レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

娯楽の殿堂

Maker :博報堂(HAMLET)
Media :3DO
種 別:劇場経営シミュレーション
発売日:1994年


 「娯楽の殿堂」は、1994年に3DO用として発売されたソフトである。
おいらがこのゲームを購入した当時、既に3DOは下火になっており、おいら自
身、メインのゲーム機はPSやサターンになっていた。
それでもこのソフトを購入したのは、単に安売りされていたからだったかもし
れない。
しかし、このゲームはおいらの記憶に深く残り、「おいら的あの頃ゲーム」と
いうゲームレビューを開始した当初から「いつかはレビューしたいゲーム」の
1本だった。

 今回、なんとなく「そろそろ娯楽の殿堂でも書くかな」と思い、サーチエン
ジンに「娯楽の殿堂」と打ち込んでみて驚いた。
おいらはあるゲームをレビューする前に必ず、サーチエンジンで他レビューサ
イトの記事を参考にする。
レトロゲームという性質上、発売日や細かい部分などはかなり忘れている部分
は記憶違いがあるからだが、「娯楽の殿堂」に関しては、ほとんどヒットがな
かった。

 あったとしても、3DOそのものを紹介しているサイトがほとんどで、レビュー
にいたっては5行以上のものはついに発見できなかった。
そして評判も決して良くない。
ズバリ、「クソゲー」と断じているところもあり、正直戸惑ってしまった。
中にひとつだけ、娯楽の殿堂をはじめ、「時を超えた手紙」、「西村京太郎サ
スペンス・悪逆の季節」といったおいら好みのタイトルを並べているページが
あったのでアクセスしてみたら、それは「おいら的・あの頃ゲーム」の"3DO"
ハードレビューページであり、つまり自分が書いたものだった、という間抜け
な目にもあってしまった。


 おいらは決してこのゲームを「名作」だとは思っていないが、「佳作」であ
ることは間違いないと思っている。
勿論、プレイヤー個人の好みに左右されるのは仕方がないとしても、決してバ
ランスの悪いゲームではなく、また、このゲームに類似するゲームがほぼ存在
しないということからしても、もう少し注目されてもいい1本だと思う。


 さて、前置きが長くなったが、簡単にゲームの内容を説明しよう。
父の唯一の遺産である「あけぼの劇場」を1億円の借金と共に相続した主人公
は、「あけぼの劇場」の収益によって、毎月借金を返済していかなければなら
ない・・・というのがメインストーリーである。
では、具体的にどうするか?、というと、「あけぼの劇場」に芸人を出演させ、
自ら、その芸人にあった背景やBGMを選び、その取り合わせによって客の入りが
変わる。
適切な取り合わせを見つけ出し、より多くの客を引き込み、収益を上げること
により、よりランクの高い芸人を舞台に上げる・・・。

 ちなみにこのゲームは、1億円を返済しおわってもゲームは終了せず、今度
は余った収益を元に劇場を増築することができるようになる。
ゲームとしての本番はここからで、より豪華な建物を用意することで、より多
くの収益をあげることができる。


 基本的にはシミュレーションゲームなので、自分の財布と相談した上で芸人
を選び、より効果的と思われる背景や、BGMを選択し舞台を演じさせることの
繰り返しとなるが、一口に芸人といっても、ダンサーから漫才師、火吹き芸人
まで取り揃えてあり、かなりのバリエーションを楽しむことができる。
また、数は決して多くはないが、ゲーム中にちょっとしたイベントも用意され
ており、はっとさせられる。

 ゲーム自体は初めてプレイしても6,7時間でエンディングを迎えることが
でき、慣れてしまえば、それこそ3、4時間で終わってしまうが、敢えてアナ
クロな世界をCGで再現したことによりゲームそのものに一種独特な雰囲気が溢
れている。
発売された時期がまだ「次世代ゲーム」というものがどんなものなのかはっき
りとしていなかった時期であること、そしてもう一つには、3DOというゲーム機
に日本の大手メーカーがあまり興味を示さなかったことにとで、逆に一部のク
リエイター達にとっては、自分の企画を商品化するのに必要な多くのハードル
が一時的に取り去られた。
結果として型に捕らわれない、「娯楽の殿堂」のようなゲームが世に出ること
ができたのだろう。

 これだけハード性能やソフトウェア技術が進歩しても、結局は、どこがで見
たようなゲームばかりが氾濫する中、3DOという「何だか分からないプラットフ
ォーム」から巣立っていったいくつかのゲームは、世界中探しても他に似てい
るゲームが無いほどの強烈なオリジナリティを持っていたことは確かだ。
そして、この娯楽の殿堂はそんなゲームの中でも、最も強いインパクトを残し
たゲームである。



AXL 2001

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