レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

忍者ハットリくん〜忍者は修行でござるの巻〜

Media :Family Computer
Maker :HUDSON
種 別:スクロール・アクションゲーム
発売日:1986年


 そりゃ景気も悪くなるだろうな・・・。
ここ最近、ゲーム業界の売上げ落ち込みのニュースが続いている。
PlayStationの登場と共に一気にライトユーザーにまで拡大した何度目かのテ
レビゲームブームにもそろそろ陰りが見てきた、ということなのだろうか。

 そしておいらがそんな話を聞くたびにいつも思い出すのが、今回紹介する
ハドソンのファミコンゲーム、「忍者ハットリくん」なのだ。
このゲームが登場したのは、1986年の3月のこと。
ちょうど前年秋のスーパーマリオブラザーズの登場によってファミコンが売
れに売れていた時期と重なる。
内容は当時テレビアニメで人気だった藤子不二雄の「忍者ハットリくん」を
題材としたアクションゲームで、これまた当時乗りに乗っていたハドソンか
ら発売され、ゲームとしての質の良さに加えて当時ファミコン少年の興味の
的だと隠れキャラがいくつも入っていたことから、爆発的な売れ行きを見せ
た・・・らしいのだ。


 らしい、と書いたのは、当時のおいらがこのソフトに対してそれほど売れ
たゲームだ、という印象を持っていなかったからである。
確かにあの頃のハドソンの新作ゲームというのはかなりの神通力があったし、
忍者ハットリ君も子供達にはなかなか人気のあったアニメーションだが、そ
れほどの大人気ソフトとしての印象はなかったのだ。

 しかし、後になった知ったのだがこのソフトはかなり売れたらしい。
その数100万本とも150万本ともいわれているのだ。
この数が販売本数なのか、出荷本数なのか分からないが、今のゲームの100
本とは意味が違うことだけははっきりしている。
何が違うかといえば、今よりも遥かに開発にかかる経費が安く済むのだ。
この当時のゲームは、今より遥かに少ない人員で開発されていたし、会社組織
そのものもずっと「身軽」だった。
逆に現在ではゲーム開発がプロジェクトと化し、会社組織も巨大化している為
に経費は遥かに増大しているのだ。
しかし、現実には発売されるソフト1本あたりの販売本数は遥かにこの頃の方
が多かった。
それはゲームの質の問題ではなく、販売される絶対数の問題だったが、これだ
け状況が激変すればゲーム業界が不景気にならない方がどうかしている。


 しかも、当時を生きた者として、スーパーマリオやゼビウスだけでなく、失
礼な言い方かもしれないが「忍者ハットリ君」までも100本クラスのソフト
だった、という事実は、あの頃のゲームバブルの最も象徴的な出来事のような
気がするのだ。


 さて、ゲーム内容の説明に移ろう。
プレイヤーは「忍者ハットリ君」の主人公、ハットリ カンゾウを操作して、
画面右を目指すスクロールアクションゲームとなっている。
ハットリ君のアクションは、最初はジャンプと手裏剣のみだが、道中特定の敵
を倒すことで出てくる巻物を集めることで特殊なアクションや攻撃(忍法)が
使用可能となる。

 ゲーム自体はオーソドックスなスクロールアクションゲームに、忍法などの
追加要素、ステージクリア時のボーナスゲームを付加したものとなっているの
だが、忍者ハットリ君というタイトルから想定される購入年齢層を考えるとな
かなかに難易度は高く、例によっておいらは3ステージくらいまでしか進んだ
覚えがない。

 またこのゲームに関しては購入した、という記憶がない。
この当時近所にファミコンソフトのレンタルショップがあり、そこで借りか、
もしくは友人の誰かに借りたのだと思うが、どちらにせよおいら自身、当時中
学二年生という年齢としての「忍者ハットリ君」という存在への遊離っぷりと、
恐らくは購入想定年齢より遥かに上だったにも関わらず思うように先に進めな
い苦手意識からあまり好きなソフトではないのだが、ステージクリア時のボー
ナスゲーム、つまりハットリ君のお父さんが山のようなチクワを豪快に投げま
くり、ひたすらをそれを集め続けるというある意味に於いて獅子丸というキャ
ラクターの存在価値を危うくしかねないステージだけは妙に好きで、別段特に
チクワが好きというわけではないのだが、あれだけ豪快にチクワを食いまくっ
たらさぞかしシアワセだろうな、ということと、このチクワにトラップとして
鉄アレイが混じっており、それに触れてしまうと一時的に動きが止まりタイム
ロスになることから、そういえば、チクワと鉄アレイって似てるよな・・・な
んとなく、と強く思ったことだけはよく覚えている。


 また、BGMはこの頃のハドソンが得意としていたクラシック曲のアレンジ
となっているが、これがアニメ版のハットリ君のオープニングと見事に繋がる
ようにアレンジされており、非常に印象的なBGMに仕上がっている。



AXL 2003

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