レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「魔界村」

Media :アーケード,Family Computer,PC88SR,PS等
Maker :CAPCOM
       *PC88SR移植版はアスキー
種 別:横スクロール型ジャンプ&シューティングアクションゲーム
発売日:1985年(アーケード版)


 ゲームというのは意外とその人の性格が出てしまうことが多い。
例えば、信長の野望。
おいらは基本的に危険な賭けはしない主義なのでひたすら国力を増強し、兵隊
を増やして自国の兵力が他国を圧倒してからやっと重い腰を挙げる。
初期に攻略してしまえば結果的にもっとスピーディに他国を傘下にすることが
出来、結果としては能率的なのだが、時間がかかる分、この方法は安全確実で
ある。

 家で好きなだけ遊ぶことのできるパソコンゲームですらこれなのだがから、
1コインを賭けて遊ぶアーケードゲームとなるとより性格が出てしまう。
例えば、ステージクリアに時間制限のあるようなゲームであっても、おいらは
基本的にあ速攻クリアによるボーナスポイント獲得よりも、時間をかけ安全に、
なるべくミスをしないでクリアするタイプである。

 魔界村のようなプレイヤーが自分の意志で画面をスクロールさせゲームを進
めるようなゲームの場合、それこそ亀の歩みでゆっくりと画面をスクロールさ
せ、その都度登場するザコキャラを完全に殲滅し、その場の安全を確保しつつ
前進する。
なんとなくロッククライミング的だが、これがおいらの基本的なゲーム攻略法
である。


 だから、魔界村のようなゲームは苦手だ。
魔界村というゲーム、一見どこにでもあるスクロールタイプのアクションゲー
ムである、ステージ1のザコで最も印象深いのは(ステージ1の前半までしか
行けないので)モコモコと土中から沸いてくるゾンビなのだが、このゾンビは
主人公がその場に留まっている限り際限なく沸いてくる。

「ゾンビだから」といわれればそれまでの話だし、ご説ご尤も、とは思うもの
の、おいらのような小心者プレイヤーには気が気ではない。
モタモタしていると一歩も動けず、タイムリミットが迫ってくるのだ。

 当然、その場に留まってザコの相手ばかりをしていても何もいいことはない
ので適当なところで進軍しなければならないのだが、背後の安全を確保して進
む場合とは違いやはりプレッシャーが重くのしかかる。
ただでさえストレスの多いご時世で、ゲーセンのゲームでもプレッシャーを受
けなくても良さそうなものだが、自分の部屋の汚れはチリ一つでも見過ごせな
いタイプの人が部屋を汚くしたまま旅行に出かける時のような後ろ髪を引かれ
るような思いで、へっぴり腰の進軍を行うわけだからその後も展開もいつも以
上に焦ってしまい、ちょっとしたミスを繰り返して気がつけば画面には"GAME
OVER"という文字が表示されることになる。


 さて、魔界村が登場したのは1985年のこと。
それ迄のゲームとは一線を画した美麗なグラフィック。
ちょうどオカルト映画ではなく、「ホラー映画」という言葉が巷で流行りだし
た頃とも重なり、ホラー映画をそのままゲームにしたような世界観からかなり
の人気作となった。

 中途半端に怖いもの好きのおいらも勿論、はじめてゲーセンで見かけて以来、
かなりのコインを費やした筈なのだが、結局、1面の難所レッドアリーマー前
後が良いところで実は今もって1面すらクリアしたことがない。

 ゲームの内容を簡単に紹介するとプレイヤーは騎士アーサーとなり、魔王に
さらわれた愛しのプリンセスを救出する為、単身魔界村に乗り込む・・・とい
うような感じで、システム的には右スクロールタイプのジャンプ&シューティ
ングのアクションゲームということになる。
アーサーはプレイ開始時に鎧を着ており、敵に触れるとその鎧が壊れてパンツ
一丁となる、その状態で再度に敵に触れると1ミスとなり、基本的な攻撃は単
発で距離に制限のある「槍」を発射することで、これはゲーム中、炎や十字架
など他のいくつかの武器に持ち替えることも可能。
また、ジャンプの他、しゃがむことで敵の攻撃を避けることが出来る。

 といったような具合なのだが、魔界村をプレイしたことのない人に言ってお
きたいのは、ジャンプアクションといっても決してスーパーマリオブラザーズ
のようなゴキゲンなものを想像してはいけない、ということである。

