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「サイキック・ディテクティブシリーズ」

Media :FM-TOWNS(CD-ROM)、Windows等
Maker :DATA WEST
種 別:アドベンチャーゲーム
発売日:1990年〜1992年(?)


 たった1本のゲームがやりたいが為に、そのゲームの動くハードを買ってし
まう、ということがある。
実はこの夏、おいらはWindowsの「太閤立志伝4」というゲームにかなりハマっ
ていたのだ。
最大600人近い主人公武将で戦国時代をかなり自由にプレイできるこのゲー
ムの為に、結構な時間を費やしてきた。
インターネットで購入することができる、追加シナリオもこの際全部まとめて
買ってしまおうか・・・、いや、光栄のことだから、後でパワーアップキット
でまとめて出すような気もするので、それまで待とうか・・・などということ
を悩みつつ一夏を過ごしてしまった。


 ・・・・が、しかしだ。
この太閤立志伝4が今度PS2で発売されるらしい。
勿論、それはいい。
それはいいが、PS2版には、windows版では別途有料販売だった追加シナリオ
が全て最初から入っているというではないか。
その上、武将の数が「1000人」というのは一体どういうコトなのだ?
さらに、windows版では影もカタチもなかった「淀君」や「帰蝶(濃姫)」まで
いる、というのは一体どういうコトなのだ?

 この分でいくと、当分買うつもりはなかったPS2を購入してしまうような気
がしてならない、そして、おいらがPS2を購入した頃に、windows版のパワー
アップキットが発売される・・・というようなオチも予想できる。
そこんとこ、どうなのよ、コーエー?と、言わせて頂きたい。


 さて、今回紹介するのは勿論「太閤」ではない。
「サイキックティテブシリーズ」というシリーズのものゲームである。
第一作「インヴィテーション」を皮切りに、「メモリーズ」、「AYA」、「
オルゴール」、「ナイトメア」と続き、「ソリチュード」上下巻を以って完結
する異色のアドベンチャーゲームである。
このゲームは今から約10年前に、FM-TOWNSという、そこはかとなく不遇なハ
ードでリリースされた。
「32bitハイパーメディアパソコン」と銘打たれたFM-TOWNSというパソコンは、
富士通のホビーパソコン、FM-7シリーズの実質的な後継機であり、現在まで続く
FM-V デスクパワーシリーズの親戚でもある。

 ちなみにこのパソコンのどこらへんがハイパーメディアパソコンなのか?と
いうと、CPUに32bitのインテル386を採用しており、国内のパソコンでは、実質
的に初めてCD-ROMドライブを標準で搭載し、さらに、OSはそこはかとなくMac-O
S/Windowsっぽい、マウスオペレーティングが可能なTOWNS-OSを搭載していた、
というあたりである。
当時としてはかなりの優れものパソコンだったが、残念ながらメジャーになるこ
とはなく、しかし、それでも、PC-88VAよりは遥かに幸せな一生を送った、そんな
パソコンである。


 ポリゴンが一般化していなかった当時、美麗なグラフィック機能、高速CPU、大
容量CD-ROMとくれば、アニメや実写をふんだんに使った「インタラクティブ・ムー
ビー」と相場が決まっていた。

 この「サイキックディテクティブシリーズ」も当時としては驚異的なぐらいアニ
メ動画を使いまくったゲームである。
そして、おいらはこのシリーズがやりたいが為に、FM-TOWNSというパソコンを購入
した。


 内容を説明すると「サイキック・ディテクティブシリーズ」は、降矢木という探
偵をプレイキャラとして話を進めていくアドベンチャーゲームだが、この探偵が普
通の探偵ではない。
彼には、サイコダイブ、つまり、依頼人の心の中に入り込める、という特殊能力が
あり、主に「心の中」を舞台として事件を解決する・・・というなかなか説明し辛
いゲームである。

