レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

機動戦士ガンダム(セガ・サターン版)


Media :セガ・サターン
Maker :バンダイ
種 別:横スクロールアクションシューティングゲーム
発売日:1996(?)


 ガンダムのゲームの本当にたくさんある。
一番有名なのは、ファミコンの頃のSDガンダムシリーズかもしれないが、実は
それ以前にもMSXでアクションゲームとして、PC-88では、カセットテープと連
動したアドベンチャーゲームとしてリリースされたこともあり、さらに遡ると
往年のLSIゲームやゲームウォッチなどでも取り上げられていた。

 ちなみにおいらが知る限り、これだけ数多いガンダムゲームの中でバンダイ
製品でないのは、PC88版のアドベンチャーゲームくらいである。
これはそれだけガンダムという作品が支持されているということでもあり、版
権を所有するバンダイがドル箱として安易に作品を生み出し続けているからで
もある。

 そんな数あるガンダムゲームの中で、一番好きなのがセガサターン版の「機
動戦士ガンダム」だ。
ライバル機のプレイステーションにも「機動戦士ガンダム」というポリゴンア
クションゲームが存在するが、あれとは全くの別物で、サターン版は2Dのオー
ソドックスな横スクロールゲームである。

 ポリゴンと2Dだとなんとなく、ポリゴンゲームの方がありがたいような気が
してしまうが、少なくともプレイステーション版の「機動戦士ガンダム」及び
「同Version 2.0」に比べれば、こちらの方が遥かに遊べるゲームである。

 画面が派手で綺麗なら面白いに違いないと思うライトユーザーや、それをあ
てこんで見てくればかりに気を使うゲームメーカーにはっきりと言っておきた
いのは、「ゲームのリアリティは、面白さの決定的な要素ではない」というこ
とである、その昔ハイドライド3というRPGがあったが、このゲームで一番
嫌だったのが「重さの概念の導入」である。
次から次へと色々なアイテムを買い込み、たくさんのものを持って歩くRPG
の主人公に重さの概念がないのはおかしい、と思ったのか、アイテムを持てば
持つほど主人公の動きが鈍くなり、最悪、方向キーを押しっぱなしにしていて
も滅多に進まなくなるほどに動きが鈍る、しかもこれがアクションRPGな為
に、ゲーム進行に重大な支障をきたし、もっと問題なのは、ザコモンスターを
倒した時に貰えるゴールドは金貨なので、ザコを倒し続けるとつまりは小銭を
じゃらじゃら持っている状態になり、どんどん重量が増してくるので、「両替」
をして小銭を紙幣にしなければならない、という点である。

 よくもここまで、ゲームとは無関係のくだらないことに頭を働かせたものだ
と感動すら覚えるが、このゲームでは最初のうちはいちいち街に戻って両替し
なければならないが、それでは完全にゲーム性が破綻すると思ったのか、途中
で「両替機」というアイテムを手にいれることが出来、「両替機」を使えば手
にいれたゴールド(小銭)をすぐに紙幣にすることが出来る。

 ・・・が、問題はこの先である。
この両替機というのはいくら小銭をいれても両替機そのものの重さは常に一定
なのだ、つまりは「四次元両替機」である。
この両替機の存在により「重さのリアリティ」は既にして崩壊している上に、
重さの概念が存在することにより、ゲームとしての「ハイドライド3」という
作品にプラス方向に作用した要素は何もないのだ。


 リアリティはどうでもいい、とまでは言わないが、ゲーム性よりリアリティ
を尊重する余りに作品を台無しにしているゲームは意外と数が多く、そういう
ゲームに出会ってしまった時はなんともウスラ寂しい気持ちになってしまう。


 で、プレイステーション版のガンダム及びVer.2.0が、コクピット視点のリア
リティにこだわった為にゲームとして失敗したのとは対照的に、サターン版の
ガンダムはかなり遊べるゲームに仕上がっている。


 ストーリーは基本的に映画版のファーストガンダム全編をなぞる形で進んで
いき、プレイヤーはアムロとなりガンダムで敵を倒して進んでいく、画面構成
はシステムそのものはかなりオーソドックスだが、シャアの初登場シーンなど、
原作での名画面はアニメのカットインが入り、原作の声優が喋ってくれる。
攻撃方法は、ビームライフル、ビームサーベルなどのオーソドックスな武装の
他に、バズーカや、ビーム・ジャベリンなどという、往年のガンプラの「武器
セット」を買ったことのある人間以外は誰も知らないようなマニアックなもの
まで選ぶことが出来る。
そしてこのゲームの最大の特徴がアムロのニュータイプ能力を上手くゲームに
に取り入れているところで、ガンダムがビールライフルを装備している時に、
ボタンを押しっぱなしにすることにより、その時点で画面に存在している複数
の敵を同時にロックオンできる、ボタンを離した瞬間に、ロックオンした全て
の敵を自動で攻撃してくれる。

 敵を倒せば倒すほど、同時にロックオンできる敵機の数が増え、ロックオン
にかかる時間も短縮されていく、という成長要素もある。

 これが実に気持ちよくロックオンさえしておけば、ボタンを離した瞬間に複
数の敵を正確に撃ち分けてくれるので、自分自身がまるでゲームの達人のよう
な気がしてくる。


 おいらとしては非常に好きなゲームなので、ZやZZで続編を出してほしかっ
たが、あまり売れなかったせいか、これ1本で終わってしまったのが惜しいと
ころである、難易度も低めで原作のファンなら安心して薦められるゲームだが、
惜しむらくは、プレイステーション版のような「シャア・モード」がついてい
ないことだ。



AXL 2001

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