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ギャラガ’88

Media :アーケード、PC-Engine(Hu-Card),PlayStation
Maker :namco
種 別:シューティングゲーム
発売日:1987年


 実はギャプラスは苦手である。
namcoの看板ゲームとして登場したギャラクシャンは、ギャラガ、ギャプラス
へと受け継がれたが、当時おいらはこのギャプラスに妙な苦手意識を持ってい
た。
インベーダータイプのシンプルなシューティングゲームだった、ギャラクシャ
ンに自機ドッキングという要素を追加したギャラガをさらに発展させたギャプ
ラスは、なんと敵までも自機に合体させることが出来る上に、それまでの暗黙
の約束だった自機は左右二方向にしか動けないという縛りを藪って八方向に移
動が可能になったのだった。

 進化したのは嬉しいことだったが、この二つの要素の追加によって、元々さ
して許容量が広いとはいえない小学生のおいらの頭は大混乱をきたし、いまひ
とつゲーム全体の雰囲気がつかめないまま、50円玉は虚しく筐体に吸い込ま
れていった。
その上どういうわけか、ギャプラスは当時としては珍しくパソコンのPC9801シ
リーズにのみ移植された。
当時はまだPC98といえばビジネス機で、大人のパソコンというイメージが強か
った為に、ゲームセンターでの苦手意識も手伝って、ギャプラスは大人の為の
ゲームだから、おいらはやらなくていいんだ!という勝手な自分ルールを制定
してしまい、以後、なんとなくギャプラスという存在からは足が遠のいたまま
である。


 そのギャプラスの登場からさらに3年後。
「ギャラガ’88」はゲームセンターに現れた。
正直、今更ギャラガか・・・という感はいなめなかったものの、今作でははじ
めから二機合体状態のデュアルファイターが選択可能な点、最大で三機の合体
が可能になった点をはじめ、単純なステージクリア方式に変わって、ステージ
中にアイテムを取得することにより進行ルートを変更できるなど、システム面
では格段の進化が加えられていた。
おいらも、ギャラガ’88の登場時には、中学三年生になっていた為、新しい
システムにも混乱することなく、それなりに楽しいゲームとして楽しむことが
できた。


 ゲームセンターで出会ったギャラガ’88に再会することになったのは、そ
の翌年のことだった。
当時、まだ購入して間もないPC-Engine用のnamcoの新作ソフトとしてギャラガ’
88のPC-Engine版が発売されたのだ。
一年前のアーケードゲームとはいえ、元は古典ともいえるギャラガのアレンジ
版で、ゲームセンターで1回や2回遊ぶならともかくも新品ソフト一本分の値
段を出してまで購入することには多少のためらいも感じたものの、一つには、
他にめぼしいソフトがなかったことと、もう一つは、小学生時代同じような状
態の時になんとなく購入したファミコン版のギャラガが意外にも長く遊べる良
作だったことから、購入を決めたおいらは早速近所のディスカウント店でこの
ゲームを購入し、1時間ほどプレイしたところで自らの不明を恥じた。

 つまらなかったのではない、面白すぎたのだ。
勿論、基本的には既に体験したアーケード版と同じ作品だったのだが、何度も
繰り返しプレイすることで、おいらははじめてギャラガ’88というゲームの
魅力に気付くことができた。
このゲームの最大の魅力とは、敵を打ち墜とすことの楽しさだったのだ。
シューティングゲームであれば当たり前の話だ、と思うかもしれないが、ギャ
ラガ’88の撃墜時の「気持ち良さ」はちょっと他のシューティングゲームで
味わうことのできないものなのだ。

 ミサイルが敵機に当たり、まるで泡のように敵が弾け飛ぶグラフィック、そ
の時の効果音が、実際には触れることのできない敵機の感触をまるで目の前に
実在するもののようにリアルに表現してくれる。
極端な言い方をすれば、あの誰もが一度はハマってしまう、梱包材の「ぷちぷ
ち」を潰していく快感に音としての刺激とスピードを加えてゲーム化したのが
この作品なのかもしれない、とおいらは思っている。

 勿論、ルート制の採用等、ゲームとして長く遊べる工夫なども評価できるの
だが、何よりもギャラガ’88の素晴らしさは、戦闘時の敵機殲滅の快感と、
BGMに合わせて敵機が華麗に舞い踊るボーナスステージで、プレイヤーが撃
墜音という形で参加することが出来る、音と映像が一体となった芸術的ともい
えるゲーム空間のコラボレーションにあるのではないだろうか。

今もっておいらにとっては最高のシューティングゲームである。



AXL 2003

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