レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

キン肉マン・マッスルタッグマッチ


Madia :FAMILY COMPUTER
Maker :BANDAI
種 別:プロレス(?)ゲーム
発売日:1985年11月


 ファミコン初のプロレスゲームにして、バンダイファミコン参入第一作。
これを厳密な意味でプロレスゲームに分類していいのか?という面では少々疑
問が残るかもしれないが、もしこれを第一作から外して考えると、ファミコン
初のプロレスゲームは1986年のnamcoの「タッグチームプロレスリング」(Data
Eastのアーケード初のプロレスゲーム、「ザ・ビッグ・プロレス」のアレンジ
移植版)となるので、正直いって、おいら的にはどっちでもいいかな・・・と
思っていたりするのである。

 かたやバンダイのファミコン参入第一作ことには大きな意味がある。
このゲームは、良くも悪くもその後のゲームメーカーとしてのバンダイのスタ
ンスを明確すぎるほどに打ち出しているのだ。
つまり、キャラクター人気にあやかった粗悪品の連発である。
最近でこそ遊べるゲームが多くなってきた"Made by BANIDAI"ブランドだが、フ
ァミコンの頃はひどいものだった、参入からファミコン末期まで一貫して「な
んのつもりだね」といいたくなるようなゲームを連発してくれた。


 さて、一応ゲームの内容を説明しておこう。
サブタイトルに「マッスルタッグマッチ」とあるだけあって、シングルは無く、
ゲームはタッグマッチのみで進められる。
はじめに、キン肉マンなど8人の超人の中から好きな超人を二人選んでタッグ
チームを結成し、コンピュータチームを戦い勝ち抜いていく。
リングは標準リングと、アイスバーン、高圧電流デスマッチリングの3種類が
あり4ステージ以降はこの繰り返しとなる。
ゲームそのものは、おそらくエンドレスで続いていくものと思われる。

 プロレスゲームのキモともいえる使用可能な技の種類だが、パンチ、バック
ドロップ、ドロップキック、ロープの反動を利してのボディアタック(よく考
えると実際にやれるとしたら、初代タイガーマスクくらいしかいないだろう、
という高度の技である。)、そして各キャラ固有の必殺技が一つつづつく。

 登場キャラと使用可能な必殺技は以下の通りである。

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超人名 必殺技名         操作方法
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キン肉マン     キン肉バスター      相手の背後でA
テリーマン     カーフブランディング   相手の至近距離でA
ロビンマスク    タワーブリッジ      相手の背後でA
ウォーズマン    ベアクロー        相手と同一線上でA
ラーメンマン    カンフーキック(?)   相手と同一線上でBプラスA
バッファローマン  ハリケーンミキサー    相手と同一線上でA
ブロッケンマン    ナチスガス        相手の近距離でA
アシュラマン    アシュラバスター     相手の背後でA

(2003.4.28追記)
当ゲームに登場するのは、「ブロッケンJr」ではなく「ブロッケンマン」、
必殺技は「ベルリンの赤い雨」でした。
情報を提供してくださった、じろうさん、ありがとうございます(^_^)
(2003.11.21追記)
ブロッケンマンの必殺技に関して説明書には「ナチスガス」との表記がある
という情報を頂きましたので表記を改めました。
情報を提供してくださったあすんそんさんに感謝いたします(^_^)
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 基本的に、キン肉マン、ロビンマスク、アシュラマンの操作は全く同じで、
バックドロップと同じ。これはあまり使いやすい技ではないが、一番難易度が
高いのラーメンマンで、ドロップキックと同じアクション。
ジャンプした後でAボタンを押す、これはAボタンをいれるタイミングにより
キックの高度が変わってしまうため非常に狙いにくい。
ウォーズマン、バッファローマンはラーメンマンを使いやすくした感じで、テ
リーマンの場合は相手が比較的近距離にいれば連発しやすい。
そして、最後にこれを使うと「卑怯者」とまで罵られる「ブロッケンJr.」の
「毒ガス攻撃」である。
ウォーズマンやバッファローマンは攻撃の性質上、自身が飛んでいくの対して
ブロッケンの場合、なんだか妙なものを体から発射するため、狙いもつけやす
く、外れても連射も可能なため、他の超人と比べて攻撃を当てやすい。
ただし、威力は若干低め。


 ちなみに技の正式名称(説明書に記載されていたもの)は「毒ガス攻撃」で
はなく、「ベルリンの霧」だったような気がするが、いまいち定かではない。
どちらにしても毒ガス攻撃には違いないが、そもそもブロッケンJr.という
キャラクターがヤバ過ぎる。
コスチュームがナチスドイツのゲシュタポで、毒ガス攻撃を使った日には名前
のひとつも変えたくなるのも分からないではないが、かといって「ベルリンの
霧」というのは、いかがなものだろうか?
どっちらにしろ、毒ガスには違いないんだから、毒ガスを「ベルリンの霧」呼
ばわりする時点でさらに墓穴を掘っているような気がするではないか。


