レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

スカイデストロイヤー

Media :Family Computer
Maker :TAITO
種 別:擬似3Dシューティング
発売日:1985年


 「美味しそう」という概念は時として微妙である。
「美味しそう」という概念は必ずしも、「美味しい」とイコールで結ばれるわ
けではないからだ。
例えば、おいらの場合、夜店の焼いたイカの匂いに弱い。
それもイカそのものの匂いではなくてタレに使う醤油の焦げた匂いに弱い。
あの匂いを嗅ぐと、心の底から「美味しそう!」と思ってしまうが、実はそれ
ほどイカは好きではなかったりする。
この辺が微妙なところなのだ。


 今回紹介するスカイデストロイヤーというゲームは、そういう意味でおいら
にとって「美味しそうなゲーム」である。
このゲームが発売されたのは1985年の暮。
時期的にいうとキン肉マン・マッスルタッグマッチや、ポートピア連続殺人事
件(ファミコン版)などと同期である。
おいらはそれらのゲームを優先して購入してしまった為に自分ではこのゲーム
を購入することはなく、代わりに購入した友人に借りて遊んだ覚えがある。

 ゲームの内容はゼロ戦を自機として擬似3Dシューティングゲーム。
敵戦闘機を機銃で撃墜しつつ、海上にあらわれる潜水艦などを魚雷で迎撃する。
シューティングゲームとしては正統派といえるシンプルな世界観を持つゲーム
であると同時に、当時としてはまだ珍しかった擬似3D視点を採用しており、
当時のゲーム少年達にとってはなかなかに魅力的なゲームに見えた。
さらにゼロ戦のエンジン音が実にいい感じで重厚な世界を感じることが出来、
実のところ、おいらはこのゲームに一目惚れしてしまった。

 「美味しそう!」と思ってしまったのだ。
しかしながら、肝心のゲーム内容の方は・・・といえば、お世辞にも面白かっ
たとは言いかねる出来で、難易度が低いのは個人的には嬉しいのだが、その気
になって逃げ回ってさえいればいつまでも逃げられるという点は懐が深い、と
いうよりは「育児放棄」という気さえしてくる。

 また、ゲームを進めていってもクライマックスで巨大要塞が登場することを
除いては、実に単調一点突破とも言える展開が続き、低い難易度ともあいまっ
て最悪、ゲームをしながら眠くなってしまう。

 そんなわけで、このゲームを友人から借りた時は、内心、自分で買わなくて
良かった・・・と胸を撫で下ろしたものだが、不思議としばらくやらないとな
んだか触ってみたくなる。
そこまでまた友人に借り、すぐに飽きて返す。
またしばらくするとこのゲームが懐かしくなってくる。
そんなことを繰り返していく内に、いつしか友人の家からもこのゲームはなく
なってしまい、もう随分とこのゲームに触っていないことに気がついた。

 仮に今、手元にあったとしても5分も遊べば「お腹いっぱい」になり投げ出
してしまうだろうことは充分に想像がつく。
それでもちょっと触ってみたい。
おいらにとっては、そんな「美味しそう」なゲームである。



AXL 2003

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