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「忍者じゃじゃ丸くん」

Media :Family Computer
Maker :JALECO
種 別:アクションゲーム
発売日:1985年


 人気ゲーム、「忍者くん」の続編としてファミコンで発売されたタイトル。
発売は1985年・・・と、ここまで書いてふと気がついたのだが、前作である忍
者くんもファミコン版発売は同じ85年だった筈である。
少し調べてみると85年の5月に忍者くんが発売となり、じゃじゃ丸くんは同じ年
の11月発売らしい。
前作はアーケード移植とはいえ僅か半年で続編が発売されるというのはなかな
か凄いことであるが、まずは内容を紹介しよう。

 ヒロインである「さくら姫」がナマズ太夫にさらわれ、前作の主人公忍者く
んに助けを求めるが、たまたま忍者くんが修行の旅に出ていた為に、弟の「じ
ゃじゃ丸くん」が主人公として登場することになる。

 システムは前作と同じジャンプ&手裏剣アクションで、前作同様敵に体当た
りをして気絶させるといった独特のアクションが楽しめるようになっている。
反面、前作にはなかったアイテムが用意されており、一定時間無敵になれるト
ロッコや透明になれる薬、またスピードアップが可能になる赤玉がステージ内
に隠されている。

 さらにアイテムを三つ集めると、究極忍術ともいえるガマパックンが使用可
能となる、これは一定時間敵の動きを完全に止めてしまい、巨大なカエルの上
に乗って無抵抗な敵を次から次へと食べてしまうという荒業である。

 また前作にもあったボーナスステージは画面上部のさくら姫が落とすさくら
の花びらを三枚集めることによってステージ間に随時挿入されるようになって
おり、このボーナスステージでナマズ太夫と直接対決をし、さくら姫を救うこ
とが出来る。
ただし、さくら姫を救出してもエンディング等にはいかずゲームは続行され、
以後ループとなる。


 前作の味を損なうことなく、アイテムやガマパックンなどいかにも小学生達
が喜びそうなパワーアップをほどこした本作は、続編としてはなかなか上手い
作りだったと思うのだが、おいらは一点だけこのゲームに、いやジャレコとい
う会社に対して申し述べておきたいことがある。

 このゲームには翌年発売された「じゃじゃ丸の大冒険」という続編ソフトが
存在するのだが、この「大冒険」のプレストーリーというのが特筆すべき悪ど
さなのだ。

 それは「前作(忍者じゃじゃ丸くん)で救出したさくら姫はニセ者だった!」
という衝撃的な事実が春の小川のようにサラサラと語られており、「本物のさ
くら姫を助ける為に冒険に出る!」というような内容となっておるのだ。

 ゲームの設定にいちいち目くじらを立てることもないと思うし、例えば、ス
ーパーマリオシリーズだってピーチ姫はそれが己に課せられた責務であるかの
ように凡そ3年に一度のゆっくりとしたペースでクッパにさらわれ続けている
し、ドルアーガの塔だってせっかく死ぬ思いで60階まで上がってカイを助け
たと思ったら、数年後「リターン・オブ・イシター」という続編では、「60
階まで上がったので今度は降りなくてはならない」という当たり前ながらも頭
の痛くなるような事実をつきつけてきたが、じゃじゃ丸くんの罪は一見似てい
るようで、これらとは根本的に比較にならないほど重いのだ。

 ナゼなら「実はニセものだった」という情報は「忍者じゃじゃ丸くん」の中
では全く触れられることなく、続編の「じゃじゃ丸の大冒険」発売時に明らか
に後付けされたものだからだ。

 逆に言えば「じゃじゃ丸の大冒険」さえ発売されなければ、定価4900円
ナリを支払ったユーザーはニコニコとこのゲームで遊んでいられたものを、そ
のヒトコトを言ってしまったが為に「忍者じゃじゃ丸くん」のストーリー自体
が「あってもなくてもいいこと」にされてしまい、以後、「忍者じゃじゃ丸く
ん」ユーザーは画面上部でさくらの花びらを落とし続けるさくら姫を見る度に

「ヘッ・・・ニセ者・・・」
「ケッ・・・ニセ者・・・」

 というような方面に思いを馳せ続けなければならなくなってしまったのだ。


 ナマズ太夫にさくら姫がさらわれた、忍者くんが留守だったので弟のじゃじ
ゃ丸くんが登場。
ナマズ太夫との死闘を制してなんとかさくら姫を救出するも、姫はニセ者で、
じゃじゃ丸くんは再度ナマズ太夫と対決・・・という話の流れ自体が悪いとは
言わないが、この前半部分をゲームしてどーするよ、とおいらは言いたいのだ。

 これは喩えて言うなら、例えば、おいらが居酒屋に行って「国産黒毛和牛サ
イコロステーキ」というようなメニューを頼んだとして一ヵ月後に同じ居酒屋
に行ってみたら「前回のサイコロステーキは実は鶏肉だった!国産黒毛和牛サ
イコロステーキ2登場!」とか書いてあるくらいに腹立たしいことなのだ。



AXL 2003

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