レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「将軍-SHOGUN-」


Media :Family Computer,MSX
Maker :ヘクト
種 別:意味不明(^^;;
発売日:1988年


 将軍が死んだ。
次期将軍の座を狙い、有力大名、侍、町民、農民、僧侶、飯炊き女までもが己
が胸に野望を秘め策動をはじめる・・・・。


 細かい文章までは忘れてしまったが、恐ろしいことにこれはこのゲームのコ
ピーである。
飯炊き女の胸には一体どんな野望があるというのか?

このゲームは、1980年代にファミコンとMSXでヘクトという会社から発売され
たことが確認されているが、思えば、以前にレビューした戦国SLGきっての
怪作、"HARAKIRI"も突如として時の将軍が死に、全国の大名が時期将軍の座を
巡って・・・というようなプロローグではじまっていた。
どうもゲーム界に於いては「将軍が死んだ!」は最大の禁句であるらしい。

 実は、おいらは物心ついた時から時代劇が好きで、そのせいでゲームの方で
も「いっき」や「謎の村雨城」などの時代ものゲームには目がない。
だからこそこのゲームにも出会うことが出来たわけだが、とにかくこのゲーム
は凄い。

 例えばHARAKIRIの場合、いかに設定が狂っていようが、最終的には武力によ
る日本統一を目的とした戦略級SLGであり、システムのみに目を向ければ、
一応ゲームとしてはちゃんとまとまっていたのだ。
ところがこの将軍というのは、システム面でも分からないことだらけなのだ。

 普通に考えれば、飯炊き女は町民、農民はともかくとして次期将軍になり、
天下を治めようというのだから、HARAKIRIのような戦略級SLGでまとめるの
が無難だと思うのだが、このゲーム、見た目は誰がどうみてもRPGなのだ。

 ドラクエタイプRPG特有の2D見下ろし型の画面、その真ん中にはちょこ
なんと主人公(数多いキャラクターの中あらプレイヤーが選ぶことができる)
が表示されており、等身大で描かれた町の中を歩き回ることが出来る。

 次期将軍になろうというものが、こんなせせこましいレベルで物事を見てい
る場合なのか?という点が非常に気になるのだが、ゲームを進めていく内にも
っと重大なことに気付かされる。
一体、何をどうすれば将軍になれるのか皆目分からない、という点だ。

 このゲームをプレイしたのは、ファミコン版が発売されてからしばらくのこ
とで中古で購入した覚えがあるのだが、おいらの記憶が正しければ「どういう
風にゲームを進めていけばいいのか」つまり、どうすれば将軍になれるのか?
といった類のことは一切説明書には書かれていなかった。


 一応、このゲームには合計で40名のキャラクターが登録されており、プレ
イヤーが選んだ一人以外はライバルとなる。
他のキャラクターはマップ画面の中でそれぞれ勝手に動いているのだが、話し
かけたり、戦闘を仕掛けたりすることでプレイヤー側からコミュニケーション(?)
を取ることが出来る。
ところが、わざわざ話し掛けても「最近、体の具合が悪い」といったどこ角度
から深読みしてみても決してゲーム展開の役には立たないことしか言わないるし、
戦闘を仕掛けても戦闘を拒否される可能性の方がはるかに高い。
また、このゲームに登場する40人全員がこんな調子で、それ以外の町の人が
いて何か有効アドバイスをくれる・・・などということも決してない。
つまり、このゲームの「非直感的ゲーム作り」は、あの「たけしの挑戦状」並
の意味不明ぶりで、そもそも最終目的を達成する手段すら不明なのに、当面で
きることが殆ど無い、という状況は容赦なくプレイヤーのやる気を削いでくれ
る。


 後に分かったことだが、このゲームでの最終目的「将軍になる」を達成する
為には戦闘や交渉などで他のキャラクターに「家来」になって貰い、その家来
の数が20名以上の時にどこかにある巻物を3つ集めることで達成されるらし
い。

 忍者じゃないんだから巻物を手に入れたからといって将軍になれるとは到底
思えないのだが、とにかくそういうことらしいのだ。


 ちなみに、この「将軍」を世に送り出したヘクトという会社は後にファミコ
ンで「アメリカ大統領選挙」というこれまた開いた口が塞がらないようなゲー
ムをリリースすることになるメーカーでもある。



AXL 2003

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