 知らない人の為にもう少し説明しておくと、ブロッケンJr.はそもそもブロ
ッケンマンという人の息子で、父親のブロッケンマンが第一回超人オリンピック
に於いて、ラーメンマンと戦い、敗れた際に、その場で身体を潰され、棒で伸ば
され、周兄弟も真っ青の見事で腕前でラーメンにされ、「リング上で食べられて
しまった」という信じがたい屈辱を晴らす為に第二回超人オリンピックに出場し、
ラーメンマンと相対するが、父親を殺してしまったという自責の念から、ラーメ
ンマンは敢えてJrの攻撃を受け続ける、というじゃりン子チエに於ける、小鉄
とアントニオJr.と全く同じ展開になるのだが、そもそも、自責の念に駆られ
るくらいなら、リング上でラーメンにして食うことはないではないか。


 ちなみにこのキン肉マンという漫画の凄いところは、原作者がどう考えても、
「後先考えずに思いつきで書いている」としか思えないところで、その為、後々
になって矛盾点が次から次へと浮上してくるのである。

 おいらが一番好きだった超人は、ハルク・ホーガンをモデルにしているネプ
チューンマンという覆面超人だが、彼も滅茶苦茶である。
超人タッグトーナメントにビッグ・ザ・武道という剣道の防具を全身にまとっ
た超人をパートナーとして出場し、第一回戦で武道にばかり戦わせて自分は全
く試合に参加しないので、相手チームからつっこまれたところ、「武道など、
私にとっては道具にすぎぬわ!どうなっても知ったことか!」などと豪語して
いたが、タッグマッチなんだから、武道が負けたらアンタも負けだろう、など
という当たり前のツッコミは、この漫画に対しては意味を持たない。

何故なら、決勝でキン肉マンチームと当たった際に、キン肉マン達の攻撃によ
り、ビッグ・ザ・武道のマスク(防具?)が剥がされた際、ネプチューンマン
は武道に駆け寄り、「大丈夫ですか!? ネプチューンキング様!!」と気遣
っているのだ、マスクは完全には剥がれてはいなかったので、正体を知ってあ
わてて駆け寄ってきたという風でもない、つまり、第一回戦から決勝までの間
に作者の頭の中で明らかに設定が書き変わっているのである。


 こういう事は日常茶飯事で、実はネプチューンマンは素顔の喧嘩マン時代に
強い相手を求めて第一回超人オリンピック・イギリス予選に参戦していたが、
決勝で当たったロビンマスクと組み合った瞬間に、ロビンの実力が知れてしま
い、ライバル不在の悲しさから試合を放棄、世を儚んでテムズ河に身投げをし
て水中で「苦しい!やっぱり死にたくない!」と思ったら「水中にビッグ・ザ・
武道がいて」助けて貰い、完璧(パーフェクト)超人の仲間入りをしただとか、

 第一回超人オリンピック決勝でキン肉マンに敗れたロビンは自分の意思で谷
底に落ちたくせに、何故かキン肉マンをうらみ抜いてバラクーダと名乗り、ウ
ォーズマンを使ってキン肉マンに復讐を企ててみたり、超人の強さを係数で表
す、という発案動機からして安易でいい加減な「○○万パワー」という数値は、
連載当初は、70〜80万パワー程度で競っていたものが、ウォーズマンの1
00万パワーを皮切りに、新しいライバルを登場させる際にその強力さを印象
づける為の最も安易な手段として多様され、バッファローマンでいきなり10
00万、ネプチューンマンで2000万とあまりにも安易に上昇させ、最終的
に数十億パワーの超人が登場する、というブラジル経済のようなインフレを引
き起こすこととなる。

 対するキン肉マンは、その差分を補う為に「火事場のクソ力」などという名
称からして完全に「その場限り」な、特技を身に付け、一時的に40億パワー
くらい出せるようになった、などと言いつつ、勝ち進んでいくのである。


 おいらは一時期、この作者は「寝ながら話を考えているのではないか」と本
気で疑っていたことがあるが、それでもこの、考え無しで猪突猛進型なパワフ
ルなストーリー展開は嫌いではなかったりするのである。

 そんなわけで、小学校の休み時間といえば、仲の良い友達に「お前、ビッグ・
ザ・武道ね、もちろん、おいらがネプチューマンだから」勝手に通告し、どこ
の学校のどこのクラスにも一人はいるという、喧嘩は弱いくせにものの考え方
の根底が、卑怯で卑屈な奴を「弱小超人」と位置付け、「ヘイ、武道!クロス
ボンバーだ!」と、粛清の風を吹かせまくっていたのである。

・・・っていうか、ゲームのレビューではなくなってしまった。



AXL 2001

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