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「信長の野望・全国版」


Media :PC88,FM-7,X1,PC-98,X68000,FamilyCompuer,GameBoy,PlasyStation等
Maker :光栄
種 別:戦国歴史シミュレーションゲーム
発売日:1986年


 信長の野望シリーズ第二作。
とはいえ、現在まで続く信長の野望人気を決定付けたのはこの全国版かもしれ
ない、それほどまでに出来が良く、多く機種にも移植された。
現在の信長の野望シリーズと比べると、家臣武将は一人も登場せず(厳密に言
うと登場するが。)大名だけでゲームを進めていく、しかもその大名のパラメ
ータもゲーム開始時にスロットマシンの要領で決めるというのだから乱暴とい
えば乱暴なゲームである。

 しかし、ゲームとしては、おいらはこのゲームが信長の野望シリーズ最高峰
だと思う。ルールが簡素な分、とっつきやすく、慣れてしまえば攻略も難しく
はない。

 内容としては以前紹介した戦国SLGの不如帰が戦術重視のゲームなのに対し、
全国版は経済力が最重要視されるゲームである、勿論士気や訓練度といった兵
の強さを左右するパラメータにも意味はあるが最も重要なのはより多くの兵を
養える国力であり、戦争ではやはり、その数である。 

 ある程度慣れてしまえば、国力増強、兵雇用、合戦の繰り返しとなるが、そ
れでも、小国を経済大国に育て上げていく過程の明快さや、大軍を擁して一気
に進撃する快感は病みつきになる。

 全国版以降、信長の野望シリーズはデータ、システム共に大幅なパワーアッ
プを繰り返して現在に至っているが、リアリティはともかくとしても単純なゲ
ーム性に限っていえば全国版を超えられるものはいまだに無いような気がする。

 これは何も信長の野望シリーズに限った話ではないが、ヒット作というのは
少なくともその人気が衰えるまではシリーズとして存続するのが普通である。
しかしそれは、時代を経てハード環境が向上し、または前作でやり残したこと
が可能になったから・・・、というような単純な理由からではなく、出せば売
れるのが分かっているから、というのが本当のところで、その為シリーズを重
ねるごとにファンの望むような形でのバージョンアップを繰り返しているソフ
トは意外なほど少ない。

 その為か、光栄のゲームでも本来バージョンアップとして付加された機能、
例えば信長の野望覇王伝での「論功行賞システム」や太閤立志伝3での「派閥」
システムなどが、次の作品ではあっさりと放棄されており、「結局あれは何だ
ったのだ?」とユーザーが首をひねることも多い。

 余談になるが、そういう意味では頑な迄に初代の根幹となっているシステム
を守り通しているゲームに「蒼き狼と白き牝鹿」(ジンギスカン)シリーズの
オルド(後宮)システムがあるが、ただ、正直「今度のオルドはこんなに凄い
!!」的なことをウリにされると、「光栄は、一体ジンギスカンを何だと思っ
ておるのだ?」的な疑問も浮かんでしまう。

 太閤立志伝シリーズに絶対に側室が登場しない、という歴史を歪曲してまで
「いい子」であろうとする光栄が一体何故にオルドシステムにこだわり続ける
のかは永遠の謎だが、何となくあれは闇に葬られた過去の「光栄ストロベリー
・ポルノ・シリーズ」
へのオマージュのような気がしないでもないのでそっと
しておいてあげよう。

 さて、話を信長の野望に戻すと、光栄歴史シミュレーションゲームのウリの
ひとつにもなっている「史実イベント」が初めて登場したのも本作、全国版で
のことである。

 現在発売されている各シリーズでの歴史イベントは発生フラグも(殆どは)
緩くなっており、普通にゲームをしているだけで発生させることが出来るが、
三国志2あたりまでは、普通にゲームをしているだけでは例え1年間遊び続け
ても発生しないほど偏執的なイベントがほとんどだった。

 例えば、この信長の野望の有名な隠しイベントである「本能寺の変」(羽柴
秀吉登場)のイベント発生フラグは、1582年(本能寺の変が起きた年)に信長
をプレイキャラとし、尚且つ所定の国を全て治めていて、さらに大名(信長)
が山城の国(京)にいなければならず、その時の山城の兵士数はいくつ以下で
その兵士の忠誠度もいくつ以下ではなければならない、というこだけの条件を
満たして果たして発生するのである。

「そんなもん分かるわけねーだろ、コンチクショウ!」と言わせて頂きたい。

 さらに余談となるが三国志2には、貂蝉専用のBGMなるものが存在し、サウン
ドウェア(CD付きバージョンのことで、別にCDなんか微塵も欲しくはなかったが
サウンドウェア版の売れ行きが悪かったのか、光栄は一時期「サウンドウェア
版のみ先行販売!」などという、「ジャイアン・リサイタル」並に強引な手段
に打って出たので泣く泣く買った覚えがある。)のライナーに、「歴史イベン
トで貂蝉が登場しますが、発生条件は難しくありませんのでゲーム中でもすぐ
聞けるでしょう」などということが書いてあった割に、おいらは以後数年間の
プレイを通じて一度も貂蝉の姿を見たことがない。



AXL 2001

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