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幻想水滸伝

Media :Play Station
Maker :KONAMI
種 別:2D RPG
発売日:1995年


 プレイステーション初期にコナミから発売された名作RPG。
その後もシリーズ化されており、現在でも根強い人気をもっている。
今は昔ほどではないのかもしれないが、次世代機ブームと呼ばれていたこの頃、
ゲームの花形はなんといってもRPGだった。

 プレイステーションで発売された最初の大作(?)RPGは、SCEが満を持して
(?)放った「アーク・ザ・ラット」だったが、これはひどかった。
ゲーム内容がひどいというよりも、明らかに開発途中で無理矢理話をぶった切っ
て発売してしまったという感じのものだったのだ。

 後にアークは続編が発売され、1からのデータコンバートが可能になったが、
1でストーリーが完結しなかった為にそういう仕様にせざるを得なかったという
面が強い。

 SCEとしてはRPGの投入をなるべく急ぎたかったのだろうが、中途半端なスト
ーリーのままほとんど唐突に流れるエンディングの長ったらしいスタッフロール
を呆然と見つめながら、「このスタッフロールに要するデータだけでFC版のドラ
クエ3が何本くらい作れるんだろうか?」というようなことに思いを馳せてしま
った。

 さて、時期的には、アークの発売から半年後、プレイステーション用の大作R
PGとしては2本目となったのがコナミから発売された幻想水滸伝だ。
このゲームは水滸伝をベースに、舞台をファンタジーの世界に移し、解放軍を率
い108人の仲間を集めて帝国軍を倒すことが目的となっている。
ただし、この中には自分から積極的に仲間を探し、勧誘しなければ加わってくれ
ない人々も多く含まれている。
逆に言えばこれらの人々を仲間に加えなくてもエンディングに辿り付くことは可
能なのだが、このゲームには普通のRPGのほかに戦争イベントがあり、この時
使用可能な戦術の幅・兵士数はその時点でどれだけ仲間を集めているかによって
変わってくし、このゲームの売りのひとつである「本拠地システムにより仲間を
集めれば集めるほど本拠地が賑やかになり、宿屋や道具屋などの本拠地内の施設
も充実していくなど」、仲間を集めなければいけない、というストーリー面の都
合をうまくシステムで消化している。

 また、最近のRPGでは非常に珍しくマルチエンディングを採用している。
シナリオそのものは1本道なのだが、108人全員を集めることによって微妙に
エンディングが変わってくる。

 ゲーム自体もかなり良質で名作と呼ぶにふさわしい出来なのだが、システム的
に少々詰めが甘く不親切な面も目立つ。

 例えばRPGパートの場合、ほとんどの場面で強制加入メンバーが存在する。
このゲームでは最大6人のパーティを組んでの冒険が可能だが、平均して2人か
ら3人は常にイベントごとに特定のメンバーが強制で加入してくる。
これそのものは欠点とは言い切れないし、幻想水滸伝の場合、敵を倒した時に貰
える経験値の幅が敵と自分のレベル差によってかなり修正される為、普段全く使
っていないメンバーが強制的に入ってきたとしても、10回も戦闘すればレベル
的には遜色なくなるのだが、問題は、ある場面で他のメンバーが強制加入してき
たときに、余りとなるメンバーを外さなくてならないという点にある。

 外されたメンバーは強制的に本拠地に戻ることになるがその際、彼が持ってい
たアイテムも全て所持した状態のまま本拠地に戻ってしまうのだ。
装備品や消耗品程度なら気にならないのだが、重要なアイテムでも持っていって
しまう為、ある程度ゲームを進めていくうちに重要なアイテムがどこに行ったの
か(誰が持っていたのか)わからなくなる、という弊害がある。

 まだ最悪の場合、特定のメンバーが一定期間、解放軍から離れてしまうことも
あり、この場合も彼がもっているアイテムは再び彼が戻ってくるまで使用するこ
とはできない。

 これが最大108人まで増える為にアイテムをうまく管理する為にはあらかじ
め、今後起こるイベントを把握しておくか、よほど気を使って管理しておく必要
がある。

 このように細かい点に目を向けると、他にもいくつか気になる点はあるのだが
1本道RPGの持つとっつき易さを維持しつつ仲間集め、戦争などにより緊張感
をうまく付加した作品であり、プレイステーション初期の名作RPGの名に恥じ
ない1本といえるだろう。



AXL 2002

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