レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「魔城伝説」


Media :MSX(ROMカートリッジ)
Maker :KONAMI
種 別:縦スクロールシューティング
発売日:1986年


 今にして思えば、なかなか珍しいことのような気がするのだが、中学校一年
当時、仲の良かった友達の内MSXユーザーが3人もいた。
しかもどういうわけか、その内の二人とおいらはナショナルのFS-1300という
全く同じ機種を使っていた。

 そのお陰で、ファミコン全盛期にでありながらMSXソフトの貸し借りなど
も気軽にすることが出来、自分のソフト以外にも色々なゲームを楽しむことが
出来た。
人間には得意分野や趣味というものがあるので、3人もMSXユーザーがいる
ということは、それぞれ各個人の趣味にそった多彩なジャンルのゲームをプレ
イすることが出来るわけで、おいらも、普通なら恐らく出会うことのなかった
であろうたくさん優れたMSXゲームに出会うことが出来た。


 今回紹介する魔城伝説も、おいらが購入したソフトではなく、友人に貸して
もらったものである。
一見、アクションRPGのように見えるファンタジーな世界観を持ったゲーム
だが、中身はれっきとした縦スクロールシューティングゲームで、画面のイメ
ージから言えばファミコンでも発売されたスクウェアの「キングスナイト」に
非常に近いものがある。


 ちなみにこのゲームをおいらに貸してくれた友人は根っからのシューティン
グゲーマーで、MSXユーザーになってからも所有MSXゲームの7割近くを
コナミ製ゲームが占めている、という硬派なおヒトだった。
彼は後に訪れた格闘ゲームブームでも見事に時流に乗り、スト2、飢狼伝説か
らはじまって、プレステ初期のキワモノ格闘ゲーム「ツインゴッデス」を定価
で購入したり、同じくプレステの熱血親子だとか、超兄貴関係にも造詣が深い
という立派な社会人(?)へと成長し、先日もおいらがネットでのレビューを
読んで「バーチャ4エボリューションって面白いらしいから一日も早く買って
おいらに貸したまえ」と冗談半分に言ったら、一週間後、本当にバーチャ4エ
ボリューションを携えて現れ、「全クリしたよ、ってか、いまいちだったね」
と言葉少なに語ってソフトを置いてさっさと帰ってしまい、正直格闘ゲームに
あまり適性のないおいらとしては、2、3日で早くも持て余してしまったので
一日も早く取りに来て、代わりに、「怒首領蜂 大往生」あたりを貸してくれる
と嬉しい、と思っている今日この頃だったりする。


 さて、そんな彼が今を遡ること17年前に貸してくれたコナミの「魔城伝説」。
このゲームはMSX完全オリジナルで、アーケードにもファミコンにも移植さ
れていないというMSXファン垂涎の名作なのだが、はじめてこのゲームのパ
ッケージを見せられたおいらはさして興味も頂かず、「なにこれ?レベルアッ
プとかしないの?」などと冷めたコメントを口にしてしまった。

 ゲームの内容は、主人公ポポロンを操り、ヒロインのアフロディテを救出す
る為に各ステージのボスを倒していくというステージクリア型シューティング
ゲームである。
主人公の武器は矢だが、ゲーム中、速射の効く剣や、貫通力のある炎の矢など
にパワーアップさせることが可能。

 難易度は少々高めながら、非常にバランスの良い作品に仕上がっており、B
GMも耳に残る名曲揃いという非シューティングゲーマーのおいらから見ても
非の打ち所のない名作シューティングゲームに仕上がっている。


 当時から人気も高く現在でも、MSXを代表するゲームの1本に数えられて
いる本作だが、どういうわけか他機種への移植は全くなく(最近になって、iア
プリで登場したらしいが)、ファミコンでは本作を飛び越していきなり2の「
大司教ガリウス」のみが発売され、しかも、ゲームシステムがシューティング
からアクションへと大きく変更されてしまい、結局本作がファミコンで発売さ
れることは最後までなかった。


 このゲームの出来から言えば非常に惜しいことだとは思うが、そういう面も
含めて、魔城伝説は当時肩身の狭かったMSXユーザーがファミコンユーザー
に「どうだ!」と派手に自慢できる数少ない材料の一つだったのだ。




AXL 2003

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