 具体的に説明すると、サイキックの第一作、「インヴィテーション」の場合、降
矢木のところに乱暴にいうと「娘が寝たまま起きなくなったので、心の中を調査し
てくれ」という、かなりデンジャラスな依頼が届き、降矢木は彼女の心の中にサイ
コダイブを敢行する。

 彼女の心の中には、彼女の心象風景が作り出した屋敷があり、降矢木はそこに住
む人々の謎を解くことにによって、彼女を救い出す・・・というような感じで毎回
事件を解決していく。


 主な舞台が現実世界ではなく、クライアントの心象風景である、という点を除け
ばいわゆる普通のアドベンチャーゲームとそれほど大差はないが、同時に、舞台が
現実世界ではなく、心象風景である、という点が本シリーズの大きな特徴である。

 このシリーズをゲームをプレイしていると、プレイヤーは常に「いびつな違和感」
を感じる。

 例えば、シリーズ第二作の「メモリーズ」を例に取ると、舞台となる心象風景は
とある町である、そこには駅があり、駅員がいる。
しかし、彼には、「駅員」としての役割しか割り当てられていない。
例え、ゲームであってもそこに登場するキャラクターには、ある程度生活感のよう
なものが出てくるものだが、彼には「駅員」以外の側面を全く持っていない。
何故ならば、クライアントの心の中で「駅員」という役割を割り当てられた彼は、
駅員としてのみ存在していればよく、それ以外の側面は全く必要ではないからだ。
それがゲーム中、そこはかとなく顔を出し、プレイヤーはいうに言われぬ「いびつ
な違和感」を覚えるのだ。

 今までにかなり色々なゲームをプレイしてきたが、サイキックディテクティブシ
リーズが持つこの一種独特の雰囲気を他のゲームで味わったことは一度も無い。


 今回初めてシリーズものをまとめて紹介させて頂いたので、最後に簡単に各作品
ごとに簡単な感想を書いておきたいと思う。


第一作「インヴィテーション」

 とある屋敷を舞台にゲームが進行してゆく。
このゲームの面白いところは、「時間」が存在しており、特定の場所に特定の
時間に行かないと解けない謎があるという点。
この為、難易度はシリーズ中最も高い。


第ニ作「メモリーズ」

 心象風景である町を舞台にゲームが進行していく。
難易度はそれほど高くないが、心象風景の「いびつさ」が最も色濃く出ている
作品で、独特の雰囲気がある。

第三作「AYA」

 主人公降矢木の過去の恋人にまつわるストーリー。
傑作が多い初期シリーズの中では、ちょっとまとまりに欠ける。


第四作「オルゴール」

 シリーズ中最もおどろおどろしい。
ミラーズで最高潮に達した「いびつさ」はそれほどないものの、ホラーゲー
ムとしてはかなりのもの。


第五作「ナイトメア」

 この作品から、難易度は急速に下がってくる。
元々、インヴィテーション以外はクリアするのに苦労するほどではないのだが、
ナイトメアは前作に比べるとかなり紙芝居的になってしまっている。


第六作「ソリチュード」上巻

 この作品は、予め上巻として制作されたせいもあり、非常にあっけない。
ナイトメアがさらに短くなったようなストーリーはクリアまで半日以内でいっ
てしまい、かなり不満が残った。


第七作「ソリチュード」下巻

 実はこの作品のみ未プレイ。
上巻のあまりのあっけなさに腹を立てて買わなかったのだが、泣いても笑って
も本シリーズ最後の1本。
お陰でおいらの中の「サイキックディテクティブ」は未だに終わっていない。



AXL 2001

●2002.7.5追記

シリーズ第二作のタイトル表記が永らく「ミラーズ」となっておりましたが、
正しくは「メモリーズ」(正確には英語表記で"MEMORIES")でした(^^:
訂正すると共に情報をお寄せ頂いたポン吉さんに感謝いたします(^_^)

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