レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

ゴジラ・ジェネレーションズ


Media :DreamCast
Maker :SEGA
種 別:都市破壊アクションゲーム
発売日:1998年


 1998年、セガが家庭用ゲーム機市場のシェア奪還を狙ってリリースした新
ハード、DreamCastと同時発売されたソフト。
ゴジラやウルトラマンといった人気キャラクターをテーマにしたゲームの歴
史は古く、液晶ゲームやMSXの時代から何度となくゲーム化されており、
その意味では新ハードの牽引ソフトとしては少々新鮮味に欠けるが、ゴジラ・
ジェレネーションの場合、それまでのゴジラをテーマにしたゲームが一度も
取り扱ったのことのない題材を扱っている。

 それ迄ゴジラをテーマにしたゲームはゴジラを操って他の怪獣と戦う、格
闘アクションもの、自衛隊の兵器を使ってゴジラを食い止めるシミュレーシ
ョンものが定番だったのだが、ゴジラジェネレーションでは「ゴジラを操っ
て都市を破壊する」ことを目的としている。


 メガドライブの頃のことだ。
タイトルは失念してしまったが、雑誌の新作ゲーム紹介の欄でキングコング
に似た生き物を操作してビルを壊しながら進む横スクロールアクションゲー
ムというものを見たことがある。
しかもそのゲームは体力制で、体力回復の手段は、「町で逃げ惑っている人
間を食べること」だと記事には書いてあり、何というかあまりに破天荒なゲ
ーム性に「すげー!これは斬新だ!」と驚愕すると共に、「っていうか本当
に日本で発売できるんだろうか?」と他人事ながら心配していたら、やっぱ
り発売はされなかった、という悲しくもありどうでもいい記憶を背負うオト
コなのだが、その後も毎年夏になると先立った息子の盆参りをする老夫婦の
ように「あのヘンなゲーム、やりたかったなぁ・・・」とナゼか事毎にその
ゲームのことを回想しながら生きてきたおいらにとって、突然の「ゴジラ・・
ジェネレーション」の発売はそれこそ「死んだと思っていた息子が帰ってき
た!」的なインパクトのある出来事だったのだ。

 とはいえ、ゴジラやりたさに当時は4万円近くもしたDC本体を買おう、と
いうところまでは思い切れず、この辺にゴジラで勝負をかけてしまったセガ
首脳部の誤算と悲哀というものが合わせ鏡のように見て取れたりもするわけ
だが、結局、おいらがDCを購入したのは、生産終了がアナウンスされ本体価
格が9800円という「スーパー閉店1時間前に於ける鮮魚売場の決断」とでも
形容すべき状況になってからのことだった。

 その頃DCと共に鮮烈のデビューを果たした本作は、新品でも大体980円と、
思えば主たるDCの本体価格9800円に微妙に義理立てするような価格まで下落
しており、買おうと思えばいつでも買えたのだが、ネットでの評判を見る限
りお世辞にもよく書いてあるところは殆どなく、「どうせ980円なら、バイオ
ハザード・コードベロニカ」(非完全版)でも買った方が楽しいよな、絶対
というようなことを考えながら、ついつい購入が遅れてしまったが、DC本体
から1年程立ったある日、中古ショップで久々にこのゲームを見かけたおい
らは「ただ、なんとなく」という断固たる態度で決断を下し、ついに購入し
てしまったのだ。

 ゲームの内容は、プレイヤーはゴジラ(またはメカゴジラ)を操り東京、
大阪、名古屋など実在する街を破壊することが目的となる。
ステージにはそれぞれ制限時間と、最低破壊率が規定されており、つまりは
時間内に決められたパーセンテージ以上、街を破壊することが出来ればステ
ージクリアとなるのだ。
街を破壊する方法は、火炎放射や尻尾振りなどがあるのだが、実際のところ
はただ歩くことにより建物を踏み潰すのが最も効率的だったりする。

 また、ゴジラは建物に触れたり、自衛隊の兵器に攻撃されることによって
体力が減少し、これが0になるとゲームオーバーとなるが、ナゼか咆哮する
ことで体力が回復するし、ちまちました自衛隊の兵器以外に「敵」と呼べる
ものは登場しないので、ゴジラがやられてゲームオーバーというケースは殆
ど発生せず、やはり時間内に規定値以上、破壊できるか、というのがゲーム
性のキモになっている。

 また、ゲームをクリアしていくことで、ハリウッド版ゴジラやミニラなど
も使用可能になる。


 メガドライブ時代に見た「街を破壊するゲームがやりたい」という夢、DC
発売時の衝撃、ネットで見たレビュー記事が軒並み低評価だったことによる
落胆など、色々なことを含めてプレイしてみたおいらの感想は、「これはこ
れでいいんではないだろうか?」というものだった。

 確かにゲーム性はすこぶる低い。
そもそもゲーム中に手に汗握る展開など全くなく、ノロノロと歩くゴジラを
操って、まんべんなく歩き回ることで建物を破壊していき、体力が減ったら
咆哮ボタンを連打・・・というのが基本的なゲームの流れとなるので、少し
でもゲームに慣れて目新しさを失ってしまうと「大怪獣ゴジラ、都市を蹂躙!」
というよりは「今日も頑張る、掃除おばさん!」というような感じになって
しまうのだ。

 それでも特定条件を満たしてクリアすることで、新しいゴジラが手に入る
為、それを目当てに何度もプレイすることになるのだが、それは惰性以外の
何物でもなく、あまりやりすぎると「オレ、こんなことしてていいのかな?」
と言いようの無い不安に襲われることすらあるので注意が必要だ。

 それでも、カメラアングルには工夫が程されており、その都市のランドマ
ークとなるような大きな建物を破壊する際にはいい感じでカメラが切り替わ
るし(運悪くヤナ感じで切り替わることもあるが)、何といってもこれに類
するゲームが殆ど存在しないという点から、1本くらいこういうゲームがあ
ってもいいのではないか、とおいらは思うのだ。


 ただ、この感想はあくまで、これがどういうゲームなのかを予め知ってお
り、980円で購入したからこそ納得できることであり、仮にDC発売日に本体と
共に定価購入してしまったら、やはり評価は全く違ったものになっていたこと
は間違いないだろう。



AXL 2003

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