 マリオの場合、ジャンプボタンを押した長さによってジャンプの跳躍力が変
わったり、右・左のキーを入れることでかなり自由にジャンプ中の姿勢制御が
可能となるが、魔界村にはそんな甘っちょろい機構はついていないのだ。
分かりにくいのを覚悟の上で敢えて例えるとすれば、それはファミコン版「う
る星やつら〜ラムのウェディングベル〜」並であるといえる。

 そもそも、このゲームに於いては安易なジャンプは死を意味する。
突然の敵の攻撃に慌てふためき、どうしていいか分からずにとりあえずジャン
プをし、空中で敵の攻撃の喰らってミスになる、というのは自分自身のプレイ
に限らず友人のプレイでも非常によく目にしてきた。


 そのような操作性、無限に湧き出るザコ、そしてプレイキャラであるアーサ
ーの操作性が「夢のまた夢」かと思うくらい、自由に、そして華麗に空中を舞
う1面の中ボス、レッドアリーマー等の存在によりこのゲームは1面からかな
りの難易度を誇るゲームとなっている。
今回はやたら1面の話が多いが、2面以降は他人のプレイで見た事しかないの
でどうか大目に見て頂きたい。


 と、これだけなら単に上級者向けの高難易度ゲームで終わってしまうところ
だが、難易度はともかくとして、そのグラフィックの美しさ、そしてグラフィ
ックからにじみ出る世界観の興味深さはおいらのような、何年経っても腕は初
心者のまま、というヘタレゲーマーにも訴えかけるものがある。
画面を見ているだけで、なんとなく「触ってみたい」と思わせるだけのものが
そこにはあるのだ。

 その為に、このゲームは続編として大魔界村、超魔界村などが作られ、初級
プレイヤーを悩まし続けたレッドアリーマーなどは自身が主役となったゲーム
まで作られることとなり、実質初代が発売されて20年近くが経つ現在でも続
編が作られ続けているのだ。

 ところで、続編として作られた、大魔界村、超魔界村だが、おいら自身は魔
界村の難易度の高さから両作品とも自分では購入せず、友人から借りてプレイ
した程度なのだが、このレビューを書く為に魔界村のことを少し調べてみる迄、
ずっと続編の方が難易度が高いのかと思っていたが、どうやら初代が最も難易
度が高らしいことが分かった。

 逆に言えば、おいらのような人間こそプレイすべきは大魔界村、或いは超魔
界村だったのかもしれないが、ゲーセン、そしてファミコン移植版での初代魔
界村の難易度を嫌というほど知っていたおいらにとっては「大魔界村」或いは
「超魔界村」というネーミングそのものが恐怖の的だったのだ。

 例えば、「和田アキ子」という人名があるが、これとは別に「大・和田アキ
子」又は「超・和田アキ子」という名前から想像される和田アキ子がオリジナ
ルをも超越した威圧感を人々に与えるのと同じようなものである、と地味に弁
解しておきたい。

 尚、移植版に関しては「難易度最凶」と謳われた初代のアーケード版をも(
意図的か結果的か、はともかく)凌ぐ高難易度を誇るのがファミコン版魔界村
で実に間抜けな話だが、おいらはこれを買ってしまった。
期待して購入し、毎日、いつでもプレイできる環境にあるにも関わらず、1面
クリアすら出来なかった・・・というのは正直未だにちょっぴりトラウマだっ
たりするのだが、それはともかくとして異色どころなのだが、当時のホビーパ
ソコンPC-8801mkIISRシリーズへの異色版だろう。

 移植したのはナゼかアスキー。
実はアスキーは魔界村の他にも1942や戦場の狼を88SRシリーズに移植している。
また、こちらはコナミだがグラディウスも88SRに移植されているのだ。
しかし、静止画は綺麗だがアニメーションとなると不安が残るのが当時のパソ
コンで、おいら自身、プレイ経験はないものの画面写真を見ると背景は単色と
なっており、ハード特性から察するにゲームとしてファミコン版以上のものは
期待できそうにない。

 ただし、これはグラディウスなどの他のゲームにも言えることだが、88SRシ
リーズ唯一の利点はFM3音を使えることで、むしろゲームサウンドファンにと
って価値のあった作品なのかもしれない。



AXL 2003

HOME