステムで話題の的とな
ったこの作品も以後続編が作られることはなく、また、こういった方向に発展
したシューティングゲームは定着することもなかったが、おいらは今でも企画
書の段階ではなかなか面白いゲームだった筈だ、と思っている。


 こういったゲームだからこそ逆にストーリーによる縛りをきつくせず、また、
プラットフォームを家庭用ゲーム機にしていれば全く違った展開が見えてきた
のではないかと今でも惜しまれる作品である。



AXL 2003

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